水上学園日記
早咲きの桜に誘われて:それぞれの「学び」が花開く
校庭の駐車場の奥、ふと目をやると紅色の早咲きの桜がほころび始めました。春の足音が、確実に聞こえてきています。
この連休中、村のシルバー人材センターの皆様が、校舎周りを実に見事に見違えるほど綺麗に整えてくださいました。おかげさまで、清々しい環境のなかで卒業式を迎える準備が進んでいます。地域の皆様の温かい支えに、心より感謝申し上げます。
真剣勝負のテストと、心を通わせる英語
校舎内を巡ると、学年ごとに特色ある学びの姿が見えてきます。
- 後期課程(7・8年生):今年度最後の期末テストに挑んでいます。静まり返った教室に、鉛筆の走る音だけが響く緊張感。一年間の積み上げをぶつける真剣な眼差しが印象的でした。
- 5年生:英語の授業では、自分の「ヒーロー」を紹介していました。
"My hero is my father. Because he cooks very well."憧れの人を理由と共に英語で語る。単なる暗記ではなく、自分の心の内を言葉に乗せて届ける喜びを感じているようでした。
「なすことによって学ぶ」体と頭の躍動
体育館では、3・4年生が元気に跳び箱に取り組んでいました。踏切の音、着地のポーズ。一段ずつ高さを超えていく姿は、まさに成長そのものです。
一方、2年生の算数の授業では「箱の形」を学習中。「面はいくつあるかな?」という問いに対し、教科書を眺めるだけでなく、実際に自分たちの手で箱を組み立てていました。「為すことによって学ぶ」実際に手を動かし、試行錯誤しながら得た知識は、一生忘れない生きた力となります。完成した箱を誇らしげに見せてくれる笑顔が、その学びの深さを物語っていました。
義務教育学校ならではの風景
テストに集中する中学生の横で、小学生が英語で夢を語り、算数で工作に励む。こうした多様な発達段階の「学び」が同じ校舎内で日常的に交差するのは、本校のような義務教育学校ならではの光景です。
低学年から高学年まで、バラエティに富んだ教育活動が展開されるなかで、子どもたちは互いに刺激を受け合い、成長しています。桜の開花とともに、子どもたちの才能もまた、大きく花開こうとしています。
イタリアの風を感じてー美術室で出会う「ルネサンスの鼓動」ー
ミラノ・コルティナオリンピック公式サイト https://www.olympics.com/ja/milano-cortina-2026 より
ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが幕を閉じました。17日間にわたり、氷上や雪上で繰り広げられた選手たちの躍動感あふれる姿は、私たちに多くの感動を与えてくれましたね。開会式や閉会式でも、開催国イタリアらしい芸術性の高い演出が随所に見られ、あらためて「芸術の国」としての層の厚さを感じた方も多いのではないでしょうか。
そんな興奮冷めやらぬ中、本校の美術室を覗くと、8年生たちが、まさにそのイタリアが生んだ至宝「ルネサンス美術」の鑑賞授業に取り組んでいました。
500年の時を超えて対話する
授業の主役は、誰もが一度は耳にしたことがある巨匠、ミケランジェロ・ブオナローティです。モニターに映し出された『ダヴィデ像』の凛々しい姿に、生徒たちの視線が集中します。
「この像、実際はどれくらいの大きさだと思う?」という先生の問いかけに、ワークシートを埋めながら想像を膨らませる生徒たち。実は5メートルを超える巨大な大理石像であることを知ると、「えっ、そんなに大きいの?」「どうやって削ったんだろう」と驚きの声が上がります。
「万能の天才」から学ぶグローバルな視点
授業では、ミケランジェロだけでなく、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロといった「ルネサンスの三大巨匠」についても学びを深めました。ピエタ像の持つ圧倒的な慈愛の表現。バチカン市国のシスティーナ礼拝堂に描かれた、天井を埋め尽くす壮大な壁画。
500年以上も前に作られた作品が、今なお世界中の人々を魅了し続けている理由は何なのか。生徒たちは、資料を読み解きながら、当時の人々が「人間」をありのままに表現しようとした情熱に触れていました。
教室から世界へ
オリンピックを通じてスポーツの力を感じた今、この鑑賞授業は、異文化を理解し、世界各国の素晴らしい遺産に敬意を払う「グローバルな視点」を養う絶好の機会となりました。教科書の中の知識として覚えるだけでなく、「いつか本物を見てみたい」という憧れや、異なる時代の価値観を認め合う心が、これからの国際社会を生きる生徒たちの糧になると信じています。美術室の窓から差し込む光を浴びながら、熱心にノートを取る生徒たちの姿。その姿もまた、ルネサンス(再生)の精神のように、新しい自分を見つけ出そうとする輝きに満ちていました。
紅梅が告げる春の足音、9年生の「あと10日」
2月も残すところあと1週間となりました。ふと中庭に目を向けると、鮮やかな紅梅が次々に花を咲かせています。青空に映えるそのピンク色は、冬を耐え抜いた力強さと、新しい季節の訪れを感じさせてくれます。
教室で見つけた「10」の重み
