水上学園日記
「生きた数学的思考」を育むために 〜今日の算数の授業から〜
今日の2時間目、校内を巡回すると、1年生から5年生までが真剣な表情で算数の授業に向き合っていました。
それぞれの学年が取り組んでいた課題は次の通りです。
- 1年生:2桁の数を「10といくつ」に分ける学習(「10のまとまり」という十進法の根幹に触れています)
- 2年生:繰り下がりのある引き算(「10のまとまり」から崩して計算する仕組みを考えています)
- 3年生:単位の違う距離の引き算(「km」と「m」という連続した量を揃えて処理する思考です)
- 4年生:3桁÷2桁の割り算(商の見当を立てるという、数感覚をフルに使う難所です)
- 5年生:約数の理解(数の構成や整律性を抽象的に捉えるステップに入っています)
子どもたちが一生懸命に頭を悩ませ、ノートに向かう姿は実に頼もしいものでした。しかし同時に、私たちが指導を行う上で強く意識しなければならないのが、子どもたちの脳内に形成される「数のスキーマ(概念の枠組み)」です。
認知科学者・今井むつみ氏の著書『学力喪失』によれば、子どもは日常経験から「数は物を数えるためのもの(自然数スキーマ)」といった直感的な知識体系を構築します。この暗黙のスキーマは低学年の整数計算では有効ですが、高学年で小数や分数、割合といった抽象的な概念に移行した際、正しく「記号接地(抽象的な記号と現実の感覚やイメージを結びつけること)」ができていないと、深刻な学習障壁となってしまいます。
単に計算のやり方や公式を暗記させるだけの「死んだ知識」では、学年が上がるにつれて壁にぶつかってしまいます。1年生の「10のまとまり」の捉え方から、5年生の「約数」に至るまで、単一の解き方に縛られず、図や数直線、身体的イメージと結びついた「正しい数のスキーマ」を段階的に築いていくことが極めて重要です。
水上学園では、子どもたちが表面的な暗記にとどまらず、試行錯誤を通じて「真の概念理解」へと到達できるよう、義務教育学校の強みを活かしたカリキュラム・マネジメントにより、系統的な指導を一層推進してまいります。
ご家庭でもぜひ、「どうやってその答えになったの?」とお子様の思考プロセスに耳を傾けてみてください。
9年間でつむぐ学びのバトン
観測史上最も暑いと言われた8月が過ぎ、本校の運動場も雨が少なくカラカラの状態が続いていました。風が吹くたびに砂煙が舞うほどでしたが、今日は朝から久しぶりの雨。体育館から見える校庭もしっとりと濡れ、ほっと一息つけるような「お湿り」となりました。
もっとも、今週末にかけては台風の進路や秋雨前線の動きに十分な警戒が必要です。
少し涼しさを感じられる雨模様となった今日の2時間目。体育館のフロアからは、子どもたちの元気な声が聞こえてきました。3・4年生の体育「走り幅跳び」の授業です。
電子黒板に映し出された「力強いふみきりをするためにはどうすればよいか」という課題をもとに、子どもたちは自分のめあてに向かって真剣に取り組んでいます。タブレットで自分のフォームを撮影して確認したり、工夫された練習場所で力強く踏み切ったり。手書きのカードには「ふみきりを意識して遠くに飛ぼう」と、一人ひとりが考えた言葉が力強く書かれていました。
実は、昨日の1・2年生の体育でも同じ系統の学習が行われていました。本校では、同じ系統の種目を同じ時期に1年生から9年生まで揃えて計画的に実施しています。
低学年から発達段階に合わせて学びを深めていくことで、運動の得意・不得意にかかわらず着実に力を伸ばすことができます。
そして何より、9年間を通じた成長のプロセスを教職員全体で見守り、次へつないでいけること。それこそが、義務教育学校である水上学園ならではの大きな強みだと実感しています。
小さな胸の「どきどき」から感じる、命のあたたかさ
今日の2時間目、1年生の教室では道徳の授業「どきどき どっきんぐ」が行われていました。
「どんなときに、胸がどきどきするかな?」という問いかけに、子どもたちは元気に手を挙げながら、自分の経験と思いをつぎつぎと発表していきます。「走ったとき」「うさぎをだきしめたとき」「お母さんにだっこされたとき」——。みんなで意見を出し合いながら、心臓の鼓動の変化や、そのとき感じる温もりについて考えを深めていきました。
授業の途中、みんなでそっと自分の胸に手を当ててみる時間がありました。目を閉じ、じっと静かに自分の小さな胸の「どきどき」を感じる子どもたち。「動いてる!」「温かい!」と、自分のからだの中でたしかに脈打つ鼓動に、どこか不思議そうで、うれしそうな表情を浮かべていました。自分が今こうして生きていることの喜びや不思議さに、肌で触れた瞬間でした。
