学校だより

学校だより

「声」をそろえる

 6月の校長人権講話のテーマは「あいさつ」。皆で「声」を揃えるということ。意識は向上してきましたが、なかなか揃わない「おはようございます」。

 子ども達によると、「地域の方や保護者の皆さんの見守りには、とても感謝している」「でも、自分が率先して大きな声はちょっと‥‥恥ずかしい」「班の誰かが大きな挨拶をしてくれれば、自分も言える」という素直な本音が聞かれました。

 この「あいさつ」のことは、先日開催した学校運営協議会でも話題になり、委員の皆様からは「子どもの明るい挨拶や笑顔は、私たちの元気の源です」「大人から先に挨拶するようにしている」「下校時は、おかえりって声をかける」
「次第に挨拶の声が大きくなってきています」というご意見をいただきました。
 子ども達に今後どうしたいのかを尋ねると、登校班毎の話し合いの結果、「もっと元気よく挨拶したい!」ということで意見がまとまり、各班の担当職員も交えて、4月の交通安全教室で行った横断の訓練を、今回は「あいさつ」や「声を揃える」を意識して再度、練習し直すことになりました。

 高学年だから率先して大きな挨拶をしなければ、ということではありません。学年にかかわらず、一人一人に「もうちょっとの勇気」「自分を変えるチャンス」「想いは、言葉や態度で伝える」という意識の高揚をねらいとしました。
 6年生のみんなが自主的に、「あいさつ、あつまり、あとしまつ、ありがとう」の「4つのあたりまえ」の大切さを訴える動画を制作してくれました。随所に「自分たちがまず実践しよう」「しっかり後輩たちに伝えよう」という意欲と工夫が溢れています。姫戸小学校HPに掲載しております。6年生や大谷先生の熱き想い、真剣さ、誠実さがひしひしと伝わる素晴らしい動画です。姫小の宝物が、また一つ増えました。ありがとうございます。皆さん、是非ご覧ください。(←メニューの「動画」をクリックして下さい。)

みどりのそよ風

 「みどりのそよ風」   清水かつら

みどりのそよ風 いい日だね
蝶ちょもひらひら 豆の花
七色畑に 妹の
つまみ菜つむ手が 可愛いな

みどりのそよ風 いい日だね
ぶらんこゆりましょ うたいましょ
巣箱の丸窓 ねんね鳥
ときどきおつむが のぞいてる

 日本を代表する童謡詩人である清水かつらは、明治31年に東京都で生まれ、関東大震災後、埼玉県和光市に移り生涯を送りました。東武東上線・和光市駅前には、清水かつらが作詞を手掛けた『叱られて』、『靴が鳴る』、『みどりのそよ風』の歌詞が刻まれた歌碑が建立されています。武蔵野の自然と子どもの純真さを愛して作詩した数々の童謡は、今も変わらず人々に親しまれています。
「叱られて」(あの子は町まで お使いに この子は坊やを ねんねしな)
「あした」(おかあさま 泣かずにねんね いたしましょ)
「靴が鳴る」(おててつないで 野道を行けば)
「雀の学校」(チイチイパッパ チイパッパ♪)
「おむすびころりん」(おむすび ころりん すっとんとん♪)  など、多くの作品を世に出しました。

 木々の緑が、一層鮮やかさを増してまいりました。木立の中にいますと、朝の透き通った木漏れ日に様々な野鳥のさえずりが響き渡ります。
 5月21日は二十四節気でいう小満(しょうまん)。小満とは自然界のすべてのものが次第に満ちてくることをいいます。生き物が成長し万物に生気が満ち、果実は実り、草木は繁るという時期を意味するといいます。6月6日は芒種(ぼうしゅ)。イネなどの芒(のぎ)のある作物の種をまく時節というところから芒種といわれます。現在の田植えの時期は随分早まりましたが、昔の田植えの時期はこの頃であったようです。

 ところで、この青葉の今の時期を呼ぶ名に「麦の秋」という言葉があります。「麦秋(ばくしゅう)」「麦秋(むぎあき)」などともいわれます。麦という植物が黄金の穂をたわわにつけ収穫の時期を迎えるのが5月下旬~6月初旬の初夏であるため、麦にとっての「秋」(=麦の収穫時期)という意味から「麦秋」という季節の呼び方が生まれたようです。青葉が盛んに繁り、稲の苗代に若い苗が育つこの時期、麦は早くも収穫の時期を迎えます。日に輝く黄金色の穂は美しく、麦畑を風がわたるときの乾いた音は耳に心地よいですね。

