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夏の庭で

 

 激しい雨が降り続いています。また、予想すらできないほどの大きな被害に、自然の恐ろしさを痛感させられるばかりです。
 平年だと7月19日が梅雨明けだといいますから、まだしばらくは雨が続くのかも知れません。
 気象庁の統計によると、九州北部の梅雨明けで最も早かったのは1994年の7月1日、最も遅かったのは2009年の8月4日ごろのようです。その差が1ヶ月以上ありますから驚きです。
 もっとも夏休みが近づくにつれて、梅雨も収束に向かうことは間違いがなさそうですので、一日でも早く青空が広がることを願わざるを得ません。


 さて、今月の話題に入ります。
 ちょっとしたクイズを出します。「あるなしクイズ」というものです。
 〇〇はあるが、◇◇はない…というヒントから、そのものを当てるというものです。
 では、次の文を読んで、あてはまるものを考えてください。

・ナガサキはあるが、クマモトはない。
・カラスはあるが、スズメはない。
・黃色や黒はあるが、緑や赤はない。
・帝(みかど)はあるが、将軍はない。

 もしすぐに「ピン!」ときたり、お分かりになったりした方は、昆虫に深い関心をおもちではないでしょうか。

 実は、アゲハチョウの仲間の名前を表したものなのです。
 様々な種類のアゲハチョウがいますが、「ナミアゲハ」「キアゲハ」「アオスジアゲハ」は、校内でもよく見かけます。 


 このアゲハチョウの仲間は、同じアゲハチョウであっても幼虫の食べる植物が違います。一例を挙げると次のとおりです。

 チョウの名前      主に食べる植物名
 ナミアゲハ     ミカン、カラタチ、サンショウなどのミカン科
 キアゲハ       ニンジン、ハナウド、セリ科
 アオスジアゲハ    クスノキ科、タブノキ
 ジャコウアゲハ   ウマノスズクサ類(毒草)
 クロアゲハ     ミカン、カラタチ、セリ科 
 ミカドアゲハ    クスノキ科、モクレン科 

 びっくりするのは、ジャコウアゲハが食べるウマノスズクサという植物には、アルカロイドと呼ばれる成分が含まれています。この植物を食べ続けることで、毒を蓄積させ鳥などの天敵に食べられないようしているのです。実に優れた「身を守る術」だと言えます。
 さらに驚かされるのは、チョウたちが「卵を産むにふさわしい植物」を誰に教えられることなく見つけているということです。


 ある昆虫学者の著作によれば、次のように説明されています。

母であるチョウ(母蝶と呼びます)は、まず飛びながら,目で色や形を見分け、卵を産むべき植物を探す。よさそうな植物を見つけたら、近づいて触角でにおいを確認、前脚で葉の表面を確かめる。もしそれがめあての植物だと確認できたら、一粒ずつ黄白色の卵を産み付けていく。

 これは、自分が幼虫だったときの記憶がもとになっているということなのでしょうか。だとすると素晴らしい記憶の保持ということではないかと思います。


 現在、職員室軒下で、ツバメが両親が交代しながら巣の中で卵を抱いています。
 この営みも、きっと親がしていたことをどこかで覚えていて、自然に行っている行動なのでしょう。一生懸命に卵を温めている姿には頭が下がります。
 近いうちに雛がかえり,さかんにエサをねだる姿ももうすぐ見ることができると思います。
 生き物には、人間の想像を遥かに超える優れた能力があります。小さな命ですが、尊い命で我々が見習うべき力を持っているように思えてなりません。