続く3時間目は体育の授業です。今度は体育館へ移動し、思いっきりからだを動かしました。元気に走り回ったあと、再び胸に手を当ててみると……さっきよりもずっと速く、力強く「ドキドキ!」と胸が鳴っています。
静かに感じた温かいどきどきも、全力で走ったあとの速いドキドキも、すべて自分が懸命に「生きている」証拠です。
自分の心臓の音を感じ、体温を実感することを通して、子どもたちは「生きているってすばらしい」という大切な事実に気づくことができました。自分自身の命はもちろんのこと、となりにいるお友だちや、まわりの人たちの命も同じように温かく、かけがえのないものです。今日の授業で感じた胸のあたたかさを忘れず、これからも自分やお友だちを大切にできる心豊かな子どもたちに育っていってほしいと願っています。
「防災の日」に考える食と命の備え
カレンダーは9月に入りました。しかし、今日のお昼の運動場は気温が上がり、38℃ほどの危険な暑さとなりました。子どもたちの安全を第一に考え、熱中症には十分に気をつけながら日々の教育活動を進めています。
9月1日は防災の日
さて、今日9月1日は「防災の日」です。本校でもこの日に合わせ、給食の時間に非常食である「救給根菜汁」が出されました。子どもたちは容器から直接おいしそうに口にしながら、防災食について学んでいました。
令和8年熊本地震の発生から1か月が経ちました。大きな被害を受けた八代市などの学校では、2学期が始まったものの給食が提供できず、まさに今日の本校と同じようなレトルトの防災食が提供されているとのことです。不自由な避難生活や支援が続く被災地の方々の苦労に思いを寄せるとともに、一日も早い復興を心より願うばかりです。
ローリングストック
いつ発生するかわからない自然災害だからこそ、日頃からの備えが欠かせません。ご家庭で日常的に食べ慣れたものを多めに買い置きし、食べた分を買い足していく「ローリングストック」をぜひ意識してみてください。詳しくは今月の給食だよりをご覧ください。
マイタイムライン
また、災害時に「いつ・誰が・どのような行動をとるか」を時系列で整理する「マイタイムライン」の策定も非常に有効です。大雨や台風、地震が起きた際、どこへ避難し、どのように連絡を取り合うのか、この機会にぜひご家庭で話し合ってみてください。
当たり前が有り難い~感謝の気持ちを忘れずに
当たり前のように温かい給食が食べられる毎日の有り難さに感謝しながら、学校とご家庭と地域が一体となって防災意識を高めてまいりましょう。
手で測り、体感する算数〜実感を伴う「記号接地」の学び〜
今日で8月も終わり、明日からは9月を迎えます。暦の上では秋が近づいていますが、運動場にはまだまだ真夏の眩しい太陽が照りつけ、厳しい暑さが続いています。
そんな暑さにも負けず、元気いっぱいに外へ飛び出していったのは3年生の子どもたちです。算数の「長い長さをはかろう」の授業で、メジャーを手にして校内のさまざまなものの長さを測定する活動を行いました。
「花壇の長さは4m5cmもあったよ!」
「ジャングルジムの高さは1m70cmだ!」
「この木の幹の周りは、ちょうど1m30cmだね」
子どもたちは思い思いの場所へ散らばり、メジャーをピンと張ったり、木に巻き付けたりしながら、夢中で数値を読み取っていました。そして、測った結果はその場でノートにしっかりと記録していきます。
教室で机に向かい、教科書やノートの上で「1m=100cm」という知識を覚えるだけでは、なかなか「本当の大きさの感覚」は身につきません。実際に自分の手を動かし、目で確かめ、身体を使って測定することで、頭の中の数字(記号)が現実の大きさ(意味)としっかりと結びつきます。これこそが、まさに「記号接地」と呼ばれる実感を伴う学びの瞬間です。
汗をかきながら発見を喜ぶ子どもたちの姿に、確かな成長を感じた8月の締めくくりとなりました。酷暑の夏を乗り越え、いよいよ実りの秋が始まります。これからも子どもたちの「できた!」「わかった!」という実感を大切にした教育活動を続けてまいります。
子どもたちの笑顔と真剣な表情が戻った校舎 — 2学期の本格スタートに向けて
夏休みが明け、校舎に子どもたちの明るい歓声と笑顔が戻ってきました。静まり返っていた教室に活気が戻り、学校全体にふたたび「命」が吹き込まれたような温かさを感じます。
熊本地震などの自然災害のニュースに触れるたび、こうして子どもたちが元気に登校し、当たり前の日常を過ごせることがいかに有り難いことかを改めて実感させられます。2学期のスタートにあたり、昨日と今日の2日間は大切な「助走期間」となります。心と体に少しずつ学校のペースを取り戻しながら、余裕をもって充実した2学期へとつなげていくための時間にできたように思います。
