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桜のつぼみ
気が付けば、3月も半分を過ぎようとしています。
万田小学校では、今年度のしめくくりに向けて、それぞれの学年でいろいろな活動が行われています。
そのような中、校庭の木々に目を向けてみました。
すると、
桜の花が今にも咲きそうになっているではありませんか。
寒い冬を耐え、少しずつ少しずつ春に向けて準備をしていたのですね。
光村図書から出版されている中学校の国語の教科書に、大岡信さんが書かれた「言葉の力」という文章がありました。
以下にその一部を引用します。
京都の嵯峨に住む染織家志村ふくみさんの仕事場で話していたおり、
志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。
そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、
はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。
その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。
「この色は何から取り出したんですか」
「桜からです」
と志村さんは答えた。
素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。
実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。
あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。
志村さんは続いてこう教えてくれた。
この桜色は一年中どの季節でもとれるわけではない。
桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、
こんな上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
私はその話を聞いて、体が一瞬ゆらぐような不思議な感じにおそわれた。
春先、間もなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、
花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、
私の脳裏にゆらめいたからである。
花びらのピンクは、幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。
桜は全身で春のピンクに色づいていて、
花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したものにすぎなかった。
今、まさに花を咲かせようとしている万田小の校庭の桜たち。
花びらという目に見える部分だけではなく、木全体で花を咲かせようとしていること。
卒業生の姿、進級する在校生の姿とすごく重なりました。
下にあるリンクから「こんだて」を見てください。
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