校長室だより

2021年9月の記事一覧

秋桜

 

『コスモスのうた』   まど・みちお

だれかに 一りん
あげたいのだけれど
コスモス
コスモス
ともだちが すき
ともだちと みんなで
てを つないで 遊んでる

グラスに 一りん
さしたいのだけれど
コスモス
コスモス
あおぞらが すき
あおぞらを みあげて
みな はればれと うたってる

 まど・みちおさんは、「存在の詩人」と称された日本を代表する詩人です。「ぞうさん」「ふしぎなポケット」「一年生になったら」など、その大らかでユーモラスな作品は童謡としても親しまれています。

 コスモスは明治の初め頃に渡来した外来種で、秋に桜のようなピンク色の花を咲かせることから「秋桜(あきざくら)」と名付けられました。コスモスと呼ばれるようになったのは、山口百恵さんの「秋桜」という曲が大ヒットしたことがきっかけだと言われています。この曲を作詞作曲したさだまさしさんが、「秋桜」をコスモスと読ませ、歌謡曲がヒットしたため、その読みが一般的になったのだそうです。

 ピンクや白、赤、黄色など色鮮やかな花を咲かせるコスモス。早いところでは7月下旬から見頃を迎え、最も遅いところでは11月中旬までと長期にわたりコスモス畑を楽しめるようです。暑さが和らぎ始めるこれからの季節、早速出掛けてみたいものです。

早寝 早起き 朝ご飯

 夜更かしせず早めに寝る。その分、早めに起きて朝ご飯をしっかり食べる。この「早寝、早起き、朝ご飯」の国民運動は、平成18年から文部科学省が中心となって全国で展開されています。
 熊本大学大学院医学薬学研究部発達小児科の上土井貴子(じょうどい たかこ)医師によると、人が、人として生活する上で最も大切なものは、「安心・安定という脳」だそうです。
 人は、成長の過程で「感情(本能)」→「情動(喜びや悲しみ、驚きなどの人間としての感情)」→「情操(社会的価値を持つ複雑な感情)」といった「脳」の発達段階をたどるわけですが、その際に必要不可欠なのが、脳が「安定している」ということ。つまり、脳は安心や安定を感じていないと正常な発達をしない。「キレる」といった現象の大きな原因は、成長段階における脳の不安定感にあり、小学生までの時期に十分な脳の形成ができていないことに起因するということです。
 では、どうしたら「安心・安定という脳」をつくれるのか? どうやったら脳を正常な情操域まで発達させることができるのか? 上土井先生が提唱される「是が非でも必要なもの」は、次の2点。

①「抱き上げる」「さわる」「言葉をかける」「誉める」「認める」という、親や周囲の愛着
②安心のホルモン「セロトニン」

 セロトニンは「癒し」の神経伝達物質で、このホルモンが脳内で分泌されると平常心・安心感・満足感という感情が促進され、「がんばるときに、がんばれる力」や「失敗しても立て直す力」を生み出すそうです。そして、セロトニンを分泌させるのに必要なものは、次の2つ。

①よい睡眠(午後8時~午前6時)     ②バナナや乳製品といった食品

 午後10時~午前2時の間に「脳を休め疲れを取るホルモン」が、逆に午前6時には「活動するホルモン」が脳から分泌されるそうです。それらのホルモンが規則正しく分泌されることで、セロトニンの分泌が促される。また、目の裏に「起きる脳」があり、朝陽の光(約3万ルクス)が直接「起きる脳」に作用して「活動するホルモン」の分泌を促す。逆に夕陽の光は「休める光」で、「脳を休め疲れを取るホルモン」の分泌を促す。つまり「光」がホルモンの分泌に大きく影響するから、寝る前のゲームやメールの光は強すぎて脳を起こそうとするし、朝にカーテンが閉まっていて朝陽を遮断してしまうと、なかなか脳を起こすホルモンが出にくいというような悪影響を及ぼしてしまうわけです。それから、バナナや乳製品には、セロトニンがたくさん含まれており吸収も早いので、特に朝食に摂取するのが有効であるとも聞きました。
 子どもの身体的・精神的な発育・成長に、睡眠や食事は多大な影響を与えることは周知のこと。睡眠時間や排便、朝食は、子どもの体調や学力、精神状態と密接な関係があります。「寝る子は育つ」だけでなく、「寝る子は落ち着く」「寝る子は学力も伸びる」ということです。

