学校だより

学校だより

寄贈していただきましたm(_ _)m

 熊本日日新聞の記事を読んで感激し、不躾にも、すぐにお電話を差し上げ、お伺いさせていただきました。
 天草大王の生みの親、山口 緑さんの絵手紙集『日々是日』。ご主人様と歩んでこられた50年余りの思い出、ご友人達との大切な出会いなど、季折々の事柄と想いを書き留められた絵日記です。
 その繊細な感性、大らかで直向きな姿勢、自然や人への感謝の心が、言葉やスケッチの端々に陽光のように漂い、読む人をほっと安心させ、爽やかで懐かしい気持ちにさせます。私は特に「淡いバラの花」と「豆まき」にホロッときました。児童も職員も、手に取って読んでいます。ありがとうございました。

くれよんがおれたとき

 今日の給食の放送は、皆がお待ちかねの読み聞かせ。図書委員の5年生 寺尾さん が読んでくれました。スピーカーから聞こえる寺尾さんの優しい語り口と主人公の気持ちを想像させる感情豊かな表現に、給食を食べるのも忘れて、子どもたちも、職員も、シーンと聞き入っていました。
 絵本の題名は「くれよんがおれたとき」。作者は「かさい まり」さん。「こぐまのクーク」物語シリーズや「さよならまたね」など、やさしい絵と文で描く動物たちが主人公の作品で知られています。

 子どもにとって宝物の一つであるクレヨンを、それも新品ピッカピカのクレヨンを自分より先に使われて、グリグリやられて、しまいにはボキッと折られちゃって、どんなに「ごめん」って謝られても素直に許せなくて‥。そんな経験って、誰でも一回はありますよね。何とも言えない気持ちになります。最後は心が通じ合って仲直り‥‥なんですが、モヤモヤする気持ちが完全に消えるわけではありません。
 関係ないかもしれませんが、ふと吉野 弘さんの「夕焼け」という詩を思い出し、濱﨑伸太郞先生からお借りしている「吉野弘」詩集を開いてみました。

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に。
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をギュッと噛んで
身体をこわばらせて---。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。

 クレヨンを折られても「また買ってもらうからイイよ」と爽やかに許せる人が良い人のように見られるけど、それもどうだか‥。なかなか買ってもらえないのが普通だろうし、そもそも、見れば新品だと気づくだろうし、人の「新品」を普通に「貸して」って自分は言えないかなって。
 電車のやさしい心の持主も、新品を「貸して」とは決して言えない部類の人なんだろうなぁ、とか、アレコレと考えました。

 日常の光景をそのまま切り取って、やさしさとは何かを問いかける「くれよんがおれたとき」と「夕焼け」。人として大切なことを考える機会を得ました。寺尾さん、ありがとう。

 

海にお舟を浮かばして 行ってみたいな よその国♪

 お隣の永木造船所で、船の進水式がありました。あいにく進水の瞬間は見逃してしまったのですが、昨日まで陸に上がっていた巨大船が堂々と海に浮かんで、船体の鮮やかな青色が陽光に輝く様をしばらく見とれていました。

海は広いな 大きいな
月がのぼるし 日が沈む

海は大波 青い波
ゆれてどこまで続くやら

海にお舟を浮かばして
行ってみたいな よその国

 前日には、永木秀人代表取締役様が来校され、子どもたちと職員にと「紅白餅」をいただきました。ありがとうございました。柔らかくて美味しかったです。

2つのキーワード

※昨日2月2日に開催しました「令和5年度入学 新入生保護者説明会」の校長あいさつの内容をお知らせします。

 みなさん、こんにちは。校長の 坂田達徳 と申します。本日はご多用の中、新入生保護者説明会においでいただきありがとうございます。大切なお子様をお預かりするにあたり、説明させていただくことがいくつかありますので、ご協力をお願いいたします。

 さて、今日は私から「2つのキーワード」という提案をします。ちょっと聞いてくださいね。 だいたい朝は、こんな状況でしょう!? 私もそうでした。お布団引っ剥がして、顔洗わせて、ご飯食べさせて、歯磨きさせて、トイレに行かせて、洋服着せて‥‥、こんな状況で「あ~、アレどこにある?」だの、「アレ持って行かなんかった~」だの騒ぎはじめてイライラは最高潮に(二男は高校生までこんなでした)。母にだいぶ助けてもらいました(ありがとうm(_ _)m)。朝は、どの家庭もバタバタ、大忙しです。しかも、保育園と比べて小学生の朝はちょっとだけ早くなります。
 そんな朝だからこそ、ちょっとだけ心に「余裕」を持つ! 台所から「もう時間だよ!早く起きなさい!」という怒鳴り声ではなく、布団のところにいき、ひとまず「ぎゅぎゅっ」と子供を抱きしめる。この「ぎゅぎゅっ」が一つ目のキーワード。
「おはよう」と声をかけて、手や腕やほっぺをマッサージ。起こした後は、そのままトイレに連れて行って、おしっこ。この「余裕」と「流れ」が大切! そのためには前夜寝るまでに、宿題と準備を終えておくのが基本。宿題は側で見守ってください。クッキングタイマーで時間を計りながらやらせるのがポイントです。ランドセルの底には、化石と化したテストプリントがあります。ポケットのハンカチは、すでに3日そのままです。筆箱の消しゴムは、ちぎったり鉛筆を刺したりしています。鼻をかんだティッシュが筆箱の隅で硬くなっているかもしれません。

