2026.9.9 重陽の節句
古来より、奇数の月と日が重なる日を「節句」として愛でてきました。
1月1日はお正月、3月3日はひなまつり、5月5日は端午の節句、7月7日は七夕というように。
9月9日である今日は「重陽の節句」なのです。
ひなまつりは「桃の節句」と呼ばれるように、重陽の節句は「菊の節句」とも呼ばれています。
そう思って校内をくまなく歩きまわってみたのですが、残念。菊の花は一輪とてありませんでした。
その代わりに、重陽の節句にちなんだ、有名な漢詩を紹介したいと思います。
西暦766年、杜甫(とほ)が55歳のとき、現在の重慶で詠まれた、とても有名な七言律詩(漢詩)です。
「登高」は「高いところに登る」という意味ですが、秋の詩に「登高」が出てくれば重陽の節句の行事です。
髪に須臾(しゅゆ…グミの赤い実)を挿して家族や友人と高台に登り、菊の花を浮かべた酒を飲んで厄払いをするのだそうです。おもしろい文化ですね。
この漢詩を「読み下し文」にすると以下のようになります。
風急に天高くして 猿嘯(えんしょう)哀(かな)し
渚清く沙(すな)白くして 鳥飛び廻(めぐ)る
無辺(むへん)の落木(らくぼく) 蕭蕭(しょうしょう)として下(くだ)り
不盡(ふじん)の長江 滾滾(こんこん)として来たる
万里悲秋 常に客(かく)と作(な)り
百年多病 独り台に登る
艱難(かんなん)苦(はなは)だ恨む 繁霜(はんそう)の鬢(びん)
潦倒(ろうとう)新たに停(とど)む 濁酒(だくしゅ)の杯
ちょっと難しいですね。現代語訳にしてみましょう。
風は強く天は抜けるように青く
猿の鳴き声が哀しげに聞こえてくる
川辺の水は清らかで砂は白く水鳥が飛び交っている
どこまでも続く木々は蕭々と葉を落とし
尽きることのない長江はこんこんと流れてくる
故郷から万里のかなた 秋を悲しむ私は常に旅人だった
生涯多病であった私はひとり高台に登る
苦労が多くてすっかり白髪頭になったのが恨めしい
老いぼれて濁り酒も飲めなくなってしまった
この日杜甫は一人で高台に登り、長江の雄大な景色を眺めるとともに己の人生を振り返ったのでしょう。
今日は重陽の節句。菊の香りを探しながら、不易と流行について、少し物思いにふけってみたいものです。
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