2020年12月の記事一覧
今日は冬至
年末にテレビを見ていますと、毎年必ず放送されるものがあります。
そのプログラムは、歴史的にも古く、戦後まもなくから行われているといいますので、80年近くの歴史があるようです。
えっ、紅白歌合戦のことだろう?
いえいえ、違います。
余談ですが、紅白歌合戦は1951年に始まりました。最初は、年末ではなく1月3日にラジオで放送されました。
第1回から第3回まではラジオで、第4回から年末のテレビ放送になり、今日に至ってます。
おやおや、例により話がそれてしまいました。
年末の恒例番組でしたね。もったいぶらずに紹介します。
それは「第九」の演奏会です。
第九、正式には「ベートーヴェン作曲の交響曲第9番二短調作品125「合唱付」」という曲名です。
調べてみると、テレビだけでなくコンサートでも取り上げることが一気に増えるそうです。
では、世界的にも同様の現象が起きるのかというと,日本ならではの現象とのこと。海外ではヘンデルの「メサイア」が一般的と聞きました。
ここで大きな疑問が生まれます。
どうして、また、いつごろから「第九」がさかんに演奏されるようになったのだろうか?
そもそも日本での初演は、1918年(大正7年)6月1日に徳島県板東町(現在の鳴門市)にあった板東俘虜収容所で行われました。この収容所は、第一次世界大戦で捕虜となったドイツ人を収容していたのですが、かなり彼ら自身に自治を委ね、自由な環境であったことで有名です。
ドイツ人たちによって編成されたオーケストラによって、はじめて奏でられた「第九」は、当時に日本人たちにどのように響いたのでしょうか。
さて、初演については分かりました。年末の恒例行事になったことについては,次のようなことが明らかになりました。
①戦後、どのオーケストラも財政的に厳しい状況だった。
②そのなかで日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が1947年12月に3回の「第九」のコンサートを行った。
③その3回とも観客が集まった。収益もあり、財政的な効果があった。
④それを他のオーケストラも真似し、その後に設立された団体も右にならえをした。
つまり、第九は人気のあるベートーヴェンの曲であることが,客集めに効果があったということのようです。
また、第九は演奏規模が大きく、第4楽章では,オーケストラに加え4人の独唱者、合唱団が加わるので,総勢200〜300名にもなります。それだけの人がチケット販売をしたとすると…かなりの収入になることもうなずけます。
ある調査によると、日本全国で100以上のコンサートがあった年があったといいます。「年末の第九」というスタイルはこれからも引き継がれていくに違いありません。
今年はベートーヴェン生誕250年の記念の年でした。CDの交響曲全集もたくさんの種類が販売されました。コンサートのほうは、コロナの関係で少ないようですが…。
余談ですが、CD(コンパクトディスク)の録音可能時間ですが、流通し始めたころは、74分と決められていたようです。この基準になったのは、第九の演奏時間だったそうです。
サザンカ
腹赤小学校には、この季節ならではの美しい花があります。
それはサザンカです。体育館入り口付近に白、運動場倉庫の側などに赤。ちょうど花が咲き始めたところです。
花が咲き出すと小鳥たちの群れが集まります。多いときは20羽近くのメジロやヒヨドリが蜜を吸いにやって来るのです。それはにぎやかな朝食会場になります。
さて、このサザンカ。ほんとうの名前は「さんざか」なんだそうです。漢字で書くと「山茶花」ですが、「さんざか、さんざか」と読んでいる間に、いつの間にか読みやすい「さざんか」になったという話があります。
ところで、サザンカによく似た花にツバキがあります。種類も同じで、あまりにそっくりなので、専門家でさえ見間違えることがあるようです。
事実、ずいぶん前の話ですが、「春の植木市」の会場で、詳しいお客さんと店の人がもめているのを目撃したことがあります。
では、どんな区別の方法があるかというと
①花の形で区別する
ツバキは花が筒状になり、立体的です。それに比べサザンカは平たい形になります。
②花の散り方で区別する
ツバキは、花が散るとき花首から落ちる。サザンカは、花びらが散る。
(なので、ツバキは縁起が悪いということで、武士に嫌われていたようです。)
③葉の形で区別する
両方とも葉のふちにギザギザがありますが、サザンカのギザギザの方がはっきりしているそうです。ただし、その場で2枚の葉を比べて分かることのようです。
④葉の筋で区別する
葉を日光にすかして見ると、中心の葉の筋(葉脈)が黒っぽく見えるのがサザンカとのことです。ツバキは光をすかすようです。
本校のサザンカは、結構長い間花を楽しむことができます。寒々とした風景に明かりをポッと灯すような冬の風物です。
「さざんか さざんか 咲いた道 たき火だ たき火だ 落ち葉焚き。」そんな光景が似合う季節になりました。
師走を迎えました
つい先日、正月を迎えたような気がするのですが、早いものでもう12月です。花屋さんの店先には美しいシクラメンの鉢が並んでいます。
旧暦で12月のことを「師走」というのですが、その名の由来をご存じですか?
