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2020年6月の記事一覧

でんでんむし

「梅雨」です真っ盛りです。降り続く雨の無垢に見えるアジサイが美しい季節です。


 この時期に、校内のあちらこちらで目にする生き物があります。
 それは「カタツムリ」です。シトシト降る雨の中でも生き生きと動き回っている姿を目にすると、夏が近づいてくることを実感させられます。
 カタツムリそのものは有名ですが、詳しく調べることは余りないと思います。そこで、今回は「カタツムリ」の話題でまとめます。

カタツムリは何の仲間?

 スズメは鳥の仲間、メダカは魚の仲間。では、カタツムリは…?
 子どもたちに尋ねてみて、最も多かった答えは「虫」でした。なるほど別名が「でんでん虫」ですから、虫と思ったようです。
 でも、正確には「昆虫」の条件を満たしていません。

 ①体が頭・胸・腹に別れている、②足が胸の部分から6本出ているという姿とはほど遠いからです。
 正解は「貝」の仲間なのです。殻があることや、体の形が海の中にいるサザエなどの貝とよく似ています。正式には,陸貝(陸に生息する腹足類)のうちの殻をもつものの名前です。

 

 

カタツムリとナメクジの違いは?

 これは、簡単にいえば「殻のある、なし」の違いだそうです。ナメクジにも(種類によっては)殻があった痕跡があるそうです。

でんでん虫という名の由来は?

 子どもたちが殻から出てこいと囃し立てた「出ろ出ろ虫」→「出ん出ん虫」→「でんでん虫」となった説が有名です。 この他に、狂言の「蝸牛」で唄われた歌の歌詞から由来したとも言われています。

狂言「蝸牛」とはどんな話?

 狂言と言えば、必ず登場するのは「太郎冠者(たろうかじゃ)」〜いわゆる主人公です。
 この「蝸牛」は、太郎冠者はもちろん次の人物が出てきます。
  ・太郎冠者  ・主人  ・山伏


 お話のあらすじは、次のようなものです。

 ある日、太郎冠者(以下「太郎」)は、主人の叔父のために長寿の薬となる「かたつむり(蝸牛)」を探してくるよう主人から言いつけられた。
 かたつむりがどんな生き物なのか全く知らなかった太郎は、かたつむりの5つの特徴を教わり、早速,山に探しに出かけた。
 5つの特徴とは,次のとおり。

  ①やぶの中にいる
  ②頭が黒い
  ③腰に貝を付けている
  ④時々角を出す
  ⑤大きいものは人間ぐらいある


 太郎がかたつむりを探し始めた頃、修行帰りの山伏が,疲れ果ててやぶの中で眠っていた。
 そこへ通りかかった太郎は、その山伏をかたつむりだと勘違いしてしまう。勘違いした理由は、

  ①やぶの中にいる→確かにいた。
  ②頭が黒い→兜巾(ときん)をつけている。
  ③貝を付けている→法螺貝をつけている。
  ④角を出す→身につけていたものがそれらしく見える。
  ⑤大きさ→最大サイズ。


 太郎の話を聞いた山伏は、少々からかってやろうという気になって、とうとう歌を歌わせ,踊らせる。
 その歌詞が、次のもの。

 「ハア 雨も 風も 吹かぬに 出ざ 釜 打ち割ろう
  でんでん むしむし でんでん むしむし」
 (雨も風もないのに顔を出さないならば、殻を打ち割って
  しまうぞ。出てこい虫 出てこい虫」
 山伏にだまされた太郎が踊りほうけていると、主人が帰りの遅い太郎を探しに来ます。太郎の姿を見て、主人は「かたつむりではなく、山伏である」ことを太郎に教え、2人で山伏を懲らしめようとします。
 ところが、山伏は法力を使って、主人まで巻き込んで踊らせます。
 太郎と主人が我に返ったときは、山伏はどこかへ行ってしまった後だった。

 少々時間がかかりましたが、でんでんむしの名の由来の説明ができました。「出てこい虫」が「でんでん虫」になったというわけですね。

コンクリートの上を這うのはなぜ?