 麦の秋あからあからと日はくれぬ  正岡子規 (まさおか・しき)

 正岡子規の故郷である愛媛県は裸麦の生産が盛んな地域です。青空の下に金色の穂が輝き、爽やかな風に揺れる光景は、見とれるほどの豊かな景色です。

「気づき」「考え」「行動する」


 姫戸小には、4~6年生で構成される7つの委員会があります。運営委員会、放送委員会、環境栽培委員会、保健委員会、図書委員会、給食委員会、体育委員会です。この委員会活動は、①学校生活上の問題を、自分たちで解決する。②行事やイベントを、自分たちで計画・運営する。 ③集団活動で、自主性と社会性を身に付ける。の3つを目的に、年間を通して、児童主体で活動します。

 上の写真は、図書委員会が、校内に設置している「立ち読みコーナー」です。高学年コーナーには、北垣ななみ委員長と山下結愛副委員長のお薦めの本が並べてあります。「本を開いて、ほっと 一息!」というメッセージも添えられています。ふと手にとって、読んでみたくなりますよね。

 下の写真は、放送室に掲示されている「放送の心構え」と、斉藤希委員長が率いる放送委員会のメンバー写真です。他の子ども達に、最近の「HHK姫小放送局」の感想を聞くと「朝の放送を聞くと、今日も頑張ろうって思う。」「放送委員の言葉が明るく、はきはきしてて、とても聞きやすい。」と、もっぱらの評判です。
 さぁ、7つの委員会が、これからどんな活躍を見せてくれるのか、とっても楽しみです(^o^)。

力戦奮闘~悔いを残さず、思い出残す~

 5月15日(日)、少し肌寒いくらいの絶好の運動会日和。時折の小雨も、子ども達は全く意に介せず、まさに、このスローガン通りの、気迫に溢れ記憶に残る運動会になりました。
 たった2週間の練習期間、しかも予行練習は雨で中止。しかし、校内に響き渡る練習の声、応援団員の熱気、軽快なダンスのリズムと歓声が徐々に高まっていくのを感じ、「本番に強い姫っ子だから」と全く心配をしていませんでした。
 前週末には、寺尾PTA小学校会長、寺中PTA中学校会長を中心とした有志で運動場の除草をしていただきました。前日には、部活を終えた中学生がテントを張ってくれました。小学校の山中先生、中学校の池林先生には、4月から除草や整地等に取り組んでいただき、最高のグランドコンディションで実施することができました。体育主任の斉藤先生・清水先生、金子教頭先生・大塚教頭先生は細やかな打ち合わせと一致団結した行動で、運動会運営に尽力してもらいました。子どもと保護者・学校が力を結集し、心を一つにできた運動会でした。来年こそは地域の方をご招待したいです。
○応援合戦:揃った演舞と掛け声。気合いが入りました。
○徒走:転んでも起き上がり、全員が完走しました。
○1,2,3年ダンス:涙が出そうなくらい可愛かったです。
○姫っ子ソーラン:伝統の低い構え。気迫。カッコよかった。
○中学生表現:美しさとユーモアで会場を沸かせました。
○パワーフラッグ:中学生の意地と力強さが素晴らしい!
○紅白玉入れ:みんなで頑張った成果。同点ミラクル!
○綱引き:観戦している方も、グッと力が入りました。
○リレー:越しつ越されつのデッドヒート。白熱しました。
○6年生親子対決リレー:かよい合う愛情を感じました。素晴らしい! 

 みなさん、大きな、大きな感動をありがとうございました。

自分の命は、自分で守る

 先月20日に地震津波避難訓練を、21日に交通安全教室を行いました。
 姫戸駐在所の水深さん、交通指導員の方々や「母の会」の皆さまにおいでいただき、危険回避の在り方について学びました。子ども達一人一人の心に育てたいのは「自分の命は自分で守る」という自覚です。
災害避難では、
◯身の回りの「危険」に気づく
◯避難の仕方をしっかり身につける
◯家族で準備・話し合いをしておく
交通事故防止では、
◯道路に、絶対に飛び出さない
◯手を挙げて、「右よし」「左よし」「右よし」を確実に行う
◯自転車の正しい乗り方を身につける
ことの大切さをあらためて学びました。
 毎朝の登校の見守りをはじめ、巫女舞や子ども神輿、七夕飾り、読み聞かせなど、この姫戸町は、子どもの健全な育成を願い、町全体で熱心に取り組まれています。雨の中、交通教室に20名もの地域の方が来校され、熱心に指導される様子は、私も教職30年になりますが他所に見たことがありません。
 その溢れる程の地域の愛情に応える第一歩が、「自分の命は自分で守る」という子ども達の「自覚」と「行動」です。家庭や学校の責務は、それらの早期育成にあります。
 駐在所の水深さんが「練習は真剣にすれば何回でも失敗してよい。しかし本番は絶対に失敗できない。だから何度も何度も練習しているんです」と話されました。
 毎日の登下校は、見守りの方々の支援のもとに行っている「命を守る練習」です。地震津波・火災・不審者避難訓練を毎年必ず行うのも、本番で命を守り抜くためです。 
 姫っ子たちは、そんな地域や保護者の願いをよ~く分かっているようです。みんな真剣に目と、耳と、心で話を聞き、しっかりと取り組んでいました。

