2026年9月の記事一覧
「生きた数学的思考」を育むために 〜今日の算数の授業から〜
今日の2時間目、校内を巡回すると、1年生から5年生までが真剣な表情で算数の授業に向き合っていました。
それぞれの学年が取り組んでいた課題は次の通りです。
- 1年生:2桁の数を「10といくつ」に分ける学習(「10のまとまり」という十進法の根幹に触れています)
- 2年生:繰り下がりのある引き算(「10のまとまり」から崩して計算する仕組みを考えています)
- 3年生:単位の違う距離の引き算(「km」と「m」という連続した量を揃えて処理する思考です)
- 4年生:3桁÷2桁の割り算(商の見当を立てるという、数感覚をフルに使う難所です)
- 5年生:約数の理解(数の構成や整律性を抽象的に捉えるステップに入っています)
子どもたちが一生懸命に頭を悩ませ、ノートに向かう姿は実に頼もしいものでした。しかし同時に、私たちが指導を行う上で強く意識しなければならないのが、子どもたちの脳内に形成される「数のスキーマ(概念の枠組み)」です。
認知科学者・今井むつみ氏の著書『学力喪失』によれば、子どもは日常経験から「数は物を数えるためのもの(自然数スキーマ)」といった直感的な知識体系を構築します。この暗黙のスキーマは低学年の整数計算では有効ですが、高学年で小数や分数、割合といった抽象的な概念に移行した際、正しく「記号接地(抽象的な記号と現実の感覚やイメージを結びつけること)」ができていないと、深刻な学習障壁となってしまいます。
単に計算のやり方や公式を暗記させるだけの「死んだ知識」では、学年が上がるにつれて壁にぶつかってしまいます。1年生の「10のまとまり」の捉え方から、5年生の「約数」に至るまで、単一の解き方に縛られず、図や数直線、身体的イメージと結びついた「正しい数のスキーマ」を段階的に築いていくことが極めて重要です。
水上学園では、子どもたちが表面的な暗記にとどまらず、試行錯誤を通じて「真の概念理解」へと到達できるよう、義務教育学校の強みを活かしたカリキュラム・マネジメントにより、系統的な指導を一層推進してまいります。
ご家庭でもぜひ、「どうやってその答えになったの?」とお子様の思考プロセスに耳を傾けてみてください。
9年間でつむぐ学びのバトン
観測史上最も暑いと言われた8月が過ぎ、本校の運動場も雨が少なくカラカラの状態が続いていました。風が吹くたびに砂煙が舞うほどでしたが、今日は朝から久しぶりの雨。体育館から見える校庭もしっとりと濡れ、ほっと一息つけるような「お湿り」となりました。
もっとも、今週末にかけては台風の進路や秋雨前線の動きに十分な警戒が必要です。
少し涼しさを感じられる雨模様となった今日の2時間目。体育館のフロアからは、子どもたちの元気な声が聞こえてきました。3・4年生の体育「走り幅跳び」の授業です。
電子黒板に映し出された「力強いふみきりをするためにはどうすればよいか」という課題をもとに、子どもたちは自分のめあてに向かって真剣に取り組んでいます。タブレットで自分のフォームを撮影して確認したり、工夫された練習場所で力強く踏み切ったり。手書きのカードには「ふみきりを意識して遠くに飛ぼう」と、一人ひとりが考えた言葉が力強く書かれていました。
実は、昨日の1・2年生の体育でも同じ系統の学習が行われていました。本校では、同じ系統の種目を同じ時期に1年生から9年生まで揃えて計画的に実施しています。
低学年から発達段階に合わせて学びを深めていくことで、運動の得意・不得意にかかわらず着実に力を伸ばすことができます。
そして何より、9年間を通じた成長のプロセスを教職員全体で見守り、次へつないでいけること。それこそが、義務教育学校である水上学園ならではの大きな強みだと実感しています。
小さな胸の「どきどき」から感じる、命のあたたかさ
今日の2時間目、1年生の教室では道徳の授業「どきどき どっきんぐ」が行われていました。
「どんなときに、胸がどきどきするかな?」という問いかけに、子どもたちは元気に手を挙げながら、自分の経験と思いをつぎつぎと発表していきます。「走ったとき」「うさぎをだきしめたとき」「お母さんにだっこされたとき」——。みんなで意見を出し合いながら、心臓の鼓動の変化や、そのとき感じる温もりについて考えを深めていきました。
授業の途中、みんなでそっと自分の胸に手を当ててみる時間がありました。目を閉じ、じっと静かに自分の小さな胸の「どきどき」を感じる子どもたち。「動いてる!」「温かい!」と、自分のからだの中でたしかに脈打つ鼓動に、どこか不思議そうで、うれしそうな表情を浮かべていました。自分が今こうして生きていることの喜びや不思議さに、肌で触れた瞬間でした。
続く3時間目は体育の授業です。今度は体育館へ移動し、思いっきりからだを動かしました。元気に走り回ったあと、再び胸に手を当ててみると……さっきよりもずっと速く、力強く「ドキドキ!」と胸が鳴っています。
静かに感じた温かいどきどきも、全力で走ったあとの速いドキドキも、すべて自分が懸命に「生きている」証拠です。
自分の心臓の音を感じ、体温を実感することを通して、子どもたちは「生きているってすばらしい」という大切な事実に気づくことができました。自分自身の命はもちろんのこと、となりにいるお友だちや、まわりの人たちの命も同じように温かく、かけがえのないものです。今日の授業で感じた胸のあたたかさを忘れず、これからも自分やお友だちを大切にできる心豊かな子どもたちに育っていってほしいと願っています。
「防災の日」に考える食と命の備え
カレンダーは9月に入りました。しかし、今日のお昼の運動場は気温が上がり、38℃ほどの危険な暑さとなりました。子どもたちの安全を第一に考え、熱中症には十分に気をつけながら日々の教育活動を進めています。
9月1日は防災の日
さて、今日9月1日は「防災の日」です。本校でもこの日に合わせ、給食の時間に非常食である「救給根菜汁」が出されました。子どもたちは容器から直接おいしそうに口にしながら、防災食について学んでいました。
令和8年熊本地震の発生から1か月が経ちました。大きな被害を受けた八代市などの学校では、2学期が始まったものの給食が提供できず、まさに今日の本校と同じようなレトルトの防災食が提供されているとのことです。不自由な避難生活や支援が続く被災地の方々の苦労に思いを寄せるとともに、一日も早い復興を心より願うばかりです。
ローリングストック
いつ発生するかわからない自然災害だからこそ、日頃からの備えが欠かせません。ご家庭で日常的に食べ慣れたものを多めに買い置きし、食べた分を買い足していく「ローリングストック」をぜひ意識してみてください。詳しくは今月の給食だよりをご覧ください。
マイタイムライン
また、災害時に「いつ・誰が・どのような行動をとるか」を時系列で整理する「マイタイムライン」の策定も非常に有効です。大雨や台風、地震が起きた際、どこへ避難し、どのように連絡を取り合うのか、この機会にぜひご家庭で話し合ってみてください。
当たり前が有り難い~感謝の気持ちを忘れずに
当たり前のように温かい給食が食べられる毎日の有り難さに感謝しながら、学校とご家庭と地域が一体となって防災意識を高めてまいりましょう。