校長室だより

2021年11月の記事一覧

自分と同じように友だちを大切にする

 11月15日(月)~26日(金)は人権旬間です。以下の3つを目的に取組を進めます。

◯かけがえのない自分自身を自覚し、お互いの違いを認め合うことができるようにする
◯相手の気持ちになって考えることの大切さを知り、助け合うことができるようにする
◯人権の尊さが分かり、身の回りにある不合理や矛盾に気づくことができるようにする

 同時に我々職員も、この人権旬間を、自分自身の人権感覚や人権教育に対する認識をあらためて問い直す場として捉え、真摯に自己研鑽に努めてまいります。
 11月18日の校長人権講話では、

①「自分」の命を守る
②「自分」をほめる
③「自分」のいいところが分かる
④「自分」の気持ち(心)を受け入れる
この4つが「自分を大切にする」基本であり、日常の生活の中で「自分で」意識的に行ってほしいこと。その手助けをするのが家族、先生、地域、友だちであること。そして「自分」を「友だち」に置き換え、日頃の友だちの表情や行動に気を配り、「今日は調子が悪そうだな」「様子がどこか変だ」「なんか辛そう」と、友だちの気持ちを推し量ることの大切さを話しました。
 数年前、新聞に、ある女性からの投稿が載りました。女性の息子さんはクラスの「いじられキャラ」で、数人から本気なのか、冗談なのか分からない「いじり」を受けていました。
 周囲も本人が一緒に遊んでいるのか、嫌がっているのか、判断できない状況のなかで、ある大柄の男の子が「もういいやろ。やめろや。」「行こうぜ。」と手を引っ張ってくれたそうです。帰り道、息子さんが「ありがとう。」と言うと、男の子は「え? なんで?」と応えます。
 後日、授業参観で男の子のお母さんと会い、息子から聞いたいきさつを話すと、「それが正しいと思ったんでしょうね。」とだけ言われて、「男の子も、お母さんも、まっすぐだなぁ」と心から感服した、という内容でした。その大柄の男の子が、のちに大リーグのヤンキースで活躍する田中 将大(たなか まさひろ)投手です。
 彼は、「いじられている」友だちの表情から「あれは楽しく遊んでいる顔じゃない」「やめさせるのが『友だち』として当然のことだ」「それが正しい行動だ」と考えたのでしょう。彼にとっては当たり前の行動をとっただけだから、「ありがとう」と言われて「え? なんで?」となったのでしょう。「状況をよく見る」そして「自分が正しいと思うことを、勇気を持って行う」という心構えと行動力が、その後のメジャーでの大活躍につながっているのだと思います。
 学校では、①人権学習における学級目標・個人目標の設定・実践、②「心のアンケート」の実施、③全児童を対象とした教育相談、④なかよし集会(11月24日)、⑤振り返りチェックシートによる評価・改善策の立案、⑥人権をテーマとした授業参観の実施など、児童と職員が一緒に「学び」を深めていきます。ご家庭でもお子様の「いいところ」「努力の過程」「毎日元気でいてくれること」をしっかり誉めていただくと共に、「人権」や「差別」について話題を持っていただければ幸いです。

受け継ぐ伝統・巫女舞

 10月23日(土),24日(日)に姫戸町の姫浦神社、姫石神社、諏訪神社の秋の例大祭が催され、神事及び巫女による「浦安の舞」奉納が行われました。志水実子先生、橋本京子先生のご指導のもと、6年生の緒方采奈さん吉中亜海さん林田侑來さん山本佳歩さん浦本結愛さん、5年生の山本絵美梨さん川本みのりさんが巫女舞を披露しました。夏休みから稽古を積み重ねてきた成果が、神前の厳かな雰囲気の中で雅(みやび)やかで優美な舞として表れていました。素人目にも一つ一つの所作がとても難しい舞でしたが、背筋がぴっと伸び、指先やつま先まで意識を届かせた、とても素晴らしい巫女舞でした。
 神事のあと、子どもたち、職員一人一人の健康を祈念して、糀本先生と一緒に玉串をお供えさせていただきました。来年こそコロナも収束し、各地区で盛大に「子ども神輿」も行われることを祈るばかりです。

荘厳! 二間戸小学校跡地の大銀杏

 二間戸小学校跡地の大銀杏。昨日も学校帰りに立ち寄ってみました。樹齢推定300年、幹囲5.07m。樹高約21.5m。校庭の庭木として児童の成長と地区住民を見守ってきました。この小学校の敷地は旧二間戸庄屋(田中家)の跡地で、イチョウの木はその庄屋の庭先に植えられていたようです。 もともと樹高は40mだったのですが、平成3年の台風で幹が折れ現在の高さになったとのこと。今は地区の公民館敷地となり、イチョウの木は大切に保存されています。上天草市指定天然記念物です。

