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「今」思うこと 香穂さんに学ぶ(3/1校長講話)

 皆さん、おはようございます。

 今日は、私が感動した高校生の作文を読みます。

 題名は、『「今」思うこと』です。書いたのは、松橋支援学校高等部三年の和泉香穂さん(ご本人と親御さんから掲載の許可を得ています)です。では、読みます。

 

 私は、生まれつき身体障がいがあり、車いすに乗って生活をしています。 支援も多く必要です。そのため、充実感のある仕事がしたいという気持ちはあっても、なかなか見つからず心が沈んでしまうことがありました。

 そんな時、小学生の頃の先生を思い出しました。先生からは「声が小さい。」「もっと積極的に行動しなさい。」などと、毎日厳しく指導を受けていました。当時の私は、「周りと違って歩けない」ということに対して悲しさと悔しさを感じていたこともあり、「なんで私だけこんなに言われなければならないのだ」、「先生に私の気持ちなんてわからないだろう」と思っていたことも多くありました。 それでも、先生は私と真剣に向き合ってくれ、「先生は今あなたに嫌われてもいい、大人になってから、どれだけ大切なことだったか分かってくれればいい。」とおっしゃっていたことをずっと忘れられませんでした。

 先生は、ただ怖いだけではありませんでした。休み時間に一緒に歌ったり、話をして二人で大笑いしたり、楽しい思い出もたくさんあります。 学校行事の時は、どうしたら私がみんなと一緒に楽しく過ごせるかをいつも考えてくださっていました。そのおかげで、楽しい思い出もたくさん頭に残っています。 小学校の卒業式の日、卒業生の保護者よりも先に、先生はボロボロと泣いていました。その時、私は「本当に愛情深く接してくれる方に出会ったのだ」と思いました。

 私は高校生になり、進路についてより深く考えるようになりました。そして、先生が毎日おっしゃっていた、「見通し・積極性・大きな声」が、とても大切なことだと、今痛感しています。「見通し」は、先のことを考えて行動することで、効率的に進めることができます。「積極性」は、就職活動の際に、自分をアピールするときにとても大切です。「大きな声」は、挨拶や自分の考えていることをはっきりと伝えるために重要です。

 小学校の頃の経験をとおして、注意された時は「なぜ」と感じたことも、後になって実感することがあると気づくことができました。これからも周りの方からのアドバイスをしっかり聞いて成長していきたいと思っています。あの頃の私と真剣に向き合ってくださった先生、小学校の時から支援学校という選択肢もあった中、地元の小学校に通わせるということを選んでくれた両親に、今とても感謝しています。

 

 皆さん、この作文を書いた和泉香穂さんの小学校の時の先生が、大畑小学校にいらっしゃいます。

 誰だと思いますか。それは・・・溝口先生です。

 私たちは、自分一人の努力だけでは思うように伸びることができません。誰かに教えられたり、誰かに支えられたり、誰かに助けられたりして成長していきます。皆さんも、先生に時々叱られることがあるかもしれません。それは、あなたたちの将来が幸せな未来になることを願っているからです。

 香穂さんは、そのことに気付き、溝口先生やご両親に自分の言葉で、素直に感謝の気持ちを伝えています。感謝の言葉が素直に言える人は、心が成長している人なのです。

 ところで、皆さん、令和3年度の大畑小学校の合い言葉が言えますか?

 今年度は『「ありがとう」でつながる大畑小』」を合言葉にしてきました。そして、大畑小学校の3月の生活目標は、「まわりの人に感謝しよう」です。

 皆さん、お世話になった方々に、言葉にして「ありがとうございました」と伝えてみましょう。そして、自分にできる恩返しをしてみましょう。

 心から感謝の言葉が言えるようになったら、自分の成長にも感謝しましょう。 

 自分の家族、友だち、担任の先生方、子ども王国保安官の皆さん、パワーアップ教室の先生方、学校支援ボランティアの先生方、みんなの周りには、たくさんの人たちがいて、ずっとあなたたちを見守ってくれています。

 まずは、それに気付く謙虚で、まっすぐな心を持ちましょう。

 そして、学年の変わる節目の月に、「ありがとう」の言葉を伝えておきましょう。

 

 「和泉香穂さん、人のつながりの大切さが伝わるすてきな作文を書いてくれて、ありがとうございました。」