「師」という文字から先生のことと思われがちで「先生方は12月になると忙しいんでしょ?」と尋ねられたことがあります。
しかし、実は「師」は僧侶のことで、仏事に忙しく走り回ることから「師馳す」と言われています。この話は平安時代の物語に載っていますので、まあ間違いがないでしょう。
私が師走を強く意識するのは,次の3つの場面を目にしたときです。いずれも通勤途中に目にするものばかりです。
1 菊池川の川霧
空気が冷えて風のない朝、川の水面より霧が湧き上がっています。専門的には、水温と気温の差が10℃以上、湿度が80%以上の時に発生するそうです。(この条件を満たせば夏でも発生するとのこと)
ここ最近、寒い朝は,川霧が発生しています。少し離れたところから見ると、まるで雲が湧き起こるように低いところに溜まっています。寒くなってきたんだなと実感させられます。
2 小岱山の紅葉
最近は、紅葉する時期が遅くなったようで、校内のイチョウもここ10日ほどの間に黄色くなり、間もなく散ってしまいそうです。
ちょうどその頃に、小岱山の木々も色づきます。針葉樹の濃い緑色に中に,黄色や赤、オレンジがちりばめられ、美しく感じます。でも、その情景が見えるころは「寒さ」が身にしみる季節の始まりでもあります。
3 アトリの群れ
アトリというスズメと同じくらいの大きさの鳥がいます。彼らは、冬になるとシベリア方面から群れをつくってやって来ます。
漢字では「花鶏」と書きます。どうしてこのように記されるようになったのかは定かではありませんが、彼らの姿を見ると「とさか」のような羽があるので、ニワトリのようだと考えたのかも知れません。
また、体の色が、遠目にも鮮やかな茶色(オレンジといってもいいぐらいです)なので「美しい=花」と思われたのかも知れません。
実際、栃木県鹿沼市では、過去10万羽以上のアトリの大群が飛来したそうですが、葉を落とした大木に止まった姿は、枯れ木に花が咲いたようだったといいます。
そんな理由から、「花鶏」とついたのではないでしょうか。(あくまでも私の予想です。)
ここ最近、朝に新玉名駅付近の電線に集まっています。けっこう臆病で、遠くに人がいても車が下を通っても一斉に飛び立ち、しばらく様子をうかがっています。そして辺りの様子を見ていて、安全だと分かると水田に下りて落ち穂や雑草の種子をついばんでいます。
まだ飛来して間もないので数も少ないのですが、しばらくすると大群にふくれあがり、にぎやかに鳴き交わすようになります。
学校の校庭にも、姿を見せるようになります。「キョッ、キョッ、…」という声が聞こえたら、アトリがやって来ている証拠です。冬の訪れを知らせるかわいい小鳥です。