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2020年1月の記事一覧

ひばり鳴く!

 春の訪れの一つの基準として「雲雀の初鳴き」があります。畑や草むらの上空に長時間留まってさえずる「揚げ雲雀」は有名ですが、いつそれが目撃されたか、鳴き声を聞いたかが、話題に上がります。
 今年の玉名地方での「初鳴き=揚げ雲雀」は1月27日の朝でした。(すみません。これは私の確認による「初〜」ですので、本当はもっと早かったかも知れません。もっと早くお気づきの方があれば申し訳ありません。)
 場所は,新玉名駅裏の「田んぼアート」で利用される水田でした。1羽のスズメより少し大きなサイズの鳥が、地面から飛び立ちました。眺めているとグングン上昇していき、あの「ピーチュクリーチュル」という高く張りのある声を聞かせてくれました。
 見ていると、鳴きながら更に天高く昇り、点になるぐらい高いところで羽ばたいて滞空していました。(見上げていると首が痛くなるほどでした。)雲の雀と書いて「雲雀」と呼ぶのも尤もだと思いました。

 

                    (日本野鳥の会のHPより転載)

 この揚げ雲雀と呼ばれる行動は,実は縄張り宣言として有名です。私の子どもの頃は「飛んでいるあの下に巣があるぞ」と言われたものでした。しかし、どんなに必死に探しても見つかったためしがなく「決してあなどれない!」と子ども心に思ったものでした。
 鳴き声を日本語に置き換えた表現(聞きなしといいます)では「日一分、日一分、利取る、利取る,月二朱、月二朱」というものがありますが、雲雀が太陽にお金を都合して、取り立てに行くため、鳴いて高く飛翔しているという民話も残っています。

 雲雀は日本だけでなく、海外(特にイギリス)でも名の通った鳥のようです。
 その証拠として、雲雀の名を冠した音楽や文学作品が残っています。イギリスの作曲家にヴォーン・ウイリアムズという人がいますが、雲雀の鳴き声をヴァイオリンで模した「揚げひばり」という15分ほどの曲があります。麦畑の上空で、元気いっぱいにさえずる姿を生き生きと表した曲です。機会があったらぜひお聞きください。「あっ。雲雀が飛んでる!」と思っていただくことができると思います。


 それだけ人とのなじみもある雲雀ですが、現在は減少傾向にあります。全国の草地面積の減少が大きな原因であると説明されています。
 東京都、千葉県などでは絶滅危惧やそれに準ずる指定を受けています。宅地化が進んでいることを考えるとうなずける現象です。


 幸い、長洲町や腹赤小校区には,草地も農耕地も広がっています。この環境が雲雀などの鳥たちの生活を守っていることをつくづく感じながら、さえずりを聞いているところです。ときには、畑の方に耳を傾けられてみてはいかがでしょうか。あの明るく元気な声が聞こえてくるはずです。

もうすぐ2月(如月)

もうすぐ2月(如月)を迎えます。
 如月(きさらぎ)の語源について調べてみると,次のように説明してありました。

 ①「着更着」:寒さで更に重ね着するから
 ②「気更来」:気候が徐々に陽気になるから
 ③「生更木」:草木が生え始めるから
 ④「草木張月」:草木の芽が張り出す「くさきはりづき」から転じた

 これらの中で最も有力と言われているのは①の「着更着」のようです。この名の由来のように、1年間で最も寒いと感じるのは、これからの季節です。
 「春は名のみの〜」という歌にあるように重ね着で寒さに耐える毎日のはずですが、今年は異常ともいえる暖かな日々が続いています。

 昨日4年生の子どもたちと学校内の動植物の観察をしました。そこかしこに、生き物の息吹は満ちています。

春の香り

 数日前の学校の帰り道のことです。ふいにかすかな香りが漂ってきました。

 その正体はロウバイ(蝋梅)という花でした。

 梅の名前はついているものの梅とは縁のない種類の樹木です。


 中国原産で「唐梅」とも呼ばれ、1〜2月に黄色い、透き通るような花をつけます。花びらが蝋(ろうそくのろう)のような色であることから名前がつきました。
 大変香りがよく、そばを通っても「あっ、蝋梅が咲いたなあ」と分かるほどです。
 芥川龍之介の作品にも「蝋梅」という題の小品があります。

「わが裏庭の垣のほとりに一株の蝋梅あり。ことしも亦(また)筑波(つくば)おろしの寒さに琥珀(こはく)に似たる数朶(すうだ)の花をつづりぬ。
 こは本所(ほんじょ)なるわが家にありしを田端(たばた)に移し植えつるなり。」


