ブログ

秋の香り

 私の秋の楽しみの一つは、モクセイの花の香りです。
 朝早くに、どこからのもなく漂ってくる芳香は「秋が来たなあ」という気分にさせます。


  さて、モクセイという花は、漢字で書くと「木犀」と表します。これは木の犀(サイ:動物のサイ)です。
 どうしてサイなのか。それは、幹の表面がサイの皮膚のような質感だからだと言われています。「何となくそんな風に見えるから…」というあまり根拠のない理由で名付けられたモクセイですが、その香りは次の句で詠われているように素晴らしいものです。


 夜霧とも木犀の香の行方とも(中村汀女)


 この句には、具体的な風景は描かれていませんが、夜のしじまに流れる霧のように香りが広がってくる様子を表しているように思います。秋の夕べの何とも言えない美しさを感じます。

     

  

  いずれも原産地は中国南部で、江戸時代に渡来しました。雌雄異株で、日本に伝わったは雄の木だけなので、実がなることはないようです。(おしべ2本と形ばかりのめしべがあります。)
 また、中国では「桂花」と呼ばれます。キン、ギン、ウスギという日本の呼び方は、中国では次のようになります。

               キンモクセイ → 丹桂(赤い桂花)
               ギンモクセイ → 銀桂(銀の桂花)
               ウスギモクセイ→ 金桂(金の桂花)


 面倒なことになりました。金なのに赤、薄い黄色なのに金…。
 これも文化の違いに起因するものなのかも知れません。

 少しずつ香りが薄くなってきましたが、しばらくは花が楽しめそうです。