この助走期間中も、子どもたちはさっそくそれぞれの目標に向かってしっかりと前進しています。
後期課程の教室では、夏休みに蓄えた学習の成果を発揮しようと、課題テストや実力テストに真剣な面持ちで臨む姿が見られました。自分の将来や進路を見つめ、集中してペンを走らせる中学生の表情は実に頼もしいものです。中には、外での活動の合い間にも教科書を手放さず、熱心に学習内容を確認する生徒の姿もありました。
前期課程の教室でも、タブレット端末を活用したデジタル学習や、仲間と顔を寄せ合って辞書を引きながら意見を交わし合う活発な学びが展開されています。さらに、秋の文化祭に向けた鼓笛の練習も動き出しました。
テストで見せる凛とした表情や、友達と学び合う中でこぼれる弾けるような笑顔。多様な表情を見せながら一歩ずつ歩みを進める子どもたちを、今学期も温かく支えてまいります。
2学期スタート!「日常のありがたさ」を胸に、みんなで支え合う水上学園へ
本日、無事に第2学期の始業式を迎えることができました。校舎に子どもたちの明るい笑顔と元気が戻り、全員そろってスタートを切れたことを心から嬉しく思っております。
■ 「あたりまえの毎日」の尊さをかみしめて
この夏休み中には令和8年熊本地震が発生し、大きな揺れや不安を経験されたことと思います。被害を受けられた県内各地の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。
本校では体育館の一部が損壊する被害が出ましたが、人的な被害はなく、今日、全校児童生徒が無事に全員揃うことができました。何よりもありがたいと感じたことです。
「おはよう」と挨拶を交わし、友達と笑い合い、共に学ぶこと。この「あたりまえの毎日」がどれほどありがたく尊いものか、改めて子どもたちと共に深く噛みしめる1日になりました。
■ 心と体のSOSを一人で抱え込まないために
始業式では、子どもたちに次のようなメッセージを伝えました。
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地震のあとに「怖くなる」「夜眠れない」「心がモヤモヤする」「頭やお腹が痛む」といった変化が出るのは、誰にでも起こる『あたりまえの反応』であり、決してあなたが弱いからではありませんし、恥ずかしいことでもありません。
一人で抱え込まず、先生やおうちの人など信頼できる大人に遠慮なく声をかけてください。言葉にできなければ、近くの先生のそばに来るだけでも大丈夫です。学校にはみんなを全力で守り、支える大人がたくさんいます。
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ご家庭におかれましても、お子様の様子で気になることがございましたら、遠慮なくご相談ください。
■ 助け合い・支え合いながら歩む2学期へ
2学期は、文化祭をはじめ、みんなで協力して成長できる行事が目白押しです。困っている友達がいれば声をかけ合い、悲しい思いをしている人がいれば寄り添いながら、一日一日を大切に積み重ねていければと考えています。
みんなで助け合い、支え合いながら生き生きと過ごせる「明るく・楽しく・元気な水上学園」を一緒につくっていきたいと思っています。
保護者の皆様、地域の皆様におかれましても、共に「チーム水上」の一員として、引き続き子どもたちを温かく見守り、支えていただきますようお願い申し上げます。
充実の1学期に感謝、そして新たな目標へ!
本日、無事に1学期の終業式を迎えることができました。保護者の皆様、そして地域住民の皆様の温かいご支援とご協力のおかげで、子どもたちは大きな怪我や病気もなく、充実した毎日を過ごすことができました。心より感謝申し上げます。
終業式では、3人の児童生徒が代表として、1学期の振り返りとこれからがんばりたいことを堂々と発表してくれました。
まず、4年生のそうせいさんは、お家でのお手伝いや日々の勉強にしっかりと取り組んでいきたいという決意を話してくれました。
続いて7年生のあらたさんは、学習における苦手分野の克服と、陸上の練習に励みたいという目標を力強く語ってくれました。
最後に9年生のゆいなさんは、最高学年として苦手なことにも恐れずチャレンジし、かけがえのないクラスメイトと共にすばらしい学級をつくりあげたいという熱い思いを伝えてくれました。
それぞれの成長と未来への意気込みが感じられる、大変立派な発表でした。
校長からは、始業式でお話しした「目指す児童生徒像」と学校経営スローガンについて振り返りをしました。
子どもたち自身に、「実践力」を高める行動ができたかを問いかけ、さらに「明るく・楽しく・元気な水上学園」に向けて、
・明るく:気持ちのよい明るいあいさつができましたか?