 大切なのは、前日早め早めの準備とお子さんへの「聞き取り」です。子どもはギリギリまで言い出しません。友達のランドセルを間違って持って帰っても、ず~っと言い出せずに悩んだ末に、翌朝になって出勤しようとする親にやっと「行くな~。」と言うものです。早めの準備と子どもの表情も見ながらの「聞き取り」があってこそ、穏やかな朝が訪れます。2つ目のキーワードは、「あと10分!」
テーブルの目の前に時計をおいて、「あと10分で、ご飯を食べます!」と言います。もし、その時間までに食べ終わらなければ、そこで食事はおしまい。というように時間で区切ることが大切です。そのためには「朝からすること、順に5つ!」という予定表を、子供さんと話しあって決めて、目につきやすい壁に張っておくと便利です。
「あと10分で、家を出ます!」「あと10分で、ゲームを終わります!」と活用してください。

 この2つのキーワード「ぎゅぎゅっ!」「あと10分!」には、生活の大事な要素が含まれています。

 一つは、「愛されているという実感」です。子供は、我々もそうです、「愛されている」と思えるから頑張れる。
朝一番に、その実感を与えてください。

 もう一つは、「時間の意識」です。自分の目で時計を見て、もしくはカレンダーを見て、「何時までに仕上げる」「何日までに仕上げる」という感覚を育てます。社会で生きていくために、とても大切な感覚です。

 では、4月11日。7名の新入生の入学を、心待ちにしております。

言葉に関心を持つ

 読解力の土台となる「語彙力」ですが、どのように高めればよいのでしょう!?
 通常、人は上図のように「視覚イメージ」「単語」「語の組み合わせ」の3つの要素の重なりで語彙を身につけるそうです。視覚イメージと単語が結びついていないと「アレだよ、アレ。何て言ったっけ?」になり、単語と語の組み合わせが結びついていないと「ふんいき? ふいんき? どっちだっけ?」になります。

 語彙数が少ない子どもは、自分の心の中で表現する言葉が乏しく、キレやすく、ストレスも溜まりやすいという報告もあります。

 まずは、「言葉に関心を持つ」ことに視点を置き、子どもがたくさんの言葉に触れて言葉の面白さを感じ、楽しみながら言葉を獲得するような環境づくりが必要です。最も効果的なのは、昔ながらの「なぞなぞ」「しりとり」だと言われます。知的好奇心を高め、「聞く力」「言葉のまとまりを捉える力」を育みます。
 姫戸小学校では音韻認識を高めるために、教育委員会の辻川先生のご指導のもと全学級で「音韻トレーニング」を行っています。音韻認識とは単語がいくつの音のかたまりに分かれているかが分かり、どの音がどの順に並んでいるかを理解・操作できる力のことです。この力は、子どもの読み書きの発達を支える大切な能力だともいわれています。
 例えば「りんご」は「り」「ん」「ご」と3つの音から成り立ち、「り」「ん」「ご」という順序で成り立つ言葉です。「り(手拍子)」「ん(手拍子)」「ご(手拍子)」と、1音ごとに手拍子を打ちながら、手拍子の音で区切りを提示するトレーニングをします。または、「しんぶんし」という単語で、「3番目にくる音は何?」や「4番目の音を取ると?」と指定して発音させるトレーニングもあります。
 「ぎなた読み」も家族で楽しく学習できる方法です。いくつか紹介しますね。
〇「はなこさんじゅうごさい」は文章の区切りによって、「花子、35歳」→「花子さん、15歳」と、20歳ほど若返りました!
〇「きょうふのみそしる」→「恐怖の味噌汁」→「今日、麩の味噌汁」 私も小学生の頃に言ってました。定番!
〇「ねこのたましい」→「猫の魂」→「猫のタマ、しいー!」(口元に人差し指を当てて「静かに!」のポーズを取りながら読みましょう♪)
〇「ぼくさーがちょうのようにまう」→「ボクサーが、蝶のように舞う」→「僕さー、ガチョウのように舞う」(どっちかというと、ガチョウのように舞う方が見たいかも)

 皆さんに是非お勧めしたいのは、姫戸小中合同で推進している毎月23日の「2コニコ3サン読書の日」の活用です。月に一度は、テレビやゲームを止めて家族で読書‥‥も良いのですが、私が一番記憶に残っているのは、母の読み聞かせと祖母の昔話です。いつも先に寝入って絵本を落とす母と、怖い昔話の最後に「わっ」と驚かせる祖母でしたが、言葉への関心と好奇心はそこで育まれたと思います。 ご協力をよろしくお願いします。