 カタツムリの殻は,カルシウムが含まれています。成長するにつれて殻も大きくなっていきます。
 一方コンクリートにもカルシウムが含まれています。
 つまり、カタツムリはコンクリートやブロック塀の表面を囓りながら動き回っているというわけです。
 実際、よく表面を見てみると小さな筋のようなモノが見えることがあります。これは、囓った跡なのですね。

 梅雨といえばうっとうしい季節ですが、少し身のまわりの生き物に目を向けてみると、いろいろな謎に気付いたり,新たな発見があるかも知れません。「雨もまた楽し」です。

 湿度が高く、過ごしにくい毎日ですが,くれぐれもご自愛ください。

 

田植えのころ

 この時期あちらこちらの農地で、田植えの準備が行われています。
 よく見ると、トラクターの後ろを鳥たちがついていきます。


 この鳥たちは、主にサギの仲間です。灰色のは「アオサギ」白いのは「チュウサギ」のようです。
 見ていると、トラクター通過後の地面をつついています。これは、掘り起こした土と一緒に虫などがあらわれたのをついばんでいるのです。
 人間の営みをうまく利用して生きる野鳥のたくましさを感じさせられます。

 数年前、こんな場面に出会いました。 


 アオサギがトラクターの横の、前輪の通過地点を見ています。どうやら他のサギより早くエサを食べるために智恵を使ったようです。
 実に大胆なエサ探しです。しかし、トラクターは進んでいます。
 「そのまま進むとサギが危ない!」と思っていると、トラクターは静かに止まりました。
 「ああよかった」と思いました。でもなぜ止まったのだろうと思い、カメラのファインダーを覗き直すと、そこにはアオサギを見守る農家の方(運転手)の姿がありました。
 優しい農家の方のおかげで、アオサギはゆうゆうと食事をすることができました。
 何だか気持ちがほっこりするような出来事でした。

 

梅雨入り

 突然ですが「十薬」という名前をご存じですか?これは漢方薬の原料の一つです。江戸時代の医学者、貝原益軒の書物にも出てきます。
 せっかくクイズ仕立てで書き始めましたので、ヒントを出しましょう。

  ヒント1:日陰を好む植物である。
  ヒント2:生命力が強く、抜いても抜いても生えてくる。
  ヒント3:強烈な臭いで、手につくとなかなか消えない。


 どうでしょう。1つめ、2つめのヒントでは、いくつも思い当たるものがあったでしょうが、3つ目のヒントで「あれか」と思われたかも知れません。
 そうです、ドクダミです。建物の陰などのジメッとしたところで白い花を咲かせる植物です。
 今回は,これからのシーズンの花とも言える「ドクダミ」について記してみたいと思います。 

 ドクダミは、様々な薬効成分を含んでいて、古くから民間薬としても重宝されている植物です。
 しかし、「毒があるんですよね」とか「触るとかぶれるんですか」といったことを尋ねられたことがあるように、ドクダミの「ドク=毒」であまりよいイメージをもたれていないのも事実でしょう。

 早速ですが、ドクダミの名の由来ですが、主なものとしては「毒溜め」「毒矯み」と漢字で書きます。
 これは、それぞれ「毒を排出する」「毒を抑える」という意味から来ているそうです。
 先に述べたように、十薬と呼ばれるだけあって、次のような様々な効能があると言われています。

 ◇化膿性の腫れ物:新鮮な葉を炙って患部に貼ると、膿を吸いだして腫れが引く。
 ◇擦り傷・靴擦れ:同上
 ◇利尿・便通・高血圧予防:ドクダミ茶にして飲む。
 ◇水虫:強い臭いの成分には抗菌性があるため、生の葉を患部にすり込む。
 ◇あせも:摘んだ葉を風呂に入れて薬浴する。
 ◇胃痛・十二指腸潰瘍:青汁にして飲む。

 これらは、効き目の一部を紹介したものですが、あくまでも「そう言われている」ことですのでご了承ください。
 また、効果には個人差があるでしょうし、ときには命にかかわることも起きかねないことについても申し添えておきます。


 このドクダミの利用方法ですが、消臭剤として使うこともできます。
 使い方は簡単です。ドクダミを摘んで室内につるしておくだけです。
 気になるのは、あの強い臭いですが、乾燥するにつれて匂わなくなります。

 私も実際にトイレにつるして試してみましたが、確かに消臭効果がありました。初日は独特の臭いがありましたが、徐々に薄れてその日の午後には気にならなくなりました。
 これは、試してみる価値があります。


 ドクダミに関することとして、気になるのは「食用にする」ことです。
 ベトナムでは、ザウジエプカーと呼ばれるドクダミの仲間を香草として魚料理に使います。(ザウジエプカーとは、魚の野菜の葉という意味)何でも生の葉を使うそうですが、日本のものよりも香りは強くないと聞きました。
 日本でも、加熱すると臭いが和らぐことから「てんぷら」に使ったり、茹でて「おひたし」にしたりする調理方法が伝えられています。まるで山菜のような扱われ方をするのですね。


 降りしきる雨の中で、ドクダミの白い花は美しく見えます。梅雨の時期の風物として,しばらく楽しめそうです。