・楽しい:いじめや差別のない、誰もが安心して過ごせる温かい学校にできましたか?
・元気な:「早寝早起き朝ごはん」の規則正しい生活習慣が守れましたか?
と、それぞれの取り組みを振り返ってもらいました。2学期に向けて、できたことは自信を持ってさらに伸ばし、できなかったことはこれからできるようになるために、前を向いてがんばってほしいと伝えています。
式の最後には、全校児童生徒と教職員で心を一つに記念撮影を行いました。充実感に満ちた子どもたちの笑顔がとても印象的です。
明日からはいよいよ夏休みが始まります。健康と安全に気をつけ、地域の中で様々な経験を積んでほしいと願っています。改めまして、1学期間ありがとうございました。どうぞ素敵な夏休みをお過ごしください。
スマホやネットとどう付き合う?「ネット依存」と「これからの使い方」
本日、熊本県球磨教育事務所から社会教育主事の先生をお招きし、8・9年生を対象に「親の学び」次世代編講座を実施しました。最初は緊張をほぐすアイスブレイクからスタート。会場は一気に楽しい雰囲気に包まれ、リラックスした表情で本題へと入っていきました。今回のテーマは、もうすぐ始まる夏休みを前に、ぜひじっくりと考えてほしかった「スマホやネット、SNSなどの使い方を考えよう」です。
自分自身の生活を振り返る
生徒たちはまず、日頃の自分自身のスマホの使い方や生活習慣を振り返り、知らず知らずのうちに「ネット依存」になっていないかを考えました。
ネットに依存してしまうと、心や体への悪影響だけでなく、家族との関係(家庭的影響)や学校生活・友達関係(社会的影響)にも深く関わってくることを、分かりやすく教えていただきました。
現代ならではの課題「生成AI」や情報バイアス
さらに、最近急激に身近な存在となった「生成AI」についても意見を交わしました。生徒たちからは、
*「頼りすぎると語彙力が低下してしまう」
*「著作権の問題がある」
*「出力される情報に間違いが含まれることがある」
といった、極めて鋭く、的確な問題点が次々と出されました。
また、自分が見たい情報ばかりが偏って表示される「フィルターバブル」や、同じような意見ばかりに囲まれて極端な考えに陥りやすくなる「エコーチェンバー」といった現代のネット社会の仕組みと落とし穴についても学び、真剣な表情で聞き入っていました。
安全・安心で充実した夏休みに向けて
最後に、ネット依存やネットのトラブルに巻き込まれないために、具体的に「これからどのように生活していけばよいか」を一人一人がワークシートにまとめました。
いよいよ今週末から、待ちに待った夏休みが始まります。
今回学んだことをしっかりと胸に刻み、スマホやネットと上手に、そして主体的に付き合いながら、安全・安心で、何より充実した最高の夏休みにしてもらいたいと思います。
待ちに待った外遊び!久しぶりの元気な声が響くグラウンド
7月8日の梅雨明け以来、連日厳しい日差しと猛暑が続いていました。
毎日のように暑さ指数(WBGT)が危険な数値に達していたため、子どもたちが大好きな昼休みの外遊びは、ずっと禁止にせざるを得ない日々が続いていました。
しかし、今日は朝から曇り空が広がり、一時的に雨が降るお天気となりました。
湿度は82%と高めだったものの、気温は25.7℃。お昼12時時点の暑さ指数(WBGT)は30.4と、久しぶりに外遊びができる基準となりました。
「今日の昼休みは、外で遊べます!」という知らせを聞いた子どもたちは大喜び。
久しぶりに解禁されたグラウンドには、一気に明るい歓声が戻ってきました。
広いコートで思いきりサッカーに熱中する高学年、涼しい木陰に集まって楽しそうにおしゃべりをする黄色い帽子の低学年、そしていろんなところを元気いっぱいに駆け抜ける子どもたち。
それぞれが思い思いの場所で、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれました。
やはり、子どもたちがのびのびと体を動かす姿は、学校全体を元気にしてくれます。
早いもので、1学期も残すところあと2日となりました。
最後まで、この明るく、楽しく、そして元気いっぱいの水上学園らしく、みんなで笑顔で締めくくりたいと思います。