 

ご入学おめでとうございます

 元気いっぱい、ぴっかぴかの新1年生14人が姫戸小学校に入学しました。お兄さん、お姉さん、先生たちみんなで首を長~くして待っていましたよ。

 校長式辞の一部をご紹介します。
(前略)
 さて、新入生の皆さん、今朝、学校に登校して「あること」に気づきましたか?
靴箱にも、教室の机にも、椅子にも、道具を入れる棚にも、あなた達一人一人の「大切な名前」が書いてありましたね。
それは、「この教室が、この机が、毎日、あなたを待っていますよ」
「ここに、あなたの居場所が、きちんと用意されていますよ」という意味です。
おうちだけじゃなく、この姫戸小学校にも、あなたの「居場所」があります。
 担任の糀本先生は、あなたたち一人一人の声をしっかり聞いて、一人一人の想いを大切にする先生です。安心して、学校に来てください。あなたの温かい「居場所」で、のびのびと、自分らしく頑張ってください。        (後略)

 姫戸小学校は、基本理念として「学校は、子どもの夢をともに育み、拡げ、支える場所である」「子ども一人一人に寄り添おう」「子どものよいところを見つけ、気づかせ、拡げよう」「子どもは私たちの言動ひとつひとつを写す鏡である」ということを職員全員で周知・確認しています。
 また、保護者や地域の方々は「最高の子育てパートナー」です。子どもを中心に据え、相談しながら手に手を取り合って努力していきたいと思います。お電話やご来校をいつでもお待ちしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

新緑、目に眩し

 4月8日(金)快晴。

 姫戸小学校が、令和4年度の新たな目標や夢に向かって、子どもたちも職員も、一斉にスタートをきりました。
 「新緑、目に眩(まぶ)し」薫風香る皐月は、もうしばらく先ですが、桜が散った山々を望めば、モコモコと若葉が萌え初め、生き生きとした春の息吹を感じます。
 始業式で対面した子どもたちの、新たな学年に向かうキラキラとした瞳に、その「新緑」のまばゆさを感じました。呼応して「この子どもたちのために我々も頑張るぞ」という気迫を、職員全員から感じとった次第です。
 校長挨拶では、進級のお祝いと新学年における期待を述べるとともに、子どもたちに次のような話をしました。
①自分の命は、自分で守る。
 絶対に飛び出さない。道路を渡る時は、手を挙げて、右よし、左よし、右よしと必ず確認する。
②人の話は「目と」「耳と」「心で」聞く。
 しっかり聞いている人は、目が合います。うなずいています。その上で大事なのは、その話について自分の意見を持つこと。その意見を発表することです。
③学校では友だちの名前を「さん付け」で呼ぶ。
 自分を、友だちを、大切に、大事にするために「さん付け」をします。先生たちは、みんな一人一人に、同じように、平等に、真剣に寄り添います。だから、男の子も、女の子も、みんな区別なく、「さん付け」をします。学校では「さん付け」。じゃぁ、日曜日に友だちと遊ぶ時は? 大事なのは「呼び捨て」や「ニックネーム」について何度もみんなで話し合うこと。そのときに必要なのは「嫌なことは、嫌」と言う勇気です。

 なお、「さん付け」には賛否両論ありますが、公の場での振る舞いを身に付ける、教師と児童、児童同士の適正な距離を整える、性的マイノリティの尊重という観点で必要であると考えます。ご家庭や地域で話題にしていただければ幸いです。

歓迎遠足での、柊斗さんと池田先生と小野先生。碧い海と青い空。向こうに八代が見えますね。

ご卒業おめでとうございます

 令和4年3月24日(木)、爽やかな青空から穏やかな陽の光が照らす「春うらら」。皆さまの御陰をもちまして、第63回卒業証書授与式を挙行することができました。
 コロナウイルス感染症拡大防止のために、地域の方々をご招待できなかったことが唯一の心残りですが、18名の卒業生一人一人が立派に胸を張り、晴れやかな表情で巣立っていきましたことをご報告致します。校長式辞の一部をご紹介します。

