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今日は「大寒」です

 今日は「大寒」です。

「暖冬」のおかげで、さほど暖かさを求める気分は強くないのですが、何はともあれ『春」は待ち遠しい気がします。

 昔の冬は、思い返してみると今よりうんと寒かった気がします。
 朝、学校への道端には霜柱が並び、それを踏み踏み歩いた思い出があります。
 今でも覚えている「驚き」は、日当たりのよい溜池の土手を何の気なしに掘ってみたら「アメンボ」が出てきたことです。それも10匹以上まとまって…。
 アメンボは、そもそも水面にいる昆虫だと思っていたのに,日当たりのよい土手の土の中から現れたのには、まさに「ビックリ」でした。

 あとで聞いた話では「池の昆虫たちも陸上に上がり,冬越しをする」ということで「寒いのは嫌なんだな」と思ったことでした。
 さて、昆虫の冬越しと聞くと『ミノムシ』を思い浮かべます。すっかり落葉した木の枝にくっついたミノが寒そうに風に揺れているのを見ると,自分のことのように寒さを強く感じたものでした。
 中を切り開いて(ハサミで切らないと開かないぐらいしっかりしたつくりでした)見ると、茶色の幼虫がいてじっとしていました。ミノの内側は、とてもフカフカした暖かな毛皮のコートのようでもありました。
 そんなミノ(巣)の中で冬を過ごし,春をじっと待っていたのでしょう。生き物の知恵に感動したことを今も覚えています。


 昆虫は変温動物です。気温が下がると代謝を下げて、活動量をうんと下げて生き延びます。
 そんな彼らにとっておそろしいものが2つあります。

おそろしいもの1〜乾燥

 冬は空気が乾燥します。水分は氷になり日中に蒸発することを繰り返すことで「高野豆腐」「切り干し大根」はできあがります。
  この原理が実におそろしい。昆虫にとっても、じっとしている間に体内の水分が蒸発してしまい命を失うことになるからです。
 そのため、固い殻に閉じこもったり、土の中に潜んだりということをするのです。

おそろしいもの2〜水分

 乾燥がこわい…と書いておきながら,今度は水分?
 きっとそう思われたことでしょう。しかし、事実です。
 水分は、体内になければならないものです。ところが、体のまわりに氷ができると、口や呼吸器官から氷は体内に侵入してきます。つまり、体の内部が凍るのです。
 それの何がこわいのか。実は水分は凍ると体積が増えます。冷蔵庫の製氷皿にすれすれの水を入れても,できあがった氷は盛り上がっています。その性質は、生き物の細胞内の水分にも適応されます。つまり、細胞が破裂することになって命にかかわる重大問題になるのです。


 もっとも、体内の水分(体液といいます)は、純粋な水ではありません。さまざまな有機物やミネラルは溶け込んでいるため凍ることはないようです。しかし、油断は禁物です。何らかの弾みで凍る危険性もゼロではないのです。何でも過冷却現象というのがあって、ちょっとした衝撃で瞬間的に凍るのだそうです。だから、衝撃が起きないように、じっとしているのだとも聞きました。


 実は、私の通勤路にあるミカンの木に,秋ごろアゲハチョウの幼虫がいました。もうやがて11月になろうという頃でしたから(大丈夫だろうか?)と心配をしていたところ、先日見たらサナギがありました。(サナギになっていたわけです。)
 ここで素朴な疑問。このサナギは春まで持ちこたえられるのだろうか?…となったわけです。
 いろいろ調べてみると「越冬サナギ」と呼ばれる形態だそうで、休眠状態なんだそうです。当然、先に述べた「おそろしいもの」への対策を講じています。しかも研究によると,休眠に入ったサナギは、ちょっと暖かい日が2,3日続いても動き出したりしない。冷蔵庫の中ぐらいの気温を2ヶ月ほど経験しないと,目覚めないのだそうです。
 三寒四温という春の初めの気候にも惑わされず、本当の春が来るのを待ち続けるようにできているということなのです。

 この説明を読んだときに、ちょっと安心しました。きっと春になると美しい蝶になってくれるのだろうと思うと嬉しい気さえします。衝撃を与えたりしないように、そっと見守っていきたいと思う次第です。