 夜はライトアップされて、川面に映る輝くような金色(こんじき)と相まって、息をのむような美しさです。 近くには、二間戸小学校之碑とともに入学児童の氏名が記載された記念板もあり、明治7年2月に開校、明治38年6月二間戸尋常小学校として独立(男子80名・女子68名・計148名)、昭和16年4月学制改革により二間戸国民学校と改称、昭和22年4月姫戸村立二間戸小学校と改称、昭和34年3月に姫戸小と統合のため閉校、という積み重ねられた永い歴史を感じさせます。

 昨夜はちょうどお月様が大銀杏の枝にかかっていて、1時間ほど、ぼんやりと眺めていました。散歩の途中に見上げに来られる方、本渡から大銀杏に逢いに来たという二人組、「今年もありがとう」と大木に声をかけていらっしゃる方、長い時間ずっとカメラを構えて撮影されている方など、それぞれが、それぞれの心を癒やされに大銀杏の袂に集います。 

単純に「きれいだなぁ」と思えるもの

 

 立冬を過ぎ、ひと雨毎に朝夕は冷え込み、日中の陽射しも弱まって来て、冬が近いことを感じさせます。今年は「暑-い晴れ」から「寒っ困る」まで、あまり期間がなかったように感じました。

 しかし、秋の青空は格別です。写真は11月3日に眺めた白嶽の山頂からの景色(登り坂が結構続いて息が上がりました)。「天高く馬肥ゆる秋」なんて言葉にもあるように、秋の空に目をやると高く感じるものです。実はこれ、気のせいではなく本当に高く見える理由があるとのことです。テレビ番組でもお馴染みの気象予報士、喜田 勝さんによると「晴天をもたらす高気圧は季節によって出身地が変わり、秋に日本列島を覆うのは、大陸からの高気圧。水蒸気が多いと空は白っぽく見えますが、大陸からの高気圧は乾燥しているため、スッキリした青空になるんです。春の高気圧も大陸出身ですが、この季節はまだ草木が生長しておらず、土や砂が舞い上がりやすいもの。これらが空気中に多く含まれるため、春の空はかすんで見えることが多くなります」とのこと。そして秋の空が高く見えるもうひとつの理由は、雲の種類。「秋は上空の高いところにできる雲が多く、青空の見える範囲が広くなるので、空がより高く見えるのだと思います。秋に多い雲は、ひつじ雲やうろこ雲。ハケでサッと書いたような雲などもよく見られますね」だとか。

 下の写真は金木犀(キンモクセイ)。十数年前に、ある公園で小山のような巨木を見つけて以来、毎年決まったように眺めに行きます。枝全体に黄金をちりばめたような金木犀が爽やかな秋の青空を背景にゆったりと繁り、辺りを包み込む甘い香りが心地よく、しばらくぼぉ-っと見上げていました。人間の目には「補色調和」という性質があって、補色同士だとより鮮やかに見えます。青の補色は黄色~オレンジ色。紅葉の山と青空という組み合わせは、絶好の被写体のようです。

 嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、苦しいこと…心の内にある様々な感情を一旦脇に置いて、あ-綺麗だなぁと単純に感動できる空や雲、花、星空といった風景は、ひとにとって、とても大切なものかも知れません。

 

大切な、大切な命を守るために

 10月27日夕方、上天草市の国道で道路を横断していた小学1年生の男子児童が軽貨物車にはねられ死亡するという大変痛ましい交通事故が発生しました。将来のある幼い命が失われたことは痛恨の極みです。
 悲報を受け、翌28日には臨時朝会を開き、事故の経緯や子ども達への交通安全指導について職員全員で共通理解を図りました。8時35分から龍ヶ岳町の方角を向いて全校で黙祷した後、各学級で、事故を防ぐためにはどうすればよいのか、自分の命を守るために何をすべきなのか、について考える時間をとりました。

◎道路を横断する際は横断歩道を利用し、左右の安全確認を必ず行うこと。
◎歩行者は、右側通行を遵守すること。
◎自転車に乗るときは左側通行を遵守し、ヘルメットを着用し、一時停止等の安全確認を行うこと。
◎朝や夕方、夜間は、車にはっきり分かるように、歩行者も自転車利用者も反射材用品を着用すること(休日も)。
◎危険予測・回避能力を身につけ、「自分の命は自分で守る」という意識で自ら交通環境に応じた適切な行動をとること。

 この5つの約束を肝に銘じて、このような悲劇は二度と繰り返してはなりません。事故現場で手を合わせながら強くそう思いました。ひとの命を一瞬にして奪ってしまうかもしれない交通事故。私たちはかけがえのない命を理不尽に失う危険と隣り合わせに生きています。交通事故を起こさないことはもちろん、不運な事故に遭わないために何ができるのか一緒に考えましょう。
 ご遺族の皆様のご心痛はいかばかりかとお察し申しあげます。
 心よりご冥福をお祈りいたします。