水上学園日記
春の陽気の中、運動場で行われる「作戦会議」
2月中旬とは思えない、4月上旬並みのあたたかな日差しが運動場を包み込みました。絶好の体育日和となった2時間目、3・4年生たちが元気にサッカーの授業に取り組んでいます。
それぞれの学年で2つのチームに分かれ、ゲーム形式で対戦。子どもたちは、転がるボールを一心不乱に追いかけます。しかし、本校の体育はただボールを蹴るだけではありません。
「考える」から「つながる」へ
試合の合間、笛の合図とともに各チームが円陣を組みました。「作戦会議」の時間です。
「もっと広がって守ろうよ」「次は私が前に出るから、パスをちょうだい」
そんな声が聞こえてきます。ただがむしゃらに動くのではなく、自分のポジションを考え、仲間の動きを予測する。そして何より、仲間の気持ちを思いやりながら言葉を交わす。体育の時間は、まさに「頭と心と言葉」をフル回転させるコミュニケーションの場なのです。
育まれる3つの資質・能力
こうした光景の中に、本校が教育目標として掲げる「身に付けたい資質・能力」の姿がはっきりと見えました。
実践力:自ら考え、どう動くべきかを判断して行動する力。
表現力:自分の意見を伝え、仲間とともに高め合いながら表現する力。
作戦会議で自分たちの課題を見つめ直し、次のプレーに生かそうとする姿は、まさにこの2つの力が体現された瞬間でした。
こうした小さな積み重ねが、仲間との深い「きずな」を生み、ひいては自分たちの学び舎や地域を大切に思う「郷土愛」へとつながっていくのだと確信しています。
あたたかな春風の中、子どもたちの健やかな成長を感じる、清々しい1時間となりました。
明日2月18日は、前期課程の授業参観と懇談会、そして教育講演会を行います。保護者の皆様どうぞよろしくお願いします。
春の香りと、成長への階段
三寒四温。先週までの厳しい寒さが嘘のように、この週末は春を感じさせる温かな空気に包まれました。中庭に目を向けると、紅梅が鮮やかに咲き誇っています。温かな南風に乗って、ふわりと甘い花の香りが校舎まで届き、春の訪れを五感で感じる季節となりました。そんな春めく陽気の中、二年生の教室を覗くと、子どもたちが活気あふれる表情で作業に取り組んでいました。
これまでの自分、これからの自分
二年生は今、明後日の授業参観で行う「発表会」の準備に夢中です。黒板には「はっぴょう会にむけてじゅんびしよう」の文字。その横には「できるようになったよ」「じょうずになったよ」「二年生だいすき」といった、子どもたちの真っ直ぐな言葉が並んでいます。床に大きな模造紙を広げてプログラムを書く子、タブレットでイラストを調べながら招待状や小道具を丁寧に作る子。どの子も「自分たちの成長を伝えたい!」という意欲に溢れています。
一歩ずつ、次の学年へ
三学期も残すところ、いよいよあと一ヶ月余りとなりました。この一年間、子どもたちは勉強だけでなく、友達との関わりや行事を通して、心も体も大きく、たくましく成長しました。
発表会の準備をすることは、単なる練習ではありません。これまでの自分を振り返り、「頑張った自分」を認め、「新しい学年」への期待を膨らませる大切なプロセスです。一歩一歩、確かな足取りで成長の階段を上っていく子どもたち。明後日の授業参観では、そんな彼らの勇姿と、この一年間の輝かしい成果をぜひ温かく見守っていただければ幸いです。
中庭の梅の花が満開になる頃には、子どもたちの自信もまた、満開の花を咲かせていることでしょう。
授業参観当日は、ぜひ子どもたちの「できた!」という喜びに共感し、たくさんの拍手を送ってあげてください。
心をたぐり寄せ、なかまづくりを深める一日〜3学期人権集会〜
日中は春の気配が感じられるようになってきましたね。そのような中、「なかまづくり〜ふりかえろう・たかめ合おう〜」をテーマに、3学期の人権集会を開催しました。
集会の第一部では、1学期に各学年で掲げた「人権宣言」や学習の歩みを振り返る学年発表を行いました。低学年の子どもたちが「いのちはみんなたいせつなんだよ」というメッセージを一生懸命に伝えたり、高学年が自分たちの言葉でなかまへの思いを語ったりする姿には、この一年間の大きな成長が感じられました。全校児童生徒が互いの顔が見えるかたちに向き合い、仲間の声を真っ直ぐに聴き入る姿は、まさに温かな「なかまづくり」の風景そのものでした。