 学校内のサクラの芽も日に日に大きくなっています。ホトケノザの花も美しく咲いています。

 春は確実にやって来ています。

 

冬の寒さに負けず

 冬の寒さにも負けず、じっと春を待っているスズメたちです。

 羽の間に空気をいっぱい貯めることで、保温効果を高めています。

 人間がちょうどセーターやコートを着るのと同じです。

 暖かな春を心待ちにしているようです。

今日は「大寒」です

 今日は「大寒」です。

「暖冬」のおかげで、さほど暖かさを求める気分は強くないのですが、何はともあれ『春」は待ち遠しい気がします。

 昔の冬は、思い返してみると今よりうんと寒かった気がします。
 朝、学校への道端には霜柱が並び、それを踏み踏み歩いた思い出があります。
 今でも覚えている「驚き」は、日当たりのよい溜池の土手を何の気なしに掘ってみたら「アメンボ」が出てきたことです。それも10匹以上まとまって…。
 アメンボは、そもそも水面にいる昆虫だと思っていたのに,日当たりのよい土手の土の中から現れたのには、まさに「ビックリ」でした。

 あとで聞いた話では「池の昆虫たちも陸上に上がり,冬越しをする」ということで「寒いのは嫌なんだな」と思ったことでした。
 さて、昆虫の冬越しと聞くと『ミノムシ』を思い浮かべます。すっかり落葉した木の枝にくっついたミノが寒そうに風に揺れているのを見ると,自分のことのように寒さを強く感じたものでした。
 中を切り開いて(ハサミで切らないと開かないぐらいしっかりしたつくりでした)見ると、茶色の幼虫がいてじっとしていました。ミノの内側は、とてもフカフカした暖かな毛皮のコートのようでもありました。
 そんなミノ(巣)の中で冬を過ごし,春をじっと待っていたのでしょう。生き物の知恵に感動したことを今も覚えています。


 昆虫は変温動物です。気温が下がると代謝を下げて、活動量をうんと下げて生き延びます。
 そんな彼らにとっておそろしいものが2つあります。

おそろしいもの1〜乾燥

 冬は空気が乾燥します。水分は氷になり日中に蒸発することを繰り返すことで「高野豆腐」「切り干し大根」はできあがります。
  この原理が実におそろしい。昆虫にとっても、じっとしている間に体内の水分が蒸発してしまい命を失うことになるからです。
 そのため、固い殻に閉じこもったり、土の中に潜んだりということをするのです。

おそろしいもの2〜水分

 乾燥がこわい…と書いておきながら,今度は水分?
 きっとそう思われたことでしょう。しかし、事実です。
 水分は、体内になければならないものです。ところが、体のまわりに氷ができると、口や呼吸器官から氷は体内に侵入してきます。つまり、体の内部が凍るのです。
 それの何がこわいのか。実は水分は凍ると体積が増えます。冷蔵庫の製氷皿にすれすれの水を入れても,できあがった氷は盛り上がっています。その性質は、生き物の細胞内の水分にも適応されます。つまり、細胞が破裂することになって命にかかわる重大問題になるのです。


 もっとも、体内の水分(体液といいます)は、純粋な水ではありません。さまざまな有機物やミネラルは溶け込んでいるため凍ることはないようです。しかし、油断は禁物です。何らかの弾みで凍る危険性もゼロではないのです。何でも過冷却現象というのがあって、ちょっとした衝撃で瞬間的に凍るのだそうです。だから、衝撃が起きないように、じっとしているのだとも聞きました。


 実は、私の通勤路にあるミカンの木に,秋ごろアゲハチョウの幼虫がいました。もうやがて11月になろうという頃でしたから(大丈夫だろうか?)と心配をしていたところ、先日見たらサナギがありました。(サナギになっていたわけです。)
 ここで素朴な疑問。このサナギは春まで持ちこたえられるのだろうか?…となったわけです。
 いろいろ調べてみると「越冬サナギ」と呼ばれる形態だそうで、休眠状態なんだそうです。当然、先に述べた「おそろしいもの」への対策を講じています。しかも研究によると,休眠に入ったサナギは、ちょっと暖かい日が2,3日続いても動き出したりしない。冷蔵庫の中ぐらいの気温を2ヶ月ほど経験しないと,目覚めないのだそうです。
 三寒四温という春の初めの気候にも惑わされず、本当の春が来るのを待ち続けるようにできているということなのです。

 この説明を読んだときに、ちょっと安心しました。きっと春になると美しい蝶になってくれるのだろうと思うと嬉しい気さえします。衝撃を与えたりしないように、そっと見守っていきたいと思う次第です。