2018年3月の記事一覧
「て」
「て」きと~
3月15日(木)4時間目 6年生『国語』。教えるのは教頭先生です。
『国語』の分野の内訳から。
文学と書道、その文学が現代文と古典、その古典が漢文と古文・・・とっても範囲が広いこと、「その中の、自分は『文法』の言語統計の計算ばっかり卒業研究でしていたんです。」と振り返り、
「文法は一番人気がないんですよ。ふっふっ・・・」と日ごろの職員室トークとはちがう話術で、何が始まるのかしら・・・?とわくわくの導入(なかばる学習の「な」んだろう)でした。
教頭先生が高校の頃、電車に乗っていた時でした。
自分のとなりに、お母さんと小さな子どもが座ったそうです。
子どもが自分を見て「このお兄ちゃん○○ね。」と、お母さんにいうのが聞こえました。
肝心なところで電車がガタンゴトンと揺れて、この子が○○を何といったのかは聞こえなかった。
でもその後に、そのお母さんが自分(高校生)を見たのだそうです。
6年生にたずねました。
先生「このお兄ちゃん○○ね、何と言ったんだと思う?」
子 「誰かに似てるって言ったと思う。」
子 「体の特徴とかを言ったと思う。」
先生「その後どんな気持ちかな?言われた後自分だった何と言うかな?どう行動するかな?」
子どもたちは高校の時の教頭先生になって、気持ちや行動を想像しました。
でも、○○は聞こえなかったので、なんだったのかは今もわかりません。
「答えはないよ。正解はないから、あんまり考えすぎなくていいよ。てきと~で。ふっふっ。」と、押し付けや教える!ではなく、頭の中で想像してもらって完成するページを読み終えたような気分になりました。
お次は童謡「♪ぞうさん」の詩が配られました。
「お鼻が長いのね は『からかい』なんだよ。」
6年生はぞうさんの歌は知っていましたが、からかいだったことも作者も知りませんでしたから、びっくりのリアクションでした。
からかいだったことを知って、改めて「そうよ、母さんも長いのよ」の返しをどう感じたかを6年生が発表しました。
その次の詩。タイトルは「君はどんな大人になりたい?」
「Aさんはお金持ち Bさんはお金持ちじゃない 」
足し算の詩のようで、増えていきます。
「Aさんはお金持ちだがきびしい。Bさんはお金持ちじゃないけどやさしい。人間はこのふたつのことだけでは できていない」
「Aさんはお金持ちだがきびしいけれど約束は守る。Bさんはお金持ちじゃないけどやさしいけど約束は守らない。」
先生「みなさんはどんな大人になりたい?」
子どもたちは究極の選択に困った顔でどちらかを選び、理由をつぶやきます。
「だんだんわからなくなるよね。ふっふっ。」
と言いながら詩の足し算を続けきます。
「こうでなければならないことなんか少ししかない。
・・・だいじなことは自分で決めよう。そのためには○○○すること」
○○○に何を入れるかを子どもたちが考えて発表しました。
「強くなければいけないとか、明るくなければだめとかはない。どんなでもいいんだよ。
こうでなくちゃというのは、人を殺してはいけない、傷つけてはいけないということ。
でも、足が速くないといけないとか、病気をしてはいけないとかはない。
大事なことは自分で決めよう。
自分で決めるために、いろいろなことを経験してほしい。
旅、読書、音楽、スポーツ、遊び、なんでも迷わずやってみよう。迷ったらやってみよう。みんなの運動会のダンス(WANIMA)みたいに。君たちには時間はいっぱいある。」
自分が大切にすること(価値観)のことを教えてくれたこの詩。
次に紹介する詩を書いたシート(三好達治さんの詩 雪 と 阿蘇)を配りながら「ま、さっきの詩は、てきと~にぼくが作ったんだけど。」と言っていましたが。
「最後に、一番好きな詩を最後に紹介します。」と一冊の本を見せてくれました。
「古~い本で、雨もりと地震に遭ったからね」と。
ちょっぴり黄色くなって、紙がブヨブヨになっている本の中から、お気に入りの詩「草に寝て・・・」です。
小さい時に住んでいたところや、教師になって最初に行った学校(清和村)のこどもたちとの風景が浮かぶのだそうです。
「大人になってからもみんなと過ごした中原のこと、この風景、よかったら今日の授業も思い出してね。」で授業が終わりました。
来週の卒業式で体育館の花道やステージを飾る花は全て、教頭先生が式に合わせて種から育ててきたものばかりです。
きっと、かちこちの授業にならないようの心配りで「てきと~に」と言われた教頭先生。
文書を作成しながら、言葉の意味や漢字や送り仮名などに迷ったら、多くの方はググると思うけど、中原小の職員室では、ぼそっとつぶやくと、教頭先生がググるよりよくわる、的確な、プラスαもつけての解説をしてくれます。