校長室だより

みどりのそよ風

 「みどりのそよ風」   清水かつら

みどりのそよ風 いい日だね
蝶ちょもひらひら 豆の花
七色畑に 妹の
つまみ菜つむ手が 可愛いな

みどりのそよ風 いい日だね
ぶらんこゆりましょ うたいましょ
巣箱の丸窓 ねんね鳥
ときどきおつむが のぞいてる

 日本を代表する童謡詩人である清水かつらは、明治31年に東京都で生まれ、関東大震災後、埼玉県和光市に移り生涯を送りました。東武東上線・和光市駅前には、清水かつらが作詞を手掛けた『叱られて』、『靴が鳴る』、『みどりのそよ風』の歌詞が刻まれた歌碑が建立されています。武蔵野の自然と子どもの純真さを愛して作詩した数々の童謡は、今も変わらず人々に親しまれています。
「叱られて」(あの子は町まで お使いに この子は坊やを ねんねしな)
「あした」(おかあさま 泣かずにねんね いたしましょ)
「靴が鳴る」(おててつないで 野道を行けば)
「雀の学校」(チイチイパッパ チイパッパ♪)
「おむすびころりん」(おむすび ころりん すっとんとん♪)  など、多くの作品を世に出しました。

 木々の緑が、一層鮮やかさを増してまいりました。木立の中にいますと、朝の透き通った木漏れ日に様々な野鳥のさえずりが響き渡ります。
 5月21日は二十四節気でいう小満(しょうまん)。小満とは自然界のすべてのものが次第に満ちてくることをいいます。生き物が成長し万物に生気が満ち、果実は実り、草木は繁るという時期を意味するといいます。6月6日は芒種(ぼうしゅ)。イネなどの芒(のぎ)のある作物の種をまく時節というところから芒種といわれます。現在の田植えの時期は随分早まりましたが、昔の田植えの時期はこの頃であったようです。

 ところで、この青葉の今の時期を呼ぶ名に「麦の秋」という言葉があります。「麦秋(ばくしゅう)」「麦秋(むぎあき)」などともいわれます。麦という植物が黄金の穂をたわわにつけ収穫の時期を迎えるのが5月下旬~6月初旬の初夏であるため、麦にとっての「秋」(=麦の収穫時期)という意味から「麦秋」という季節の呼び方が生まれたようです。青葉が盛んに繁り、稲の苗代に若い苗が育つこの時期、麦は早くも収穫の時期を迎えます。日に輝く黄金色の穂は美しく、麦畑を風がわたるときの乾いた音は耳に心地よいですね。

 麦の秋あからあからと日はくれぬ  正岡子規 (まさおか・しき)

 正岡子規の故郷である愛媛県は裸麦の生産が盛んな地域です。青空の下に金色の穂が輝き、爽やかな風に揺れる光景は、見とれるほどの豊かな景色です。