せせらぎの人(学校生活)

「おいしかったです!」

 「3年生です。ごちそうさまでした。」

給食を終え、係の子どもたちが給食室前に一列に並び、中で作業をしている職員に向かってお礼を述べます。ここまでは、自校給食の学校では見かける光景かもしれません。

 しかし、本校の子どもたちはそこからが違います。一斉でのあいさつの後、返却口まで近づくと、

「おいしかったです。」

「とってもおいしかったです。また作ってください。」

「ぼくは、ぜ~んぶおいしかったです。」

キラキラ輝く笑顔を添えて、それぞれにお礼を述べていくのです。時には、当番ではない子まで通りすがりに返却口に頭を突っ込んであいさつしていきます。

 教職生活31年目にして初めて目にする光景でした。そんな子どもたちの影響を受けて、私は人として少し成長できたように思います。外食して、会計を済ませた後、

「ごちそうさまでした。おいしかったです。」

と言うようになりました。最初は気恥ずかしかったのですが、お店の方の嬉しそうな表情を見ていると、いつの間にか習慣化しました。今では、コンビニやスーパーマーケットなどで会計を済ませると「ありがとうございました」と自然に言えるようになりました。

 これまでの私は、「自分は客だ」というおごり高ぶった思いで、お店の人と接してきたのでしょう。そんな自分を改めさせてくれたのが、上述した本校の子ども達のお礼のあいさつです。

 無垢な子ども達の笑顔や言葉で、私たち大人は救われることがたびたびあります。その一つとして「いつでも、どこでも、だれにでも、笑顔であいさつできる子ども」たちを育てていきたいものです。

 そのためには、学校だけでなく、保護者の皆様や地域の皆様の協力が必要です。地域をあげて子ども達を育てていきましょう。