校長室だより

校長室だより

「 縁 」

     この夏、校長室には雨空を吹き飛ばすようなサプライズの来客が、3組ありました。
 1人目は牛深小学校の卒業生。他県の全寮制高校に進学し、知り合いも少ない中でホームシックにも打ち克って、この春に卒業。海運会社に就職し、貨物船で遠く東北まで航海するとのこと。「3ヶ月ぶりに帰ってきました。」と元気な顔を見せてくれました。担任をした小学4年生の頃のあどけない表情は残しつつもキリッとした顔で、初心者マークをつけた車を運転する姿に、ただただ感動しながら見送りました。
 次は30年来の教え子二人組。私の教職最初の赴任校である東海第二高校(現熊本星翔高校)の卒業生。今年で46歳になるとのこと。私が転勤する度に、ハーレーとビッグスクーターでツーリングがてら顔を見せてくれます。上の写真は、10年程前に天草町の大江小学校に遊びに来てくれた時のもの。190㎝近くの巨人(!?)を当時の子ども達も目を丸くして見上げていました。
 3人目は、その大江小学校の卒業生。写真の赤いビッグスクーターに跨がっている女の子。現在は県北の病院で看護師として頑張っています。小中高とソフトテニスに打ち込み、九州でも名の知れた選手でした。東海二人組と一日違いの来訪で、「お兄ちゃん達と会いたかった」と悔しがっていました。
 教師も30年もやっていますと、いろんな所に教え子がいて、彼ら(彼女ら)が年齢や場所を超えて不思議な縁で結びつき、関わり合っていることがたくさんあります。同じ会社の上司と部下、会社員と取引先、先生と生徒という関係もあるようで、それぞれの「縁」の不可思議さに驚くばかりです。
 それらの「縁」をつなぐ役割を少なからず果たせていることを、とても嬉しく思います。30年近く経った今も「先生」と言ってくれる子ども達に感謝するとともに、暇を見つけては、遠くから車を飛ばして顔を見せてくれることを、本当に有り難く思います。早いもので、初代の教え子達は来年50歳(うわ-!!)になりますので「子ども達」というのは語弊がありますが、私にとっては、姫戸小学校の子ども達と同じように、いつまでもやんちゃで可愛い子ども達。私の掛け替えのない「宝もの」であり、毎日毎日を生きていく上での心の支えとなるものです。
 先日も別の教え子から「先生、独り暮らしは初めてでしょう。ご飯つくりに行きましょうか」って電話がありました。白髪は増えるばかりですが、教え子達に心配をかけないよう、炊事・洗濯はもちろんのこと、今、目の前にいる姫っ子一人一人のために、校長としてやるべきことをしっかり頑張ろうと、決意を新たにしたサプライズになりました。

やっぱり、子どもたちの笑顔が一番!

 2学期が始まり一週間余りが経ちました。長く降り続いた大雨とコロナウィルス感染症の拡大により、外で思いっきり遊んだり、家族でどこかにお出掛けしたりといったことは、ほとんどできない夏休みになってしまいました。熊本県のまん延防止等重点措置も延期される見通しです。学校といたしましても、ご家庭や地域と協力しながらコロナ感染拡大防止対策にしっかり取り組んでまいります。
 始業式は密集を避けて放送で行いましたが、各教室から子どもたちの元気な挨拶の声や、問いかけに対する溌剌とした返事が放送室まで届きました。休み中はあんなにガラ~ンとしていた校舎が、一気に生気を取り戻したかのようです。昨年に引き続くコロナ禍で「夏休みを十分に楽しめただろうか」という我々の心配を吹き飛ばすように響き渡る笑い声。やっぱり、子どもたちの笑顔が一番!

豆柴のチコちゃん

 昨年末、風の強い夜でした。あんなに元気だった義母を病気で亡くしました。義母は料理が得意でお世話好き、陽気な性格で踊ったり歌ったりが上手な地域の人気者でした。数年前にはNHKのど自慢熊本大会に出場し、おてもやんの衣装で箒(ほうき)をギター代わりに「ダンシングオールナイト」を熱唱して「特別賞」をもらいました。後日、妻の実家にTV局が取材に来たくらいです。 
 実直で太陽のような存在の義母でしたから、家は灯が消えたようにしんと静まり、二人暮らしだった義父は周囲には気丈に振る舞っていましたが、寂しさは隠しきれません。四十九日の法要を無事に終えた義父が、突然、「豆柴を飼いたい」と言いだし、菊陽町まで出掛けて求めたのが生後三ヶ月の「チコちゃん」でした。 
 写真は、ベランダで義父の帰りを待つ豆柴のチコちゃんです。クーンクーンと鳴きながら待っています。義父の足音がすると、ぴょんぴょん跳んで喜びを表現します。義父の「孫達のためにも、チコちゃんのためにも、長生きせんば。」という言葉に、思わず涙が出そうになりました。現在は熊本市(旧飽田町)で義父とチコちゃん、大学生の次男の3人で暮らしています。