(前略)
 いま、一人一人に卒業証書を手渡しました。皆さんが手にしている卒業証書は、6年間の学びがすべて修了したという証です。あとでそっと開いて、見てください。その卒業証書には、友達と違うところが三カ所あります。
 一つ目は、はじめに書かれている番号です。この番号は、あなただけの番号です。第一回卒業生から繋がっている番号です。そしてこの番号は、来年、再来年とずっと繋がっていきます。あなたは、この姫戸小学校の引き継がれた「伝統」の中に居るのです。
 二つ目は、もちろん、あなたの名前です。おうちの方があなたへの限りない愛情と、成長していくあなたへの願いを込めた大切な名前です。その名前を、小学校生活で何度呼ばれてきたことでしょう。小学生として名前を呼ばれるのも、今日が最後です。
 三つ目は、あなたの生年月日です。そこに書かれている日に、あなたの命が生まれ落ちたのです。家族やみんなが、どんなにあなたの誕生を待ちわび、喜ばれたことでしょう。あなたの命が生まれた日から、今日まで「四千数百日」。たくさんの方々があなたを見守ってくれました。心から愛し、大切に思いながら育ててこられたのです。あなたは 家族の 「宝物」 です。
 たくさんのことが詰め込まれたこの卒業証書は、姫戸小学校と皆さんを、また、一緒に卒業する仲間たちを固く結びつけるものです。 生涯、大事にしてください。 

 この、よき門出に次の言葉を贈ります。
思考に気をつけなさい、それはいつか 「言葉」になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか 「行動」になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか 「習慣」になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか 「性格」になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか 「運命」になるから。
 これはマザー・テレサの言葉です。人は、自分の口から発せられた言葉通りの人生を歩むことになる、という意味にも受け取れます。「できない」 「でも」 「だって」という負の感情を口にするよりも、何度失敗しても挫けず、「やれる!」 「大丈夫!」と果敢に立ち向かう意気込みを口にするべきである、ということです。身体は食べたもので作られますが、人間性は自分で言った言葉、人から言われた言葉で作られます。
 家族や友だち、先生、地域の方々がいつも、あなたを応援しています。
 希望の言葉を忘れず、堂々と前進してください。        (後略)

 2016年(平成28年)4月14日及び16日に発生した熊本地震は、卒業生18名が小学校に入学した直後の出来事でした。二度にわたる大きな揺れは天草にも伝わり、各所で避難所が開設されるほどでした。テレビに映し出される土砂崩れ、崩落した阿蘇大橋、寸断され波打つ道路、倒壊した家、変わり果てた熊本城の様子など、幼心に自然災害の脅威を感じ、恐怖感で眠れない夜もあったことでしょう。昨年の修学旅行では卒業生18名と一緒に熊本城や阿蘇方面を訪ね、熊本地震における被害や復興の様子、人々の願いや想いを自分達の目と耳と心で確かめてきました。
 また、この2年間はコロナウィルス感染症により活動の自粛を余儀なくされました。学校のリーダーとして活動したくても「3密」を避ける行動を強いられ、二ヶ月にも及ぶ休校、行事の中止や縮小も相次ぎ「頑張ろう」とする機会も奪われてしまいました。
 でも、そんな中、登校班で元気に「おはようございます」と下級生に模範を示す姿、姫戸小を更に良い学校にしようと励む委員会活動、応援団とソーラン節で盛り上げた体育大会など、卒業生18名一人一人の意気込みと努力、誠実な人柄を大いに感じた一年間でした。「ありがとう。」という感謝の言葉しかありません。ちょくちょく遊びに来てくださいね。先生たちも、後輩たちも、みんなで待っています。

ゆずり葉

  ゆずり葉         河井醉茗

 子どもたちよ
 これはゆずり葉の木です
 このゆずり葉は
 新しい葉ができると
 入り代わって古い葉が落ちてしまうのです

 こんなに厚い葉
 こんなに大きい葉でも
 新しい葉ができると無造作に落ちる
 新しい葉にいのちをゆずって

 子どもたちよ
 お前たちは何をほしがらないでも
 すべてのものがお前たちにゆずられるのです
 太陽のめぐるかぎり
 ゆずられるものは絶えません

 かがやける大都会も
 そっくりお前たちがゆずり受けるのです
 読みきれないほどの書物も
 幸福なる子供たちよ
 お前たちの手はまだ小さいけれど

 世のお父さん、お母さんたちは
 何一つ持ってゆかない
 みんなお前たちにゆずってゆくために
 いのちあるもの、よいもの、美しいものを
 一生懸命に造っています

 今、お前たちは気が付かないけれど
 ひとりでにいのちは延びる
 鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
 気が付いてきます