第二部では、熊本県人権教育研究協議会の会長である森山資典様をお招きし、「なかまをつくる部落に生まれて自分を語る」という演題でご講話をいただきました。部落差別問題という重要なテーマを通じ、森山様は「自分を、家族を、故郷を大好きだと笑顔で言える人を育てる」という熊本の人権教育の神髄を、熱く、そして優しく語りかけてくださいました。子どもたちは「差別やいじめをなくすために自分ができること」を、自分自身の課題として真剣に受け止めているようでした。
また、この学びは子どもたちだけではありません。人権集会の後には、森山様による職員研修も実施いたしました。教職員一同、森山様の熱意に触れることで、「一人ひとりが自分らしく輝ける学校」を創るための使命感を新たにする貴重な機会となりました。
本日の学びは、事後指導や感想記入を通じてさらに深めてまいります。寄せられた感想は、後日森山様へお届けする予定です。ご家庭でもぜひ、今日の人権集会についてお子様と話題にしてみてください。
命のバトンを受け取って~2年生「赤ちゃんはどこから」の学習~
寒さの中にも日中は春の気配を感じる今日この頃。2年生は、水上村保健福祉課の保健師さんをお招きし、「赤ちゃんはどこから」というテーマについて学びました。
授業の始まりは、お母さんのお腹の中で命がどのように育っていくのかを学ぶ時間です。黒板には、月日を経て少しずつ大きくなっていく胎児の様子が掲示されました。最初は小さな「受精卵」だった命が、お腹の中で指ができ、心臓の音が聞こえるようになり、元気に動くようになる過程を、子どもたちは真剣な表情で見つめていました。
特に印象的だったのは、電子黒板に映し出されたエコー映像や、胎内の音を聴く場面です。トクントクンと響く力強い鼓動を耳にし、自分たちもこうして大切に育てられてきたのだという実感が、教室全体に広がっていきました。
後半には、実際の赤ちゃんと同じくらいの重さがある人形を抱っこする体験を行いました。
「うわあ、意外と重い!」
「首を支えないと、壊れちゃいそう……」
そんな声があちこちから上がります。慎重に、そして愛おしそうに人形を腕に抱く子どもたちの姿からは、命の重みと尊さを肌で感じ取っている様子がひしひしと伝わってきました。
最後に、担任や保健師さんから「あなたは、みんなに待ち望まれて生まれてきた大切な宝物なんだよ」という温かいお話がありました。授業後の振り返りシートには、驚きや発見、そして自分を支えてくれている周りの人々への感謝の気持ちがたっぷりと綴られていました。
自分自身を大切にすること、そして同じように他人の命も大切にすること。この学びが、子どもたちの心の中に優しい種として根付いてくれることを願っています。ご家庭でもぜひ、お子さんが生まれたときのエピソードなどを話題にしてみてください。
心に刻む、最後の一ページ
本日、9年生にとって、本校で最後となる読み聞かせが行われました。
今回、教壇に立ってくださったのは、長年、水上学園の子供たちを温かく見守り続けてくださっている永石様です。
教室に響く木魚と笑い声
今日の主役は、絵本『だじゃれ日本一周』。
しかし、ただの読み聞かせではありません。永石様が手書きで用意された各都道府県のダジャレ短冊を一枚一枚めくるたびに、生徒がリズムよく「ポク!」と木魚を叩いて音頭を取ります。
「上手い!」と思わず唸るような高度なものから、思わず吹き出してしまうようなユニークなものまで。受験期という緊張感の中にいる9年生の教室が、一気に温かな笑いと拍手に包まれました。
心と体をほぐす「魔法の時間」
読み聞かせの合間には、永石様から受験生へのエールとして、指や肩の体操、さらには太極拳を取り入れた深呼吸法も伝授していただきました。
凝り固まった体と心を解きほぐすその時間は、まさに今の彼らにとって何よりのプレゼントだったように思います。
「ふるさと」を胸に、未来へ
そして最後。卒業してこの村を離れていく子供たちへ、永石様が込めた願い。
それは、「この村の、この学校の素晴らしさを忘れないでほしい」という強い思いでした。
締めくくりに全員で歌ったのは、唱歌『ふるさと』。
歌詞の一つひとつを噛みしめるように、手話を交えながら皆で声を合わせました。手話で紡がれる「山」や「川」の動きは、そのまま彼らが育ったこの水上の風景そのものです。
永石様、長年にわたる温かいご支援と、卒業生への愛情あふれる最後の授業を本当にありがとうございました。
9年生の皆さん。
今日感じた温もりと、この村の風景を心の糧にして、自信を持って新しい世界へ羽ばたいていってください。