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秋深し・・・

 すっかり秋らしくなってきました。朝の気温が10度を下回ることも増え、吐く息が白くなることに冬が近づいてきていることを痛感させられます。

 まさに、秋深し・・・です。

 先日のニュースでは、早くもインフルエンザの流行を伝えるものがありました。ご用心ください。

 

 さて、「秋深し」という言葉で始まる句といえば、松尾芭蕉の「秋深し 隣は何をするひとぞ」です。
 1694年(元禄7年)に、芭蕉が句会に病気欠席するときに、弟子に渡した発句(最初に出す句)だとのことです。

 この句はたいへん有名で、この季節になるとあちらこちらで目にすることが増えます。ところが、大きな間違いがあるそうです。芭蕉の詠んだ句は、本当は「秋深し」ではなく「秋深き」なんだそうです。


「秋深し 隣は何をするひとぞ」

 「秋深き 隣は何をするひとぞ」


 一文字違うだけで、趣が変わります。意味もまったく変わってしまうようなのです。
「秋深し…」の方は、「秋の深まりとともに、物静かな空気が流れ、隣の人の生活音が聞こえて何をしているかが気になる」と解釈されます。
「秋深き…」の方は、「こんなに秋が深まったよい季節に、皆さんは何をなさっているのですか?(句会をなさっていますか。私が欠席してしまい、申し訳ありません。)」ということになるのだそうです。いわゆるお詫びのメッセージです。

 まったくもって大きな違いがありますね。もっとも、芭蕉の弟子の中には、「し」だと思い込んでいた人もいたといいますから、我々が間違えても仕方ないかなとも思います。