私が小学生の頃の通知表には、必ず「落ち着きがない」と書かれています。その落ち着きのない少年森田は、漢字も苦手でした。1・2年の担任の先生は、よく私を放課後に残して、徹底的に漢字の書き取り練習をさせてくださいました。3・4年の担任の先生は、私が文字に興味を持てるように、土曜日の昼から習字を無償で教えてくださいました。そうした恩師の深い愛情に育てられ、ついに6年生の漢字小テスト(10問)で、初めて100点を取ったことを今でも覚えています。
本町の二殿教育長がよくおっしゃられることは、「目の前の子どもたちに、これでもかの愛情を!」ということです。「教育は人なり」と言われますが、やはり、子どもたちの人生にとって、教職員の深い愛情は、欠かすことのできない重要な教育環境なのです 本校の1年生教室には、その「これでもかの愛情」がたくさん詰まっています。1年生の最重要学習内容は「文字の学習」です。
これから何十年と続く子どもたちの人生を豊かにしていくのが「文字の獲得」です。だからこそ、稲
葉教諭は、様々な工夫した学習活動により、楽しみながら、体感しながら、子どもたちが文字を獲得していけるようにしています。
クラス全員の手形を集めて作った「て」の字。針金と綿で作った「ゆ」の字。アルミホイールをねじってかたどった「ね」の字、井野教諭が『子どもたちが楽しみながら覚えられるように』との思いで作った「アンパンマン指人形ひらがな表」など、「これでもかの愛情」に包まれています。本校の教室では、子どもたちの「瞳が輝く」授業づくりが日々展開されています。
本校は、菊陽町教育委員会から学力向上の研究指定を受け、算数科の魅力ある授業づくりに取り組んでいます。子どもたちの「瞳が輝く」授業を目指して、全職員で研究を進めています。その研究内容の柱の一つが「工夫した導入と発問で授業を変える」ことです。つまり、「子どもたちがわくわくする授業のスタートを切るためにはどうするか」を研究しています。
先日の4年算数の授業(壽藤教諭)では、「パックマン」(世界で知られた日本産ゲームのキャラクター)が登場していました。一般的な角の大きさ比べの問題では、子どもの興味・関心が低いと考えた壽藤教諭は、「一番大きな口を開けたパックマンがチョコレートを食べることができる」と問題を設定しました。教室では、まず、パックマンが登場した驚きと楽しさが来て、その後「比べる」必然性が生まれ、そして、比べる「困難」が生じ、それを全体で共有することで「子どもが学びたい」ものへと変わっていきます。子どもたちは、実際に具体物(紙)で重ねたり、その方法や結果を友だちと対話したりしながら、楽しそうに課題を解決していきました。
加えて、「どこが違う?」「どうしたら比べられるの?」「こっちの方が顔が大きいから、大きいんじゃない?」「どこを合わせるの?」「Aさんの言ったことが言える人?」といった教師の発問で、子どもの考えを深めたり、広げたりしたことが、こどもたちの「わかった・できた・楽しかった」につながっています。
12月1日(金)の5時間目、1年生は今年2回目となる研究授業を行いました。今回は算数です。内容は「(十何)-(1位数)」の、繰り下がりのある引き算です(例えば12-7)。この計算では、「①2から7は引けないので10から引く。残った3と2を足して5」「②12-7の7を2と5に分けて、まず12から2を引く。その次に10から5を引く」の考え方があります。本時では、この計算方法を考え(今回は①がメイン)、説明することが目標でした。大人になれば簡単にできる計算かもしれませんが、まだ小さい子供たちは、数の概念、数の操作に慣れていく途中の段階であり、頑張って習得しているところです。また、言葉を使って説明するところに、思考力・判断力・表現力の育成がかかっています。今回も前回と同様、外部から講師の先生に来ていただいたのですが、様々なことを学ぶことができ、充実した事後の研究会となりました。
9月27日(水)の5時間目、1年で道徳の研究授業を実施しました。今回は、お隣の中部小学校から指導力向上アドバイザーの林末美先生に参加していただきました。教材は「あしたは えんそく」という「公平・公正」を扱ったもの。主人公のうさぎさんは、遠足でバスの席を決めるとき、「○○さんのとなりはいや、△△さんのとなりはいや」とわがままを言います。とうとう最後に、ねこさんから「うさぎさんは、いやいやばかり言うからいや」と言われてしまいます。みんなが気持ちよく、仲良く過ごすためにはどうしたらいいか、自分を振り返りながら考えました。こどもたちは、うさぎさんの「自己中心的な言動」について様々な感想や思いを出し合っていました。
9月13日(水)は、菊池教育事務所から、長尾指導主事を講師としてお招きし、子供が主体となる学びの在り方、子供自らが楽しさを味わう授業づくりについて、職員の校内研修を実施しました。授業展開について、詳細にアイディアや実践を出し合う、非常に有意義な時間でした。この時間に学んだことは、これからの授業で生かせるものとなりました。
6日(水)の3・4時間目に、算数の研究授業を行いました。3年生は「あまりのあるわり算」、4年生は「割合」の単元でした。単なる計算問題ではなく、「考え方」を問う大切な内容です。たとえば、3年生では、「35人の子どもが、長椅子1脚に4人ずつ座っていきます。みんなが座るには長椅子が何脚いりますか」という問題を考えました。式を立てると、「35÷4=8あまり3」となりますが、問題に対応する回答は、「8」でも「8あまり3」でもありません。「みんながすわるには」と問題にありますから、正解は9脚です。このように、式の意味を考えたり、答えの根拠を説明したりすることが求められるのです。子供たちは、言いたいことがうまくつたえられないもどかしさがありながらも、みんなでよりよい説明に練り上げていく様子を見せてくれました。また、4年生では「割合」を学習しましたが、小学校の算数では難しいところの一つ。ここで、考え方の基本をしっかり押さえておかなければなりません。「基(もと)になる量」と「割合」については、普段の生活の中でも活用する場面が多くあります。ふとした場面で、話題にしていただけたら学びが深まりますね。
7月12日(水)の5時間目、今年第1回目の研究授業を行いました。今年も本校では算数の研究に取り組みます。今回は、6年生で、「比例と反比例」を扱った授業を実施しました。外部から講師をお招きし、専門的な助言をいただいたところです。研究の柱は何点かあるのですが、対話的な学びをどう進めるかもその一つ。本時の問題は、「先生は、熊本城マラソンで3時間30分以内にゴールすることを目標としています。現在、5kmを25分のペースで走ることができます。このペースで走った場合、目標を達成することができるでしょうか。」というもの。担任で授業者の山田先生のリアルな課題をそのまま問題に落とし込みました。私たちは、日常の生活の中で、比例の考え方を使うことが多々あります。この問題もその一つの例ですね。子供たちは、ペアや全体で、対話によって自分の考えを整理し、表現していきました。また、表や式などを用いながら、何とか自分の考えを伝えようとしていました。講師の先生からは、「しっかり話ができる子供たちですね」というお話がありました。6年生は現在いろいろなことに頑張っています。今日もその姿を見せてくれました。
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