学校生活

一人ひとりが輝く運動会に

 一人ひとりが輝く運動会に
  学校探検をした一年生が、私を格好良くかいてくれました。うれしいですね。
  ところで、ぼくはハゲです。去年9月頃に散髪に行って気づきましたが、右のこめかみの上に髪の毛が抜けて生えてこない所があります。円形脱毛症という病気で治療中です。59歳になって、生まれて初めてなりました。でも、小学生などみなさんのように若い人が急になることもあるようです。
  髪の毛がないことを笑う人もいますね。スポーツ選手などが短い髪の毛にしているのは、坊主頭です。区別もつかないのに笑っている人もいます。
  髪の毛だけ見ても、長かったり短かったり、まっすぐだったり曲がったりしています。毛の生え方や色も、しっかり見るとそれぞれに違っています。
  このように、見た目の他にも得意なこと、心や考え方が一人一人違います。これを個性といいます。人に迷惑を掛けるようなわがままとは異なります。
  得意なことや苦手なこともそれぞれに違っているでしょう。みんな同じだったらロボットみたいな世界で生きることになります。学校では、それぞれに違う個性を持っている人が集まって力を合わせて勉強や運動、遊びなどをするから楽しいのです。いろいろな友だちが生活する中で新しい考え方や新しい技などが生み出され、みんながパワーアップできるのです。
  でも、中には、やせているとか太っているとか、背が高いとか低いとか、サッカーが上手でないなどの理由で、友だちを馬鹿にして笑う人がいます。その時の基準は自分です。自分と違うところを見つけて、相手を攻撃するのです。ひょっとしたら相手の人が気にしていることを平気で言っているかも知れません。いつ自分が私のようにはげるか、背が低いと笑った友だちから身長が追い越されたりするかわかりませんよ。
  さて、もうすぐ母の日です。お母さんがいない人は家族やお母さんのように接してくださる人を思ってください。
  テレビドラマの金八先生を演じた武田鉄矢さんが歌う海援隊というグループの曲に「母に捧げるバラード」があります。その歌詞の一部です。
  「今も聞こえる 
   あのおふくろの声、
   ぼくに人生を教えてくれた
   やさしい おふくろ」
  「まて!待て鉄矢、
   また人ば指さして笑うて、人ば指さして笑ろうたら  つまらん、人ば指さして笑う指のかたちば、よーと見て みろ。
   二本はその人さしとるが あとの三本は 自分さし て 自分で笑いよるとぞ そげな事もわからんのか」
と続きます。
  自分と違うところを取り上げて友だちをさげすみ、ばかにしたことばを言ったり、自分だけが偉いと思う間違った考えは、友だちを傷つけます。馬鹿にした自分の心の貧しさに気づくように教えてくれています。威張ってばかりいる人にはなかよしの友だちは増えません。自分が全部のことで一番優れているなんていうことはありません。早く友だちの良さやがんばりに気づいてなかよしを増やしてください。
  いよいよ運動会に向けて練習がはじまります。徒競走で1位を目指す人もいるでしょう。走るのが速いことはすばらしい個性です。でも、走り終わってから、自分より後にゴールした人を馬鹿にして笑う人は恥ずかしい心の人です。最後まであきらめない姿に拍手と声援を送ってほしいですね。
  大切なことは、本番までどんな努力を重ねてきたか、全力を出して最後まで走ったか、振り返った時に何を目標にしてこのひと月を過ごしてきたかということです。いっしょうけんめいの先にすばらしい結果があるのです。例え1位になれなくても一人一人が自分の目標に向けてどれだけがんばったか、その態度が見る人の心に響き伝わるのです。
  走るだけでなく、ダンスや玉入れなど協力して表現する力、自分たちの運動会として係活動や応援の態度もすばらしい運動会を作り上げる力になり、見る人の心に届きます。
  6年生にとっては、最後の運動会です。これまでにも増して思い出に残るすばらしい運動会にしてほしいと思います。私も同じ気持ちです。
  一人一人のがんばりとみんなの力を合わせた姿ですばらしかったといつまでも振り返ることができる運動会を創っていきましょう。
            <5月9日全校朝会 挨拶メモより>