学校だより

くりかえし

くりかえし

     米田 啓祐(よねだけいすけ)

きのうも朝おきてふくをきた
さむさにふるえながら
きょうも朝おきてふくをきる
つめたさにふるえながら
めんどうだから
ずっとふくをきたままでいたいって?

きのうもやった教室のそうじ
消しゴムのかすまではきあつめて
きょうもやる教室そうじ
すみの方までぞうきんでふいて
めんどうだから
一週間まとめてやりたいって?

くりかえし くりかえし
まいにちまいにちのくりかえし
おなじようなことのくりかえし
心をこめてくりかえそう
楽しくなるまでくりかえそう
自分がかわるまでくりかえそう

 上天草市教育長の高倉利孝先生は、市内校長会議の教育長あいさつのレジュメの裏面に、格言や詩、クイズ、なぞなぞ、時には演歌の歌詞などを載せられます。ご挨拶の中で詳しく言及はされませんが、教育に携わる者としての姿勢と気概を我々校長にお示しいただいているように思います。あらためて読み返すと、子どもや地域に寄り添い伝え合うことの大切さ、発する言葉の在り様、人の温かみや想いなど深く考えさせられることが多く、有り難いと感謝するばかりです。上の詩も、その一つです。
 米田啓祐(よねだ けいすけ)先生は昭和14年兵庫県に生まれ、大学を卒業して赴任した学校で“教育界の国宝”と呼ばれた「いのちの教育」の実践者である東井義雄(とうい よしお)先生と出会い、深く感銘を受けます。ようか読書会代表で、著書に「すすみやま」「すすみやま短信」「詩集・しもやけのあと」「池田草庵先生・肄業余稿を読む」「東井先生に聞く」「詩集・卒業記念写真」「こぶしの花が咲くと…八鹿中学にて」等があります。

 「いのちの教育」の実践者である東井先生の金言の中に、
◯ほんものはつづく。つづけるとほんものになる。
◯「させられる仕事」から「する仕事」に変わるとき、苦しみは喜びに変わり、生きがいに眼を輝かせる。
という言葉(教え)があります。ひとつひとつと積み重ねられた教育実践の中で吐き出された言葉故に、重みと深みがあります。
 物事の神髄に目を向け、苦しくとも、自分から求めて行動すること。あたり前のことを、毎日、喜びをもってあたり前にくりかえすこと。その継続の先に、描く理想や生きがいが待っている。高倉教育長先生をはじめ三人の先駆者方は、そんなことを示されているのかも知れません。
◯そうじは答案です。授業のあり方が、生活指導のあり方が、一点の誤差もなく正確に表れてくる。
という言葉も、東井先生は残されています。

 子ども達とともに、「くりかえす」ことの意味を考えていきたいと思います。

(校庭の椿。「寒いね」って囁き合っているようです)