モズ来る
「キーキーキー」「キチキチキチ」。甲高い声が学校中に響きます。
毎年、この時期になるとモズがやってきて、メタセコイア(校舎と体育館の間の中庭にある巨木です)の梢にとまって、しきりに声を張り上げるように鳴いています。
さて、この高鳴きは「なわばり」の意思表示です。これからエサが少なくなるこの時期に、自分の領地(テリトリー)を宣言しているのです。
モズのエサですが、彼らのくちばしを見ると分かります。鋭く先が曲がっているのは、ワシやタカなどの猛禽類のそれと似ています。肉を引きちぎりやすい形状なのです。
ある本を読んでいたら、モズがスズメを襲っていたという記述を目にしたことがあります。また、小さな昆虫をくちばしでちぎりながら食べている姿を見たこともあります。
モズの習性として2つ有名なものがあります。次の2つです。
①「はやにえ」
木の枝先や道端の看板の針金部分に、バッタやトカゲなどの小動物が突き刺さっていることがあります。これは、モズが捕まえた生き物を刺した「はやにえ」というものです。
以前は、食料の乏しくなる冬場に備える行動だといわれていましたが、最近の研究では、どうもそうではなさそうだというのが通説になっています。実際、はやにえを食べた形跡が稀であり、春先までずっとミイラ状態になって晒されていることも少なくないようです。
では、なぜそんな行動をとるのか。どうやら本能のなせるわざで、ついついやってしまうようです。だから大して執着もなく放置してしまうようです。
②「鳴きまね」
モズは漢字で「百舌」と書きます。
これは、様々な鳥の鳴き声を真似た複雑なさえずりをするために、百(も)の舌と表したようです。
鳥類学会の研究論文のひとつを読んでみると、ホオジロ、シジュウカラ、ヒバリ、メジロなどの鳴き方を真似ていたという記録があります。
今、この文章を書いているときにも、外でモズが鳴いています。ケーンケーンという鋭い声が子どもたちの元気な声に交じって響いています。秋の深まりを感じます。
モズにちなんだ句をひとつ紹介します。
モズ鳴くや むら雨かわく うしろ道 小林一茶
秋の雨後の、青空が目に浮かびます。