学校だより

学校だより

しない、させない、ゆるさない

 水平社宣言(部分要約)

 全国に散在する部落の人々よ、団結せよ。
 ここに我々が人間を尊敬することによって、自らを解放しようとする運動を起こしたのは当然である。
 我々は、心から人生の熱と光を求めるものである。
 水平社はこうして生まれた。
 人の世に熱あれ、人間に光あれ。 

 部落差別の根絶をめざし、当事者たちが立ち上がった全国水平社の創立から、今日2022年3月3日で100年を迎えました。この水平社宣言は日本初の人権宣言と言われ、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。
 水平社は、差別された当事者が同情を乞うのではなく、自尊の精神を抱いて社会変革を訴えました。さらにその訴えを自分たちだけに閉ざさず、「人間を冒涜(ぼうとく)してはならぬ」とすべての人が、あらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現をめざしました。
 しかし残念ながら、差別発言や差別待遇等のほか、現在も被差別部落をめぐっては結婚などの差別が残り、地名の一覧がネット上に掲載される事件や、差別を助長するような内容の書き込みがなされるなどの人権侵害事案が発生しています。差別や偏見に基づく行為は、他人の人格や尊厳を傷つけるものであり、決して許されないものです。

 こうした状況の中、平成28年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が施行されました。この法律は「部落差別のない社会を実現すること」を目的としています。同和問題に対する誤った知識や思い込みは、解決を妨げます。

 この100年を節目に、当時の人々の思いや願いを想像しながら、真に、人権が尊重される豊かな社会をつくるためにはどうしたらよいか、ぜひ一緒に考えていきましょう。

 一人ひとりが同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、水俣病をめぐる人権、ハンセン病回復者の人権など様々な差別について正しい知識をもち、差別を「しない」「させない」「許さない」という意識を持ち行動することで、差別のない社会を実現していきましょう。

ひな祭り

 あかりをつけましょ(まちょ) 
 ぼんぼりに(ぼんぼいにぃ)
 お花をあげましょ(ちょ) 
 桃の花(みょみょのはにゃ)
 五人ばやしの(ばやちど) 
 笛太鼓(ぷえじゃいこ)
 今日はたのしい(たのちい) 
 ひなまつり(まちゅり)

 雛飾りの前で、おかっぱ髪の娘が嬉しそうに歌っているのを思い出しました。
 3月3日はひな祭り。「桃の節句」「弥生の節句」ともいわれ、女の子の美しい成長と幸福を願うものです。この頃になると、雛人形や桜餅、雛あられを売る店先から、「うれしいひな祭り」が聞こえてきました。4番までぜんぶ歌えますか。私はうろ覚えで2番まででした。

 【2番】
 お内裏様(だいりさま)と おひな様
 二人ならんで すまし顔
 お嫁にいらした 姉様に
 よく似た官女の 白い顔
 【3番】
 金のびょうぶに うつる灯(ひ)を
 かすかにゆする 春の風
 すこし白酒 めされたか
 あかいお顔の 右大臣
 【4番】
 着物をきかえて 帯しめて
 今日はわたしも はれ姿
 春のやよいの このよき日
 なによりうれしい ひなまつり

 この歌の、優しくて些か切ない歌詞と美しい旋律は、やはり名曲です。
 作詞者のサトウハチローさんは、詩人・童謡作家として「リンゴの唄」「ちいさい秋みつけた」など数々の名作を残しました。どの曲も世代を超えて歌い継がれています。
 作曲者の河村光陽(かわむら こうよう)さんは、作曲家のかたわら音楽教師なども務め、「ほろほろ鳥」「かもめの水兵さん」「赤い帽子白い帽子」などの代表作があります。どれも覚えやすく、口ずさんで楽しい曲ばかりです。

 孫娘が生まれたら(いつかな?)、倉庫に眠っている雛人形を引っ張り出して(倉庫の何処だっけ?)、飾ってやりたいと思います。

しーん。でもニコニコ(^o^)

