学校だより

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豆柴のチコちゃん

 昨年末、風の強い夜でした。あんなに元気だった義母を病気で亡くしました。義母は料理が得意でお世話好き、陽気な性格で踊ったり歌ったりが上手な地域の人気者でした。数年前にはNHKのど自慢熊本大会に出場し、おてもやんの衣装で箒(ほうき)をギター代わりに「ダンシングオールナイト」を熱唱して「特別賞」をもらいました。後日、妻の実家にTV局が取材に来たくらいです。 
 実直で太陽のような存在の義母でしたから、家は灯が消えたようにしんと静まり、二人暮らしだった義父は周囲には気丈に振る舞っていましたが、寂しさは隠しきれません。四十九日の法要を無事に終えた義父が、突然、「豆柴を飼いたい」と言いだし、菊陽町まで出掛けて求めたのが生後三ヶ月の「チコちゃん」でした。 
 写真は、ベランダで義父の帰りを待つ豆柴のチコちゃんです。クーンクーンと鳴きながら待っています。義父の足音がすると、ぴょんぴょん跳んで喜びを表現します。義父の「孫達のためにも、チコちゃんのためにも、長生きせんば。」という言葉に、思わず涙が出そうになりました。現在は熊本市(旧飽田町)で義父とチコちゃん、大学生の次男の3人で暮らしています。

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「あなたが大切だ」

 

 7月は「命を大切にする心」を育む月間です。全校朝会の校長講話で「命を大切にするって、どうすればいいの?」と子供たちに問いかけました。いろいろと意見が出ましたが、以下の5点を「命を大切にする5カ条」として子供たちみんなで確認しました。

基本は「自分の命は、自分で守る」 
 それを基盤として、
 ①よく食べ、よく運動して、健康な体をつくる
 ②危険なところには、絶対に近づかない
 ③事件や災害から身を守る(危険予測能力と危機回避能力を育む)
 ④交通事故から身を守る(周りをよく見る、車は止まってくれるとは限らない)
 ⑤自分の命と同じように、他の人や動物・植物の命を守る

 先般、文部科学省から「児童生徒の自殺予防について」(通知)が届きました。警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、令和2年における児童生徒の自殺者数は499人で、前年(399人)と比較して大きく増加しており、そのうち、女子高校生の自殺者数は209人で、前年(127人)と比較して、特に大きく増加しています。全国における18歳以下の自殺は、8月下旬から9月上旬等の長期休業明けにかけて急増する傾向があります。また、人の目の届きにくいSNSを利用し、自殺願望を投稿するなどした高校生等の心の叫びに付け込んで、言葉巧みに誘い出し殺害するという極めて卑劣な事件も発生しています。学校における早期発見、保護者による見守りの促進が求められています。
 特に「SOSの出し方に関する教育」を含めた自殺予防教育を実施するなどにより、児童生徒自身が心の危機に気づき、身近な信頼できる大人に相談できる力を培うとともに、児童生徒からの悩みや相談を広く受け止めることができるようにすることが大切になります。
  

 上のポスターは、2005年に女優の栗山千明さんを起用し「命の大切さ・コミュニケーションを通して」をテーマとしたポスターで、学校にも掲示されていました。CMでも流れていました。人間は誰しも相互の「関係性」の中で生きています。それを回りくどく表現するのではなく、静かな、しかし確かな心の叫びとしてずばりと表現しています。

 命の尊(とうと)さを
 何千何万回 言われるよりも
 「あなたが大切だ あなたが必要だ」
 と 近くにいる あの人が
 ただ1回 言ってくれるだけでいい
 ただそれだけで
 今日を 明日を 生きていける

 この「誰かに必要とされている」「大切に思われている」という認識は、人が、人として「生きていく」土台となるものです。子供も、大人も、誰でもそうです。
 子供たちには「あなたたち一人一人が、かけがえのない大切な存在です。家族や友だち、先生達、地域の方々を初め、動物や植物からも『あなたが大切だ、必要だ』と思われているんですよ」ということを伝えました。

交通事故から守る

 6月28日、千葉県八街市で下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込んで児童5人が死傷するという痛ましい事故がありました。
 事故現場に花を供えに来た人たちは「すれ違う時に道幅がだいぶ狭いので車が寄ってきて、いつ歩行者に接触してもおかしくないと感じていた。危ないけれどそれが当たり前になっていた。ガードレールを設けるなど安全対策を取ってほしいし、亡くなった児童と親が本当に不憫だ」「子供たちには痛かったねというお悔やみの言葉しかない。この道はスピードを出す車が多い。運転者のモラルが改善するようになってほしい」「自分にも2歳の子供がいるので残された親の気持ちがよくわかる。幼い子供たちの未来が奪われて悔しい気持ちだ」と涙ながらに話されていました。

