水上学園ブログ

「生きた数学的思考」を育むために 〜今日の算数の授業から〜

今日の2時間目、校内を巡回すると、1年生から5年生までが真剣な表情で算数の授業に向き合っていました。
それぞれの学年が取り組んでいた課題は次の通りです。

  • 1年生:2桁の数を「10といくつ」に分ける学習(「10のまとまり」という十進法の根幹に触れています)
  • 2年生:繰り下がりのある引き算(「10のまとまり」から崩して計算する仕組みを考えています)
  • 3年生:単位の違う距離の引き算(「km」と「m」という連続した量を揃えて処理する思考です)
  • 4年生:3桁÷2桁の割り算(商の見当を立てるという、数感覚をフルに使う難所です)
  • 5年生:約数の理解(数の構成や整律性を抽象的に捉えるステップに入っています)

子どもたちが一生懸命に頭を悩ませ、ノートに向かう姿は実に頼もしいものでした。しかし同時に、私たちが指導を行う上で強く意識しなければならないのが、子どもたちの脳内に形成される「数のスキーマ(概念の枠組み)」です。
認知科学者・今井むつみ氏の著書『学力喪失』によれば、子どもは日常経験から「数は物を数えるためのもの(自然数スキーマ)」といった直感的な知識体系を構築します。この暗黙のスキーマは低学年の整数計算では有効ですが、高学年で小数や分数、割合といった抽象的な概念に移行した際、正しく「記号接地(抽象的な記号と現実の感覚やイメージを結びつけること)」ができていないと、深刻な学習障壁となってしまいます。
単に計算のやり方や公式を暗記させるだけの「死んだ知識」では、学年が上がるにつれて壁にぶつかってしまいます。1年生の「10のまとまり」の捉え方から、5年生の「約数」に至るまで、単一の解き方に縛られず、図や数直線、身体的イメージと結びついた「正しい数のスキーマ」を段階的に築いていくことが極めて重要です。
水上学園では、子どもたちが表面的な暗記にとどまらず、試行錯誤を通じて「真の概念理解」へと到達できるよう、義務教育学校の強みを活かしたカリキュラム・マネジメントにより、系統的な指導を一層推進してまいります。

ご家庭でもぜひ、「どうやってその答えになったの?」とお子様の思考プロセスに耳を傾けてみてください。