校長室だより

単純に「きれいだなぁ」と思えるもの

 

 立冬を過ぎ、ひと雨毎に朝夕は冷え込み、日中の陽射しも弱まって来て、冬が近いことを感じさせます。今年は「暑-い晴れ」から「寒っ困る」まで、あまり期間がなかったように感じました。

 しかし、秋の青空は格別です。写真は11月3日に眺めた白嶽の山頂からの景色(登り坂が結構続いて息が上がりました)。「天高く馬肥ゆる秋」なんて言葉にもあるように、秋の空に目をやると高く感じるものです。実はこれ、気のせいではなく本当に高く見える理由があるとのことです。テレビ番組でもお馴染みの気象予報士、喜田 勝さんによると「晴天をもたらす高気圧は季節によって出身地が変わり、秋に日本列島を覆うのは、大陸からの高気圧。水蒸気が多いと空は白っぽく見えますが、大陸からの高気圧は乾燥しているため、スッキリした青空になるんです。春の高気圧も大陸出身ですが、この季節はまだ草木が生長しておらず、土や砂が舞い上がりやすいもの。これらが空気中に多く含まれるため、春の空はかすんで見えることが多くなります」とのこと。そして秋の空が高く見えるもうひとつの理由は、雲の種類。「秋は上空の高いところにできる雲が多く、青空の見える範囲が広くなるので、空がより高く見えるのだと思います。秋に多い雲は、ひつじ雲やうろこ雲。ハケでサッと書いたような雲などもよく見られますね」だとか。

 下の写真は金木犀(キンモクセイ)。十数年前に、ある公園で小山のような巨木を見つけて以来、毎年決まったように眺めに行きます。枝全体に黄金をちりばめたような金木犀が爽やかな秋の青空を背景にゆったりと繁り、辺りを包み込む甘い香りが心地よく、しばらくぼぉ-っと見上げていました。人間の目には「補色調和」という性質があって、補色同士だとより鮮やかに見えます。青の補色は黄色~オレンジ色。紅葉の山と青空という組み合わせは、絶好の被写体のようです。

 嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、苦しいこと…心の内にある様々な感情を一旦脇に置いて、あ-綺麗だなぁと単純に感動できる空や雲、花、星空といった風景は、ひとにとって、とても大切なものかも知れません。