校内研究

令和4年度 校内研修計画        

         

1 研究主題

子どもの「知りたい!」「やってみたい!」を力に繋げる授業づくり

~見通しをもち主体的に学び合う児童の育成を目指して~
 

2 研究主題設定の理由

(1)教育の今日的課題から

 現在、社会は多方面において急速に変化している。新型コロナ感染症への対応やキャッシュレス化・児童生徒への一人一台タブレット配付など、これまで私たちが予想していなかった事が現実となり、それらへの早急な対応が求められている。これからもさらに多様化は進み、私たちには予測困難な未来が待ち構えていると考えられる。このような未来を生きる子どもたちにとって、将来におけるよりよい社会の形成者として、それらの変化に受け身で対処するのではなく、感性を豊かに働かせながら、主体的にどのように社会に関わっていくか、どのように社会や自己の人生をよりよいものにしていくかが重要であるとされている。

    また、学校教育には「Society5.0時代」に向けた人材育成のために、生涯学び続けることができるための基礎的読解力を身に付けさせ、学びの基盤を固めることが求められている。

    さらに、「『令和の日本型教育』の構築を目指して」(2021.1中教審答申)では、全ての子どもたちの可能性を引き出すために、きめ細かい重点的な指導を行う「個別最適な学び」や、他者と協働しながら異なる考えを組み合わせて、より良い考えを生み出す「協働的な学び」が求められている。

(2)学校教育目標から

    本校の学校教育目標「主体的に学び、正しく考動する 代陽っ子の育成」は、徳・知・体の調和のとれた感性豊かでたくましく生きる力をもち、規範意識と貢献意欲に満ちた児童の育成をねらって設定されたものである。今後の変化の激しい未来に対応できる力をつけるために、主体的に学ぶ姿勢を身に付け協働して学び合う児童の育成を目指している。この学校教育目標実現のために、児童が意欲をもち主体的に学び合う授業づくりを通して、確かな学力を育んでいく。

(3)児童の実態から

    令和3年度の熊本県学力調査では、6年生は国語・算数ともに県平均を大きく上回っており、5年生は算数で県平均を上回っているが、他の学年・教科では県平均に達していない。観点別正答率で見ると、国語では正答率が県平均を下回った学年・教科において、「主体的に学習に取り組む態度」が大きく県平均を下回っている。算数においても、同様の結果が見られる。これらのことより、学年間の学力差が大きいことや、主体的に学習に取り組む意欲の低さが学校的課題といえる。

 

3 研究の概要

(1)研究の目的

    本研究主題の「力」とは、「確かな学力」のことであり、人権が尊重される支持的風土の中で、新学習指導要領にも定義された資質・能力の3つの柱(①知識及び技能の習得 ②思考力、判断力、表現力等の育成 ③学びに向かう力、人間性等の涵養)を身に付け、様々な課題解決に向けてそれらの力を発揮していくことである。

    それを受けて、研究主題に於ける「見通しをもつ」とは、単元のゴールの姿を教師と児童が共有し、そこにたどり着く過程を児童が理解して(予想して)、意欲的・主体的に学習に取り組んでいる姿とし、「主体的に学び合う」とは、解決すべき課題に対して自己の考えをもち、自他の考えを尊重しながらよりよい学びを生み出している姿と設定した。

   そこで、新学習指導要領に示された「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善において目指す児童像を以下のように設定した。

   ○見通しをもち主体的に学び合う児童

   ○協働して課題を解決する力を身に付けた児童

    児童が課題を自らの課題として捉え、主体的に学び、協働しながら「確かな学力」を身に付けていく活動を、教師が単元全体を見通した学習の中に意図的・計画的に仕組み、全学年を通してくり返し取り組むことで「確かな学力」が育成されていくと考える。そのため、教師の関わりとして最も大事になってくるのが、児童の学びに向かう意欲にどうやって火をつけ、大きく燃やしていくかである。

    本研究では、児童の学びに向かう意欲を高める手立てを効果的に仕組み、既有知識や生活経験と結びつけながら「見通しをもち主体的に学び合うこと」「協働して課題解決すること」を積み重ねることによって、様々な問題に対し主体的に取り組む意欲を育て、学力の向上を図っていく。

 

(2)研究の内容

   次の視点と実践の方向を設定し研究に取り組む。

 

【視点1】学びに向かう意欲を高めるために

 ①学習の見通しをもつための「学習のゴール」の設定

 ②「知りたい!」「やってみたい!」を引き出す、解決の必然性のある学習課題の設定

 ③自己の学びを自覚する場の設定

 

【視点2】主体的に学び合うために

 ①自己の考えを表現し、協働して比較・再考する場面の設定

 ②納得を生み出す、根拠や理由付けの充実

 ③ICTやタブレットの効果的な活用

 

    さらに、学びの土台となる学習規律や家庭学習について一貫性のある指導を行っていくために、以下の3点について共通実践を行っていく。

【共通実践①】学習規律の徹底

  ○代陽っ子学習の約束10か条   ○正しい姿勢「ぐうぴたぴん」

  ○学習用具を整えましょう     ○めあて・まとめ・振り返りの習慣化

【共通実践②】学びのアンケートの実施

  ○共通実践①の「代陽っ子学習の約束10か条」の定着状況を、児童・教師の両側面から把握し、今後の更なる定着・指導に生かすもの。

  ○学期末(7月・12月・3月)に実施。結果は、グラフ化し、分析する。

【共通実践③】基礎・基本の定着のために

  ○家庭学習の習慣化と確実な見取り(解説・間違い直しの実施)

  ○アシストシートや県学力調査過去問題の年間活用

  ○eライブラリやスタディサプリの活用  

                                                           
 

(4)研究の運営について

ア 毎週水曜日15時45分から16時35分までを研修時間として確保する。

イ 研究は、日々の授業実践を基本とするが、部会や全体会で検証し、研究授業ごとに深まるよう工夫していく。

ウ 研究授業は、本年度は全員中研を、中研用学習構想案で実施する。

エ 活発な意見交換を行い、自らの「協働」体験を児童の指導に活かす。

オ 授業研究会では課題意識を持って参観し、授業者に対して返せる工夫をする。