 「道路が狭い」「交通量が多い」「スピードを出す車が多い」「見通しが悪い」という事故が起こりやすい道路(危険箇所)は姫戸町にもあります。学校でも交通指導員の方々や保護者の皆様と協力して、通学路の安全管理を促進するとともに、危険箇所については市に依頼し早急な対応をお願いしていきます。「危険だ」と思われる箇所に関しては、すぐに学校までご連絡ください。

おかげさま

 日曜日の明け方、久しぶりに祖母の夢を見ました。
 私には、百歳の天寿を全うした祖母がいました。若くして連れ合い(祖父)を病気でなくし、女手一つで子ども二人(母と叔父)を育て上げた肝っ玉ばあちゃんです。

 教師だった祖母の影響を受けて、私も同じ道を選びました。
 ばあちゃん子だった私は、祖母の布団に潜り込んで聞く「昔話」を楽しみにしていました。愉快な話、訓話、不思議な話、怖~い話などいろんな話をしてくれるのですが、どんな話も最後は決まって「神様、仏様、世間様のお陰さまで」で締めくくります。

「おかげさま」    上所(かみどころ) 重助

夏が来ると 冬がいいという

冬になると 夏がいいという

ふとると やせたいという

やせると ふとりたいという

忙しいと 閑(ひま)になりたいといい

閑になると 忙しいほうがいいという

自分の都合のいい人は よい人だとほめ

自分に都合が悪くなると 悪い人だと貶(けな)

借りた傘も 雨が上がれば邪魔になる

世帯を持てば 親さえも邪魔になる

衣食住は昔に比べりゃ天国だが 

上を見て不平不満に明け暮れ

隣を眺めて愚痴ばかり
 
どうして自分を見つめないのか

静かに自分を見るがよい

一体 自分とは何なのか

親のおかげ 先生のおかげ

世間様のおかげの塊(かたまり)が自分ではないか

つまらぬ自我妄執(もうしゅう)を捨てて

得手勝手を慎んだら 

世の中きっと明るくなるだろう

おれが おれが を捨てて

おかげで おかげで と暮らしたい     ※一部省略
     

     ※妄執(心の迷いによる執念) 
     ※得手勝手(他人のことは構わず、自分の都合のよいことばかり考えること)

 ふと目にとまった詩です。祖母の昔話と「お陰様で」という口癖を思い出しました。
 スイカを切っても、いつも切れ端しか手に取らない祖母でした。熊本の病院に見舞いに行っても、すぐに「はよ帰らんな」と帰りの道中を心配する祖母でした。
 思い通りにならないのが世の中。身勝手は人の常。十人十色、いろんな考えの人がいて、いろんな価値観が混在しているのも当然のこと。周囲に対しての不平不満を口にするよりも「お陰様で」と感謝しながら日々を生きる方が、自分の心も楽になるし、周囲にも迷惑がかからない。祖母の昔話と同じように、この詩もそんなことを告げているのかも知れません。

 柔らかい祖母の手を、また触りたいと願った日曜日でした。

姫戸の誇り! 登校見守り隊

 姫戸小に赴任してまず驚いたのは、交通指導員の方々の存在です。雨の日も、風の日も毎日、子供たちの登校を見守っていただいています。「○○ちゃんが来ていない」「○○くんが元気ないな」とすぐに気づいて子供たちに声を掛けてくださいます。私も多くの学校を回ってきましたが、「地域の子供は地域で育てる」という気概に満ちた活動を地道に継続されている地域は、他にそうありません。 

  そんな郷里の子供たちを心から大事にされている交通指導員の皆様に対して、学校と保護者・児童の全員で、以下の3点をしっかりお約束できたらと思います。

①真心は、真心で返す。心を込めて「おはようございます。」「ありがとうございます。」 

②決められた通学路を通る。トンネルを通る場合は、横断歩道等で立ってらっしゃる指導員さんに一声、連絡する。

③大雨、暴風、病気、怪我等以外は、できるだけ自分の足で登校する。

 10年後、20年後、30年後の「ふるさと姫戸」の姿を描きながら、いまの私たちの感謝の気持ちを「カタチ」にしましょう。