 以下に紹介する標語は、6年生の田原伸輝(たばらしんき)さんの作品です。1学期に給食委員会が行った「朝ご飯って大事だね! 朝食標語」の募集で、見事「校長先生賞」に輝きました。おばあちゃん手作りのふわふわホクホク食パンを、美味しそうに頬張る伸輝さんの可愛い頬っぺが想像できます。心温まる素晴らしい作品ですね。

「 縁 」

     この夏、校長室には雨空を吹き飛ばすようなサプライズの来客が、3組ありました。
 1人目は牛深小学校の卒業生。他県の全寮制高校に進学し、知り合いも少ない中でホームシックにも打ち克って、この春に卒業。海運会社に就職し、貨物船で遠く東北まで航海するとのこと。「3ヶ月ぶりに帰ってきました。」と元気な顔を見せてくれました。担任をした小学4年生の頃のあどけない表情は残しつつもキリッとした顔で、初心者マークをつけた車を運転する姿に、ただただ感動しながら見送りました。
 次は30年来の教え子二人組。私の教職最初の赴任校である東海第二高校(現熊本星翔高校)の卒業生。今年で46歳になるとのこと。私が転勤する度に、ハーレーとビッグスクーターでツーリングがてら顔を見せてくれます。上の写真は、10年程前に天草町の大江小学校に遊びに来てくれた時のもの。190㎝近くの巨人(!?)を当時の子ども達も目を丸くして見上げていました。
 3人目は、その大江小学校の卒業生。写真の赤いビッグスクーターに跨がっている女の子。現在は県北の病院で看護師として頑張っています。小中高とソフトテニスに打ち込み、九州でも名の知れた選手でした。東海二人組と一日違いの来訪で、「お兄ちゃん達と会いたかった」と悔しがっていました。
 教師も30年もやっていますと、いろんな所に教え子がいて、彼ら(彼女ら)が年齢や場所を超えて不思議な縁で結びつき、関わり合っていることがたくさんあります。同じ会社の上司と部下、会社員と取引先、先生と生徒という関係もあるようで、それぞれの「縁」の不可思議さに驚くばかりです。
 それらの「縁」をつなぐ役割を少なからず果たせていることを、とても嬉しく思います。30年近く経った今も「先生」と言ってくれる子ども達に感謝するとともに、暇を見つけては、遠くから車を飛ばして顔を見せてくれることを、本当に有り難く思います。早いもので、初代の教え子達は来年50歳(うわ-!!)になりますので「子ども達」というのは語弊がありますが、私にとっては、姫戸小学校の子ども達と同じように、いつまでもやんちゃで可愛い子ども達。私の掛け替えのない「宝もの」であり、毎日毎日を生きていく上での心の支えとなるものです。
 先日も別の教え子から「先生、独り暮らしは初めてでしょう。ご飯つくりに行きましょうか」って電話がありました。白髪は増えるばかりですが、教え子達に心配をかけないよう、炊事・洗濯はもちろんのこと、今、目の前にいる姫っ子一人一人のために、校長としてやるべきことをしっかり頑張ろうと、決意を新たにしたサプライズになりました。

やっぱり、子どもたちの笑顔が一番!

 2学期が始まり一週間余りが経ちました。長く降り続いた大雨とコロナウィルス感染症の拡大により、外で思いっきり遊んだり、家族でどこかにお出掛けしたりといったことは、ほとんどできない夏休みになってしまいました。熊本県のまん延防止等重点措置も延期される見通しです。学校といたしましても、ご家庭や地域と協力しながらコロナ感染拡大防止対策にしっかり取り組んでまいります。
 始業式は密集を避けて放送で行いましたが、各教室から子どもたちの元気な挨拶の声や、問いかけに対する溌剌とした返事が放送室まで届きました。休み中はあんなにガラ~ンとしていた校舎が、一気に生気を取り戻したかのようです。昨年に引き続くコロナ禍で「夏休みを十分に楽しめただろうか」という我々の心配を吹き飛ばすように響き渡る笑い声。やっぱり、子どもたちの笑顔が一番!