 新型コロナウイルス感染症に係る上天草市リスクレベルが最高レベルの「5(厳戒警報)」であることと直近の感染状況を鑑み、予定していた送別遠足を3月22日(火)に延期しました。
 給食を止めておりましたので、弁当持参。どんな様子でお弁当を食べているのかなと廊下に出てみると、「しーん。」と誰一人いないかのよう。がっかりしているのだろうと心配になり教室をそっとのぞくと、みんなニコニコ笑顔で「黙食」していました。
 何人かに聞くと「給食も美味しいけど、お弁当も最高!」「日曜日に準備したおやつは今日食べて、22日もまた買える!」「みんな揃って遠足がいい!」「6年生と思いっきり遊びたい!」と前向きな発言にほっとしました。
 お弁当の準備や実施について、おうちの方にもヤキモキさせてしまい申し訳ありませんでした。22日は「給食あり」の遠足になりますので、天気やコロナの状況を見て臨機応変に実施したいと思います(状況によっては期日の変更もあり得ます)。どうぞご了承ください。

 

「不安」を「差別」につなげない

 新型コロナウイルスには3つの感染症の「顔」があると言われます。感染症の第一の顔は「病気」そのもの、第二は「不安・恐れ」、第三は「嫌悪・偏見・差別」です。

 新型コロナウイルスは感染を完全に防ぐのが難しく、誰が罹ってもおかしくない病気です。誰もが安心して治療を受け、学校や社会にスムーズに戻ることができるよう、感染を理由とした不当な差別、偏見、いじめは絶対にあってはいけません。

 我々の戦うべき敵は「新型コロナウイルス」であり、「友」や「隣人」ではありません。十分に対策を図っていたにもかかわらずコロナに感染してしまった「友」や「隣人」は、とても不安で辛い状況の中、いま、コロナと戦っています。

 思いやりや優しい気持ちをもって、冷静に行動しましょう。

 不安な気持ちに負けず、それぞれの立場で今できることを行っていきましょう。

 

くりかえし

くりかえし

     米田 啓祐(よねだけいすけ)

きのうも朝おきてふくをきた
さむさにふるえながら
きょうも朝おきてふくをきる
つめたさにふるえながら
めんどうだから
ずっとふくをきたままでいたいって?

きのうもやった教室のそうじ
消しゴムのかすまではきあつめて
きょうもやる教室そうじ
すみの方までぞうきんでふいて
めんどうだから
一週間まとめてやりたいって?

くりかえし くりかえし
まいにちまいにちのくりかえし
おなじようなことのくりかえし
心をこめてくりかえそう
楽しくなるまでくりかえそう
自分がかわるまでくりかえそう

 上天草市教育長の高倉利孝先生は、市内校長会議の教育長あいさつのレジュメの裏面に、格言や詩、クイズ、なぞなぞ、時には演歌の歌詞などを載せられます。ご挨拶の中で詳しく言及はされませんが、教育に携わる者としての姿勢と気概を我々校長にお示しいただいているように思います。あらためて読み返すと、子どもや地域に寄り添い伝え合うことの大切さ、発する言葉の在り様、人の温かみや想いなど深く考えさせられることが多く、有り難いと感謝するばかりです。上の詩も、その一つです。
 米田啓祐(よねだ けいすけ)先生は昭和14年兵庫県に生まれ、大学を卒業して赴任した学校で“教育界の国宝”と呼ばれた「いのちの教育」の実践者である東井義雄(とうい よしお)先生と出会い、深く感銘を受けます。ようか読書会代表で、著書に「すすみやま」「すすみやま短信」「詩集・しもやけのあと」「池田草庵先生・肄業余稿を読む」「東井先生に聞く」「詩集・卒業記念写真」「こぶしの花が咲くと…八鹿中学にて」等があります。

 「いのちの教育」の実践者である東井先生の金言の中に、
◯ほんものはつづく。つづけるとほんものになる。
◯「させられる仕事」から「する仕事」に変わるとき、苦しみは喜びに変わり、生きがいに眼を輝かせる。
という言葉(教え)があります。ひとつひとつと積み重ねられた教育実践の中で吐き出された言葉故に、重みと深みがあります。
 物事の神髄に目を向け、苦しくとも、自分から求めて行動すること。あたり前のことを、毎日、喜びをもってあたり前にくりかえすこと。その継続の先に、描く理想や生きがいが待っている。高倉教育長先生をはじめ三人の先駆者方は、そんなことを示されているのかも知れません。
◯そうじは答案です。授業のあり方が、生活指導のあり方が、一点の誤差もなく正確に表れてくる。
という言葉も、東井先生は残されています。

 子ども達とともに、「くりかえす」ことの意味を考えていきたいと思います。

(校庭の椿。「寒いね」って囁き合っているようです)