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2020年4月の記事一覧

ミツバチ

 パンジーなど校内の花壇をはじめ、あちらこちらに美しい花が咲きみだれています。

 次々と花が咲くこのころ、花を訪れるミツバチの姿が目につきます。足に花粉団子をつけて花をめぐる姿には「頑張っているなあ」と感嘆の声が出るほどです。


 ハチというとどうしても、毒をもっていて危険だという先入観がありますが、ミツバチは穏やかで,よほどのことがなければ攻撃される(針で刺される)ことはありません。
 日本にはミツバチが2種類います。1つは、もともと日本で暮らしていたニホンミツバチ。もう1つは,明治時代にヨーロッパから持ち込まれたセイヨウミツバチです。

 ニホンミツバチは、1匹の女王蜂に対して、1,2万匹の働き蜂がいて、ひとつの集団をつくっています。働き蜂は基本的にはメスばかりで、オスは春の繁殖期にのみ出現するそうです。
 働き蜂は、巣の外に出かけストローのような口と体中を覆う毛を使って上手に花の蜜や花粉を集め、巣に運びます。
 ここで素晴らしいのは,彼らは花までの距離や方角をダンスで仲間に伝えるということです。円形ダンスと八の字ダンスがあり、餌場が近いときには円形ダンス、遠いときには八の字ダンスを踊って伝えるそうです。しかも踊りのスピードで,どれくらい離れているかということまで伝えるそうです。


  働き蜂の仕事は、食料の調達だけではありません。巣を快適に保つことも重要な仕事です。
 巣の出入り口で,羽を震わせて外の新鮮な空気を巣の中に送り込んだり、時には水を口に含んで巣の中に打ち水したりして巣内の温度を下げることまでするようです。


 働き蜂の重要な働きは、もう一つあります。
 それは、巣の防衛です。
 ミツバチの天敵の一つが「スズメバチ」です。
 スズメバチはミツバチを捕獲し、彼らの幼虫の餌にします。
 さて、ニホンミツバチたちは、スズメバチが現れるとどのようにして防御するかというと、スズメバチに対して,瞬く間に数百匹もの働き蜂がおおいかぶさり、塊をつくります。
 そして、羽を震わせながら熱をつくり出してスズメバチの体を作るタンパク質を崩壊させます。(つまり、熱で殺してしまうのです。我々の使っている体温計も42度までしか目盛りがありませんが、それはそれ以上を測る必要がないということなのです。)
 このようにしてニホンミツバチは、集団で敵を撃退します。ではセイヨウミツバチはというと、どうも単独で立ち向かうため,次々にスズメバチにやられてしまうようです。
 なぜ、同じミツバチで違いがあるのか?
 それは、セイヨウミツバチの故郷であるヨーロッパにはスズメバチがいないため、撃退する術をもっていないのです。
 ミツバチにも、長い年月をかけて培った文化(習性)があるのですね。


  近年、ミツバチを使った地域活性化の取り組みがあります。
 その名は「銀座ミツバチプロジェクト」というものです。何と東京のど真ん中である銀座で養蜂を行っているのです。
 その趣旨は、「ミツバチによって自然と共生できる銀座の街に出合ったのです。自然を排除しない。自然と共生できる。素晴らしいものに出合った!自然を受けとめる。それによって街はもっとうるおいを持つ。生活は豊かになる。採れた蜂蜜を銀座の“技”で商品にする」(プロジェクト世話人の田中淳夫氏)というものです。ミツバチは環境指標生物。ミツバチの住める都市は安全な都市といえます。ハチ、イコール“安全”のシンボルというわけです。
 この取り組みは平成18年3月28日(ミツバチの日)に始まり、日本全国にも拡大しているそうです。