今日、9年生の教室前を通りかかると、掲示されている「進路カレンダー」が目に留まりました。そこには、卒業まで、そしてこの学び舎に登校する日数が「残り10日」であることが記されていました。「10」という数字をどう感じるでしょうか。受験という大きな壁に立ち向かっている彼らにとっては、緊張感のあるカウントダウンかもしれません。しかし、同時にこの校舎で仲間と笑い、語り合える時間が、砂時計の最後の一粒のように、とても貴重なものに思えてなりません。
かけがえのない「今」を刻む
教室をのぞけば、カメラにピースを送ってくれる元気な笑顔があります。「WE CAN! WE MUST! WE WILL!」という掲示物の通り、自分たちの可能性を信じて突き進もうとする9年生の姿は、下級生にとっても大きな道標です。卒業式までの10日間は、単なる通過点ではありません。
当たり前だった授業、昼休みのはしゃぎ声、放課後の静かな教室
そのすべてが、彼らの人生の土台となる「水上学園での最後の記憶」として刻まれていきます。
私たちは、彼らがこの10日間を一日たりとも無駄にせず、充実した時間を過ごしてくれることを願っています。そして迎える3月8日の卒業式。涙と笑顔が混ざり合う、最高の旅立ちの日にしましょう。その先に広がる未知の未来が、この紅梅のように美しく花開くものであることを、教職員一同、心から信じています。
あと10日。一分一秒を、大切に。
地域の味、伝統のバトンをつなぐ調理実習
窓の外には春の気配が漂い、調理室からは出汁の芳醇な香りが廊下まで広がっています。7年生は家庭科の授業で「郷土料理」の調理実習を行いました。
今回挑戦したのは、私たちの地域に古くから伝わる「つぼん汁」「まぜご飯」「白和え」「ねったんぼ」の四品。地域の行事やお祝いの席には欠かせない、心温まる献立です。
この学びを力強く支えてくださったのは、いつも水上学園を温かく見守っていただいている地域の女性部の皆様です。
匠の技を間近で学ぶ
生徒たちは、慣れない手つきで包丁を握り、こんにゃくを切ったり、野菜を細かく刻んだりすることに大苦戦。しかし、各グループに入ってくださった女性部の皆さんが、「ここはこうすると味が染みやすいよ」「包丁はこう構えて」と、優しく、時には職人のような鋭い眼差しで丁寧に指導してくださいました。
教科書を読むだけでは決して得られない、経験に裏打ちされた「生きた知恵」。生徒たちの表情は真剣そのもので、鍋の中で具材が踊る様子を食い入るように見つめていました。
世代を超えた「おいしい」の共有
調理が進むにつれ、調理室には活気ある対話が溢れました。
「昔はね、この料理をこうやって作っていたのよ」
そんな地域の歴史や食文化に触れるお話は、生徒たちにとって何よりのスパイスになったはずです。
出来上がった料理を口にした生徒たちの顔には、パッと明るい笑顔が広がりました。
自分たちの手で作った喜びと、地域の方々と一緒に作り上げた達成感。
「郷土の味」とは、単なるレシピではなく、こうした人とのつながりの中で受け継がれていくものなのだと、改めて実感する貴重な時間となりました。
おいそがしい中、朝早くからご協力いただいた女性部の皆様、本当にありがとうございました。
水上学園の生徒たちは、こうして地域の方々の愛情をたっぷり注がれながら、故郷の誇りを学んでいます。
次はどんな「地域の宝」を見つけることができるでしょうか。
今回の調理実習について、ご家庭でもぜひ感想を聞いてみてくださいね。
「令和の学び」へバージョンアップ!〜辻准教授と考える、今日からできる小さな一歩〜
本日は前期課程の授業参観に合わせ、鹿児島国際大学の辻慎一郎准教授をお招きし、「令和の時代にふさわしい教育」をテーマに講演会を開催いたしました 。会場では、保護者の皆様が熱心にメモを取られたり、スマートフォンを使ってリアルタイムのアンケートに参加されたりする姿が印象的でした 。
「2040年以降」を見据えた子育てのバージョンアップ
講演の中で辻先生は、今の子供たちが社会に出る「2040年以降」に視点を置くことの大切さを強調されました 。人生100年時代、学校を卒業した後の人生の方がずっと長くなります 。私たちはつい、目先のテストの点数や高校入試に意識が向きがちですが、本当に必要なのは、卒業後の「本番の人生」で力を発揮できる「資質・能力」です 。
特に印象的だったのは、アンケートで皆様が「どんな大人になってほしいか」という問いに対し、「思いやりがある」「自分で考えられる」「人から信頼される」といった、テストでは測れない「非認知能力」を多く挙げられたことです 。これはまさに、これからの時代に最も求められる力と合致しています 。
水上学園の教育と「個別最適な学び」
本校が進めているICTの活用や、一人ひとりの進度に合わせて学ぶ「AIドリル」の導入、そして自ら課題を探っていく「探究学習」についても、辻先生から「方向性はピシャリです」と力強い太鼓判をいただきました 。
少人数ならではの良さを活かし、デジタルとアナログ(本物体験)をバランスよく組み合わせる本校の教育環境は、全国的に見ても非常に恵まれているとのことです 。
今日からできる「小さな一歩」
「子育てに正解はないけれど、みんなで意見を出し合い、納得解を見つけていく力がこれからの時代には必要」という辻先生の言葉から、多くの気づきをいただきました 。
保護者の皆様におかれましても、今日からできる「小さな一歩」を考えてみませんか ?
学校と家庭、そして地域が手を取り合い、子供たちの「ウェルビーイング」を支えていけるよう、これからも共に歩んでいきましょう 。
授業参観と教育講演会へのご参加、誠にありがとうございました。