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「あなたが大切だ」

 

 7月は「命を大切にする心」を育む月間です。全校朝会の校長講話で「命を大切にするって、どうすればいいの?」と子供たちに問いかけました。いろいろと意見が出ましたが、以下の5点を「命を大切にする5カ条」として子供たちみんなで確認しました。

基本は「自分の命は、自分で守る」 
 それを基盤として、
 ①よく食べ、よく運動して、健康な体をつくる
 ②危険なところには、絶対に近づかない
 ③事件や災害から身を守る(危険予測能力と危機回避能力を育む)
 ④交通事故から身を守る(周りをよく見る、車は止まってくれるとは限らない)
 ⑤自分の命と同じように、他の人や動物・植物の命を守る

 先般、文部科学省から「児童生徒の自殺予防について」(通知)が届きました。警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、令和2年における児童生徒の自殺者数は499人で、前年(399人)と比較して大きく増加しており、そのうち、女子高校生の自殺者数は209人で、前年(127人)と比較して、特に大きく増加しています。全国における18歳以下の自殺は、8月下旬から9月上旬等の長期休業明けにかけて急増する傾向があります。また、人の目の届きにくいSNSを利用し、自殺願望を投稿するなどした高校生等の心の叫びに付け込んで、言葉巧みに誘い出し殺害するという極めて卑劣な事件も発生しています。学校における早期発見、保護者による見守りの促進が求められています。
 特に「SOSの出し方に関する教育」を含めた自殺予防教育を実施するなどにより、児童生徒自身が心の危機に気づき、身近な信頼できる大人に相談できる力を培うとともに、児童生徒からの悩みや相談を広く受け止めることができるようにすることが大切になります。
  

 上のポスターは、2005年に女優の栗山千明さんを起用し「命の大切さ・コミュニケーションを通して」をテーマとしたポスターで、学校にも掲示されていました。CMでも流れていました。人間は誰しも相互の「関係性」の中で生きています。それを回りくどく表現するのではなく、静かな、しかし確かな心の叫びとしてずばりと表現しています。

 命の尊(とうと)さを
 何千何万回 言われるよりも
 「あなたが大切だ あなたが必要だ」
 と 近くにいる あの人が
 ただ1回 言ってくれるだけでいい
 ただそれだけで
 今日を 明日を 生きていける

 この「誰かに必要とされている」「大切に思われている」という認識は、人が、人として「生きていく」土台となるものです。子供も、大人も、誰でもそうです。
 子供たちには「あなたたち一人一人が、かけがえのない大切な存在です。家族や友だち、先生達、地域の方々を初め、動物や植物からも『あなたが大切だ、必要だ』と思われているんですよ」ということを伝えました。

交通事故から守る

 6月28日、千葉県八街市で下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込んで児童5人が死傷するという痛ましい事故がありました。
 事故現場に花を供えに来た人たちは「すれ違う時に道幅がだいぶ狭いので車が寄ってきて、いつ歩行者に接触してもおかしくないと感じていた。危ないけれどそれが当たり前になっていた。ガードレールを設けるなど安全対策を取ってほしいし、亡くなった児童と親が本当に不憫だ」「子供たちには痛かったねというお悔やみの言葉しかない。この道はスピードを出す車が多い。運転者のモラルが改善するようになってほしい」「自分にも2歳の子供がいるので残された親の気持ちがよくわかる。幼い子供たちの未来が奪われて悔しい気持ちだ」と涙ながらに話されていました。

 「道路が狭い」「交通量が多い」「スピードを出す車が多い」「見通しが悪い」という事故が起こりやすい道路(危険箇所)は姫戸町にもあります。学校でも交通指導員の方々や保護者の皆様と協力して、通学路の安全管理を促進するとともに、危険箇所については市に依頼し早急な対応をお願いしていきます。「危険だ」と思われる箇所に関しては、すぐに学校までご連絡ください。