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2020年5月の記事一覧

立夏

 今日は「立夏」。季節はすっかり「夏の入り口」になりました。

 臨時休業で、寂しい日々を送っています。早く子どもたちの元気な声が響き渡るように戻ることを祈るばかりです。


 さて、腹赤小学校に来て4年を迎えましたが、今年はじめて理科室の軒下にツバメが巣作りをしています。


 ツバメは、日本では古来から「益鳥」として大切にされてきた鳥です。その理由は,稲の害虫を食べ、米作りを助け守ってきたからです。
 そのため、農村部ではツバメを傷つけたり,巣を壊したりすることを禁じて大切にしてきたようです。
 また、人の出入りの多い場所を選んで巣をかけることから、商売繁盛の印にもなっています。
 では、なぜツバメは,人の家の軒先などに巣をかけるのかということですが、一番の理由はツバメを襲う敵が近づきにくいためです。
 彼らは面白い習性があって、オスが先に日本に渡ってきて、巣をかける場所を探すそうです。その後、メスが来て、オスの準備した巣が気に入ると、ペアができるそうです。
 中には、早くにやって来たのに,いつまでも一羽で寂しそうにしているツバメがいますが、 それはオスで,メスに気に入られることのない巣を準備したせいだとのことです。
 巣づくりについては、以前は「去年来たツバメが,今年も巣をかけた」といわれていましたが、必ずしもそうではなく、むしろ違うツバメがやって来ているという話も聞きました。

 彼らは、スマートな体つきをしています。高速で飛行するのに適した構造になっています。ところが、「天は二物を与えず」と言われるように、ツバメの足はとても短いのです。
 実際に地面に降りるのは,巣を作るときに材料である泥を求めるときだけです。(何と水を飲むときも,水面すれすれを飛んでいくのです。夏場、プールで見ることができます。)


 実は、ツバメの鳴き声は「土食って虫食って口渋い」というふうに聞こえます。そのように鳴くようになった理由を紹介した民話があります。

 昔、スズメとツバメは姉妹だった。彼らの親の死に目に際して、スズメはなりふり構わず駆けつけて間に合ったが、ツバメは身支度に時間をかけたため、間に合わなかった。
 その様子を見ていた神様は、スズメには穀物でも何でも好きな物を食べることを許したが、ツバメには土と虫以外を食べてはならないとした。だから、今でもツバメは「土食って,虫食って口渋い」と鳴いているそうだ。


 ところが、それだけ人とのかかわりが深かったツバメですが、激減しているといわれています。
 その理由は、大きく3つあげられています。

 ①巣をかける家が減った
 そもそも、ツバメが好むのは周囲でエサがたくさんとれ、巣材も豊富な里山の軒がある家屋です。ところが、近年の家はつるんとした壁が多くなり、巣をかけるのが難しいためだと言われています。

 ②天敵が巣を襲うようになった
 一番の天敵はカラスです。カラスは,巣を襲いツバメの雛を奪っていきます。カラスをかばう気は全くありませんが、彼らも自分の子育てのためにツバメを奪うようです。何とも言えない悲しい話です。
 近年、人間の生活圏でカラスが増えていますが、原因は人間の捨てるゴミを餌にしているためであるとも言われています。

 ③エサが減った
 ツバメたちは、3000〜7000kmもの距離を,命がけで渡ってきます。それは、春から夏にかけての日本にはエサとなる昆虫が豊富で,子育てに適しているからです。
 ところが、田畑の宅地化や河川の護岸化、農薬の使用、耕作放棄地の増加によって,エサとなる昆虫が減ってきています。
「日本野鳥の会」の調査によると、親鳥は1日に520回も雛にエサを運んだといいます。ということは、昆虫の減少は、死活問題になります。


 先日は、理科園にジャガイモの種芋を植えました。6年生の理科の教材です。登校日には、子どもたちと種まきをしたいと思います。