 そしたら子どもたちよ
 もう一度ゆずり葉の木の下に立って
 ゆずり葉を見るときが来るでしょう

 河井醉茗(かわい すいめい)は、明治7年大阪府堺市に生まれ、昭和40年に90歳で長逝。明治、大正、昭和を生き抜いた日本の詩人です。「文庫」の記者として詩欄を担当し、伊良子清白、横瀬夜雨、島木赤彦、北原白秋、服部嘉香、川路柳虹など多くの詩人を育てました。また雑誌「女性時代」「詩人」を刊行するなどして口語自由詩を提唱しました。
 ゆずり葉は暖かい地域の海岸近くに多く生息し、庭木としても知られます。実家の庭にも、私が生まれるずっと前から植えてあります(久玉では「つんのしば」と言います)。
 冬の期間、寒さに耐えて枝に付いているのですが、春になると、ぽろっと葉が落ちてしまいます。その落ちた葉の後には、次に出てくる若い芽がしっかりと育ってきています。落ちた古い葉は、冬の寒さから若い芽を守っていたのです。その様子が自分の命を次の葉にゆずっていくということで「ゆずり葉」と名付けられたのが由来だそうです。
 正月の鏡餅の飾りやしめ飾りに使われますが、新しい葉が出てくるまで古い葉が落ちないという特徴から、親から子へ受け継ぐこと、若い者が成長し年長者よりも先に亡くならず家系が代々永く続くことを願った縁起物として飾られます。
 万葉集の中にも、弓削皇子が額田王に読んだ歌でゆずり葉が出てきます。枕草子では祝いの膳にゆずり葉を敷くことが書かれています。今から千年以上前からゆずり葉は存在しており、今でも縁起のいい葉として暮らしの中に溶け込んでいるのです。
 この「ゆずり葉」というこの詩は、以前、国語の教科書(小学6年下巻)に載っていて、授業で習ったことを覚えています。「人ひとりの一生は儚(はかな)く、そして切ない。けれど、数珠繋ぎになることで命を繋ぎ、想いをつないでいるのだ」と授業で習いましたが、昨今の悲惨な国際紛争や貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、人類が抱える問題を数えると、
「私たちは、どれだけのものを子どもに残していけるのだろう。」
「未来の子どもたちに、何を残していくことがいいことなのだろう。」
と、考えざるを得ません。

しない、させない、ゆるさない

 水平社宣言(部分要約)

 全国に散在する部落の人々よ、団結せよ。
 ここに我々が人間を尊敬することによって、自らを解放しようとする運動を起こしたのは当然である。
 我々は、心から人生の熱と光を求めるものである。
 水平社はこうして生まれた。
 人の世に熱あれ、人間に光あれ。 

 部落差別の根絶をめざし、当事者たちが立ち上がった全国水平社の創立から、今日2022年3月3日で100年を迎えました。この水平社宣言は日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。
 水平社は、差別された当事者が同情を乞うのではなく、自尊の精神を抱いて社会変革を訴えました。さらにその訴えを自分たちだけに閉ざさず、「人間を冒涜(ぼうとく)してはならぬ」とすべての人が、あらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現をめざしました。
 しかし残念ながら、差別発言や差別待遇等のほか、現在も被差別部落をめぐっては結婚などの差別が残り、地名の一覧がネット上に掲載される事件や、差別を助長するような内容の書き込みがなされるなどの人権侵害事案が発生しています。差別や偏見に基づく行為は、他人の人格や尊厳を傷つけるものであり、決して許されないものです。

 こうした状況の中、平成28年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が施行されました。この法律は「部落差別のない社会を実現すること」を目的としています。同和問題に対する誤った知識や思い込みは、解決を妨げます。

 この100年を節目に、当時の人々の思いや願いを想像しながら、真に、人権が尊重される豊かな社会をつくるためにはどうしたらよいか、ぜひ一緒に考えていきましょう。

 一人ひとりが同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、水俣病をめぐる人権、ハンセン病回復者の人権など様々な差別について正しい知識をもち、差別を「しない」「させない」「許さない」という意識を持ち行動することで、差別のない社会を実現していきましょう。