お勉強の部屋(不定期で学校の勉強に関することを書いていきます。)

敬語ってむずかしい・・・2

 前回書きました「させていただく」とともに気になるのが、「されてください」です。
 これは、実は私もつい使ってしまうことがあります。また、私たちの立場から保護者の方に対してよくつかう言葉です。
 しかも、言われた方もあまり違和感なく受けいれているので、「ことばのゆれ」の範囲かなと思うこともあります。
 文法的に考えるとどうでしょう。
 「されてください」は、敬語として分類すれば二重の「尊敬語」になります。
 「される」・・・「~する」の尊敬語・・・「山田様は、ブラジルのコーヒーを愛飲されているそうですね。」
 「ください」・・・お〇〇くださいの形でつかう尊敬語・・・「今回は、試しにこちらのジャマイカのコーヒーをお飲みください。」
では、文法通りにこの二つを同時に使うとどうなるでしょうか。
 「山田様、こちらのコーヒーをお飲みされてください。」??????
 おかしいですね。この「されてください」を使う人の多くは、二重敬語になるからとても敬意の高い表現であるだろうと思いながら使っているはずです。ところが上の例のように、文法通りに作ってしまうと明らかにおかしな文になります。
 つまり、本来は「お〇〇ください。」とするところを「されて」+「ください」としたいがために、「お」を抜いて「されて ください」と違和感があまりないような形になってきているのではないでしょうか。
 それでも、やはり文法的には間違いでしょうね。その上、「される」は受身形で使うこともあり、誤解を招きかねません。
 されるは、単独・言い切りの形で、「されます」「されました」などと使うのが自然だと思います。(相手に対して何かを依頼するときは、「される」は使わない方がいいでしょう。)
 くださいも、「お・・・ください」の形で「お話しください。」「おこしくだい」と単独で使う方が間違いがなくなると思います。。
 ついでにはなりますが、「れる」「られる」は動詞に接続し、敬意を表す助動詞にもなりますし、受身をあらわすこともあります。使い勝手がいいので、つい使ってしまいますが、ひたすら『れる』「られる」をくっつけるのではなく、できるだけ使いたい動詞の敬語の形を覚えた方がいいのではないでしょうか。
 例えば「たべる」➡「食べられる」ではなく、「めしあがる」
     「する」➡「される」ではなく、「なさる」

 また、二重敬語は前回も書きましたが、場合によっては、慇懃無礼、嫌味な感じを与えるので、日常生活の中ではあまり使わない方がいいという意見もあります。
 さいごに、上の例文を直すとこうなります。
 「山田様、どうぞこちらのコーヒーをおめしあがりください。」(二重敬語)、あるいは「お飲みください。」(単独敬語)
 大事なことは、無理に敬語を並べ立てるのではなく、正しい敬語を一つしっかり覚えて相手に対して「敬う心」をもって接することだと思います。(自戒を込めて)
 ※屁理屈が多くてすみません。